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小豆島孔雀園

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
小豆島大孔雀園から転送)
小豆島大孔雀園
施設情報
正式名称 小豆島大孔雀園
愛称 孔雀園、大孔雀園[1]
Shoudoshima-kujaku-en
Shodoshima Peacock Garden[2]
専門分野 鳥類園
所有者 小豆島バス[3]
管理運営 小豆島観光開発会社[1]
面積 約3万m2[注釈 1]
頭数 3,000羽余り(最盛期)[1]
来園者数 50万人(1973-74年)[1][6]
主な飼育動物 インドクジャク
開園 1970年
閉鎖 2008年11月30日
所在地 761-4302
香川県小豆郡小豆島町蒲生西風呂157
位置 北緯34度28分43秒 東経134度13分13秒 / 北緯34.47861度 東経134.22028度 / 34.47861; 134.22028座標: 北緯34度28分43秒 東経134度13分13秒 / 北緯34.47861度 東経134.22028度 / 34.47861; 134.22028
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小豆島孔雀園(しょうどしまくじゃくえん)は、かつて香川県小豆郡小豆島町にあったクジャクを主とした鳥類園(動物園)である[2]。正式名称は小豆島大孔雀園

開園当初には年間50万人が園を訪れ、またその後も「クジャクの飛行ショー」などの人気イベントで賑わっていたが、クジャクの減少と共に入場者数も減少の一途を辿り、2008年に閉園を迎えた。

歴史

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開園から最盛期

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1970年に、瀬戸内海を一望できる[4]小豆島池田港付近・飛岬に開業している[2][8]。経営は小豆島バスの関連会社・小豆島観光開発が行っていた[1]東洋一の規模を誇り[9]、小豆島の土庄町商工会が紹介する園のコピーは「世界に誇るピーコックガーデン」であった[10]。「ピーコックガーデン」という表現は小豆島町の観光案内でも用いられている[11]。1971年には科学誌『動物と自然』において「世界にまれなるクジャクの楽園」と表現されている[12]池田町は次のように紹介する。

飛岬に世界一を誇る民間経営の孔雀園は、3,500羽の孔雀が放し飼いされ、ドームには250羽の珍鳥が美しい姿を見せています。孔雀の飛行ショーは見ものです。 — 池田町役場[13]

園は 3万m2 もの広さがある敷地に椰子ハイビスカスカイコーズなどを植え[10]、最盛期には日本最多の約3000羽余りのインドクジャクなどが放し飼い飼育されていた[4]。これを『小豆島・豊島今昔写真帖』は「世界一を名乗った孔雀園」と表現している[14]

園ではクジャクの求愛が人気であった。クジャクは春の繁殖シーズンになると、オスが色鮮やかな緑の羽根を大きく広げ、ぶるぶると小刻みにふるわせたりして、メスにプロポーズする求愛行動が見られ、観光客などが多く訪れた[15][16]。求愛は特に曇りの日や朝夕に多いと園は紹介している[16]。毎年、この模様を四国新聞社が記事にしている。また、園ではクジャクの餌も売られ、クジャクに与えてふれあうことができた[17]。クジャクの羽根の色について研究する大阪大学の吉岡伸也(生命機能研究科)は孔雀園を訪れた際に、園のクジャクたちが人によく馴れていて、そばに近寄ってくることを紹介している[18]

園には珍しい白いクジャクもおり[17]、この白いクジャクは園の入場券の写真にも使われていた。また、園内の施設としてフラミンゴなど世界の珍しい鳥6種40羽を集めたバードピアや[2][5]孔雀明王の像が置かれた聖孔雀明王広場などがあり、後にはパノラマ水族館も設置された[1][2]。観光案内では「バードピアで飼育されるフラミンゴが仲良く水を飲んだり、昼寝をしている姿が見られる」と紹介されていた[17]。さらに園の人気イベントとして、音楽に合わせて、高さ約10メートルの高台から1回に40羽のクジャクを羽ばたかせる「クジャクの飛行ショー」が開催されていた。高台からのクジャクたちの飛行は、1時間に1回ほど、多い時期には1日数十回行われていた[2][4]。これだけ多くのクジャクを調教することは、世界でも例が少ない[2]

クジャクの減少と園の衰退

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一方、クジャクは飛ぶのが得意ではないが、飛行ショーを繰り返すうちに、園を取り囲む高さ約5メートルの柵をも飛び越えて逸走するものも出るようになった[4]。クジャクは園に舞い戻ることもあるが、そのまま野生化してしまうものもいた[4]。そのため同園は繁殖にも力を入れるが、ふ化率の低下などもあり、2002年の時点で約500羽にまで減ってしまっている[4]。また、最盛期の1973年と翌74年には年間約50万人と賑わっていた入場者数も、その後は減少し、同15万人にまで落ち込んでいった[1]。そこで、2002年には施設の改修や新しいクジャクを入れて繁殖させようと1年間休園し[19]、その間にも園からクジャクを分けてもらったことがある愛媛小学校からセンタ君とリンタ君という2羽のクジャクが寄贈されたり、羽数を増やすために約300羽のヒナを育てたりして園の再興に努めた[19]。そして、翌2003年より羽が抜け落ちる冬場は休園し、営業期間を4月〜11月に絞っての再開となる[15][20]。園はこの頃から「飛行ショー」は行わないことにしている[4]。また、2005年には酉年にちなみ、正月だけ開園したことがある[21]

経営難による閉園へ

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一時は約500羽にまで減ったクジャクの数も2007年には約1000羽まで回復していた[2]。しかし、経営努力もむなしく入場者数は改善せず、2007年には年間約5万人にまで落ち込んでしまい、また施設の老朽化なども重なって、園を経営するバス会社は赤字がかさむ採算を考慮、これ以上の設備投資を断念せざるを得ず閉園が決定し、2008年11月末で38年の歴史に幕を下ろした[6][3][7]。園内に残ったクジャクは2008年12月に約200羽おり[6]、「きちんと飼う環境があり、責任感のある人に」との条件で[22]、多くのクジャクたちが小豆島内の銚子渓の「銚子渓自然動物園 お猿の国」や保育園、学校、個人宅などに移送された[23][3][7][注釈 2]。バス会社は、孔雀園からお猿の国への移送について、「クジャクは一羽たりとも処分しない方針でやってきた。恩返しのために、今後も大切に育てて多くの人に見てもらえるように努力する」と語っている[3]

跡地のその後

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孔雀園の跡地はバス会社のグループである小豆島オリーブが買い取った[6]。その後、2013年にオリーブの栽培や加工品の販売を手掛ける井上誠耕園が取得し、2015年に一帯を「らしく園」と命名し食品加工工場を建設した[25]。2017年4月にはオリーブの加工品を扱う販売店とレストランを併設した商業施設を開業し、今後10年をかけ宿泊施設なども整備予定[26]

脱走したクジャクの野生化

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園から逸走したインドクジャクについて、2002年に共同通信が「雑食性で近くの山で野生化しているものもある」と報じている[4]。また、2004年に国(環境省農林省など)が行う特定外来生物の専門家グループ会合においてはインドクジャクも議題となり[27]、翌年の会合では、同志社大学の村上興正(保全生態学)が“小豆島の観光施設”に懸念を示している[28]2011年の時点で国立環境研究所は小豆島でのインドクジャクの野生化を確認していないが、J-CASTニュースでは「野良クジャク」の目撃情報が得られていると、写真付きで報道している[29]。国立環境研究所は、インドクジャクが小豆島にも移入され逸走していることにより、「侵入生物」と分類している[30]

他の孔雀園

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  • 銚子渓(小豆島内) - 「銚子渓自然動物園 お猿の国」があり、園のクジャクがこちらに多数移送された。
  • 久留米市鳥類センター - かつてはインドクジャクが千羽いた。
  • 大崎自然公園のクジャク園(長崎県川棚町) - かつてはインドクジャクが400羽いた[31]

脚注

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注釈

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  1. ^ 敷地面積は2002年の共同通信は約1万m2[4]、四国新聞は2004年などに複数回、約3万m2と伝え[5]、そして2008年に、四国新聞は「跡地は、周辺の畑などを含めて約4万平方メートルあり(略)」と伝え[6]、2009年の朝日及び読売新聞も約4万m2と伝える[7][3]
  2. ^ 朝日新聞は、閉鎖後の約200羽のクジャクの引き受け先について、「クジャク100羽余りの引き取り手がまだ見つかっていない。(中略)関係者は頭を悩ませている。」と伝える[7]。一方、同日付の読売新聞は、「孔雀園の160羽はお猿の国へ、引き取り先決まる」と伝えている[3]。また、園のクジャクは大阪の小学校でも受け入れられている[24]

出典

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  1. ^ a b c d e f g 小豆島の大孔雀園、4月から休園 香川のニュース2002/03/27 16:03 四国新聞社 2013-3-29閲覧
  2. ^ a b c d e f g h 小豆島大孔雀園 Shoudoshima-kujaku-en Shodoshima Peacock Garden2007/11/5 日本吉 - NIPPON-KICHI リンククラブ 2013-3-29閲覧
  3. ^ a b c d e f 孔雀園の160羽はお猿の国へ、引き取り先決まる…香川:動物トピックス:季節自然:関西発2009年1月20日 『YOMIURI ONLINE』(読売新聞) 2013-4-10閲覧 (cache)
  4. ^ a b c d e f g h i クジャク飛び去り休園 小豆島、3000羽が500羽に2002/07/26 20:10 共同通信
  5. ^ a b 池田町の孔雀園、15日から再開2004/04/13 15:29 四国新聞社 2013-4-5閲覧
  6. ^ a b c d e 小豆島「孔雀園」を閉園/入場者減で赤字かさむ 2008/12/13 09:59 【四国新聞】
  7. ^ a b c d クジャク100羽「助けて」/小豆島 2009年1月20日 『asahi.com マイタウン・香川』 (朝日新聞) 記・小林一茂
  8. ^ 小豆島おもしろ草子 孔雀明王2007年07月03日 たまらなく小豆島 オリーブ探検隊 (小豆島町商工会) 2013-4-5閲覧
  9. ^ 池田町がわかるページ 全国に池田は1市6町 各観光地のご案内池田町役場 2013-4-11閲覧
  10. ^ a b Welcome to Tonosho Chamber of Commerce & Industry土庄町商工会 2013-3-29閲覧
  11. ^ オリーブ情報サイト オリーブステーション:見どころ6 小豆島町役場 (cache) 2013-4-5閲覧
  12. ^ 文・森井隆三(日本動物学会) (1971-06). “世界にまれなるクジャクの楽園 -小豆島のクジャク園-”. 『動物と自然』 (ニュー・サイエンス社) 1巻6号: 15頁. 
  13. ^ 池田町がわかるページ 観光案内 各観光地のご案内池田町役場 2013-4-5閲覧
  14. ^ 『小豆島・豊島今昔写真帖:保存版』谷岡稔・監修 郷土出版社/2010.4 ISBN 9784863750777
  15. ^ a b 羽大きく広げる求愛ポーズ人気-小豆島孔雀園2008/04/24 09:27 四国新聞社 2013-3-29閲覧
  16. ^ a b 恋の季節到来-小豆島の孔雀園2006/04/20 18:08 四国新聞社 2013-4-5閲覧
  17. ^ a b c 小豆島 ISLAND-NET 小豆島孔雀園 特定非営利活動法人アイランド・ネット 2013-4-5閲覧
  18. ^ 色材コラム バックナンバー Vol.10 クジャクの羽の構造色 一般社団法人色材協会 2013-3-29閲覧
  19. ^ a b クジャク2羽、愛媛の児童ら育て贈る2002/09/23 09:47 四国新聞社 2013-4-10閲覧
  20. ^ 求愛ポーズ人気 小豆島の孔雀園が営業開始2007/04/02 17:50 四国新聞社 2013-4-5閲覧
  21. ^ 酉年にちなみ小豆島孔雀園が特別開園2004/12/30 15:32 四国新聞社 2013-3-29閲覧
  22. ^ おりーぶ通信-尾羽広げ人気のクジャク-2010/04/14 15:14:10 記・吉田一代 四国新聞社 2013-4-11閲覧
  23. ^ 梅雨に巡る四国の博物館と美術館 (1/4)-メールマガジン限定特集2012年06月14日公開 ピカラタウン 2013-3-29閲覧
  24. ^ 上小じまん♪ 泉佐野市立上之郷小学校 2013-4-11閲覧
  25. ^ 井上誠耕園公式サイト・会社概要2017-4-22閲覧
  26. ^ [1] 2017年4月21日付日本経済新聞四国経済面 2017-4-22閲覧
  27. ^ 第1回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)議事録日時:平成16年11月19日 10:00〜12:10 環境省 2013-4-5閲覧
  28. ^ 第3回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(哺乳類・鳥類)議事録日時:平成17年5月18日14:00〜16:05 環境省 2013-4-5閲覧
  29. ^ 全国各地で「野良クジャク」の目撃相次ぐ 「家の屋根に」「駐車場に」…どうして?2011/7/27 19:47 J-CASTニュース 2013-3-29閲覧
  30. ^ インドクジャク/国立環境研究所 侵入生物DB>20120618更新(ソースの情報) 独立行政法人国立環境研究所 2013-3-29閲覧
  31. ^ インドクジャクやフラミンゴ、ポニーやしまりすも!入園無料のくじゃく園で動物とふれあおう。社団法人川棚町観光協会