尺骨茎状突起
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骨: 尺骨茎状突起 | |
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正面から見た左前腕の骨(画像左下の右下矢印の先が尺骨茎状突起) ヒトの腕の骨のダイアグラム | |
名称 | |
日本語 | 尺骨茎状突起 |
英語 | ulnar styloid process |
ラテン語 | processus styloideus ulnae |
関連情報 |
尺骨茎状突起(しゃっこつけいじょうとっき)は、前腕の尺骨遠位端に見られる骨の突起である[1]。
構造
[編集]尺骨茎状突起は、尺骨の内側・背側から突出しており、尺骨頭のわずか下に位置する。三角線維軟骨の頂点が付着するための窪みと、尺側手根伸筋の腱を通す背側の浅い溝により、尺骨頭と突起は分離されている。
突起の長さは一様でなく、2ミリメートルから6ミリメートルの間である[1]。
機能
[編集]尺骨茎状突起の丸みを帯びた先端は、内側手根側副靭帯を通じて手首に接続している。突起の基部には、掌側・背側橈尺靭帯が付着している[2]。
臨床的意義
[編集]橈骨遠位端骨折に伴う尺骨茎状突起の骨折は、ほとんどの場合で治療を必要としない。主な例外としては、橈骨と尺骨の間の遠位橈尺関節(DRUJ)が不安定な場合が挙げられる。DRUJが不安定な場合は、突起に対する独自の治療が求められることがある。
突起が過度に長いと、尺骨茎状突起衝突症候群と呼ばれる、手首の三角骨との痛みを伴う接触が発生する可能性がある[1]。この症候群と診断するには、放射線医学の知見が用いられる[1]。保存的療法ではトリアムシノロンの注射を行う一方で、外科的療法では切除術で突起を短くする[1]。
手首を副木で固定する際は、圧迫による虚血を防ぐために、突起の位置を考慮に入れなければならない[3][4]。
脚注
[編集]この記事にはパブリックドメインであるグレイ解剖学第20版(1918年)218ページ本文が含まれています。
- ^ a b c d e Ludwig Ombregt (2013). “23 - Disorders of the wrist” (英語). A System of Orthopaedic Medicine (第3版 ed.). チャーチル・リビングストーン. pp. 333–349.e3. doi:10.1016/b978-0-7020-3145-8.00023-5. ISBN 978-0-7020-3145-8 2020年12月12日閲覧。
- ^ David J. Slutsky; A. Lee Osterman; Douglas A. Campbell (2009). “CHAPTER 28 - Ulnar Head and Styloid Fractures” (英語). Fractures and Injuries of the Distal Radius and Carpus. サウンダース. pp. 297–307. doi:10.1016/b978-1-4160-4083-5.00030-5. ISBN 978-1-4160-4083-5 2020年12月12日閲覧。
- ^ Elaine Ewing Fess, Karan S. Gettle, Cynthia A. Philips, J. Robin Janson, ed (2005). “CHAPTER 10 - Principles of Fit” (英語). Hand and Upper Extremity Splinting (第3版 ed.). モスビー. pp. 252–277. doi:10.1016/b978-080167522-5.50015-0. ISBN 978-0-8016-7522-5 2020年12月12日閲覧。
- ^ Elaine Ewing Fess, Karan S. Gettle, Cynthia A. Philips, J. Robin Janson, ed (2005). “CHAPTER 20 - Analysis of Splints” (英語). Hand and Upper Extremity Splinting (第3版 ed.). モスビー. pp. 539–574. doi:10.1016/b978-080167522-5.50025-3. ISBN 978-0-8016-7522-5 2020年12月12日閲覧。