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尾形香三夫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

尾形 香三夫(おがた かみお、1949年 - 2022年7月18日[1])は、日本陶芸家北海道岩見沢市出身。独自の練上の技法を駆使した陶芸作品で知られる。

経歴

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1949年北海道岩見沢市に生まれる。陶芸を始めたのは30歳になってからで、知的障害者の施設において、作業の一環として陶芸を指導したことがきっかけとなる。独学で練り込みやロクロの技術を学び、何ものにも囚われることなく自由な発想で陶芸に取り組み始めた。

1983年新篠津村に窯(名:混沌窯)を開き、独自の練上のスタイルを「スーパー練上」と称し、多くの作品を発表していく。微妙に色合いの違う土を、作品によっては30数種類以上組み合わせて個性的な模様を作り上げ、色々な角度から“練上”を追求している。

20代の頃は読書に浸り、ひと山越えるほど本を読み、後に小説を書いていた時もあった。その時期に文学や哲学の世界に強く影響を受け、後の陶芸作品を支えることとなる。

尾形が好きな作家の一人である梅崎春生の「幻化」(『新潮』、1965年6月-8月)という小説から「幻化文」と名付けた作品もあり、人間の内面的な部分を表現した「黄昏」「二つの世界」「眩暈」「空中楼閣」などの作品は文学と陶芸が融合したものと尾形は語っている。

2022年7月18日、直腸癌のため死去、72歳[1]

作品

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尾形の作品のテーマは2つあり、一つは「動き」、もう一つは「現代性」。

  • 練上のほとんどは、模様のパーツを組み合わせてパターン化した作品が多い。そこにもっと動的な要素を作品の中に表現し、その事によって練上や練込の陶磁器にありがちな固定観念を壊す。CGのようなデザイン、見る人に錯覚を与えるような新しい感覚の作品を生み出している。
  • また、“眩暈”“空中楼閣”“黄昏”などの作品に見られるように、今の空気、「現代性」を尾形なりに陶器に表現したいと考えている。

略歴

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  • 1949年 北海道岩見沢市生まれ
  • 1983年 新篠津村に窯をひらく
  • 1985年 東日本伝統工芸展(入選29回)
  • 1985年 日本伝統工芸展(入選7回)
  • 1986年 中日国際陶芸展(入選2回)
  • 1997年 5人展(京都、たち吉本店ギャラリー)
  • 1998年 益子陶芸展(入選5回)
  • 2000年 現代茶陶展(入選6回)
  • 2003年 日本陶芸展(入選2回)
  • 2003年 日本工芸会正会員となる
  • 2004年「炎芸術」79号「“伝統工芸”の陶芸」特集にて紹介
  • 2005年 菊池ビエンナーレ
  • 2006年 現代陶芸の粋(笠間、茨城県陶芸美術館)
  • 2007年 朝日陶芸展
  • 2007年 長三賞常滑陶芸展(入選2回)
  • 2008年 練上講座(江別、セラミックアートセンター)
  • 2009年 月刊誌「陶遊」11月号より1年間エッセー連載
    『JOAN B MIRVISS LTD Exhibition "EASTERN DEPARTURES″(NY)』
  • 2010年 東日本伝統工芸展50周年記念特別展「21世紀の伝統工芸-世界の眼-」(MOA美術館)
    『JOAN B MIRVISS LTD Exhibition “青”(NY)』
  • 2013年 JOAN B MIRVISS LTD Exhibition“The Eight Winds”(NY)
  • 2013年 炎芸術「116号」練上特集にて紹介
  • 2014年 庄六賞茶盌展
  • 2022年 死去

受賞

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  • 1988年 伝統工芸新作展北海道新聞社賞(95、05年受賞)
  • 1998年 益子陶芸展審査員特別賞(’00年受賞)
  • 2005年 現代茶陶展TOKI織部銀賞
  • 2005年 伝統工芸新作展東日本支部賞
  • 2016年 現代陶芸奨励賞

作品収蔵

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個展

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  • 1991年 大同ギャラリー(札幌、15回)
  • 1994年 アトリエ“エム”(日野、5回)
  • 2001年 銀座・工芸むら田
  • 2002年 東京アメリカンクラブ
  • 2003年 中村美術サロン(筑西、05,08,12年)
  • 2004年 赤坂・乾ギャラリー
  • 2005年 日本橋三越
  • 2006年 丸井今井(札幌)
  • 2007年 楽美洞茶陶館(山形、10、13年)
  • 2009年 さいとうギャラリー(札幌、以後毎年)
  • 2010年 銀座・工芸いま(12、14年)

家族

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  • 息子はロックバンドHEREの尾形回帰[2]

脚注

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  1. ^ a b “尾形香三夫さん死去 陶芸家”. 北海道新聞. (2022年7月19日). https://www.hokkaido-np.co.jp/article/707580 2023年2月25日閲覧。 
  2. ^ HERE 尾形回帰公式Twitter 2018年4月23日付.2018年9月6日閲覧。

外部リンク

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