小湊慶彦
表示
小湊 慶彦(こみなと よしひこ、1958年11月21日 - )[1]は、日本の法医学者。輸血医療や個人識別における重要な指標であるABO式血液型遺伝子の転写調節研究で知られる[2][3][4]。
略歴
[編集]- 1984年3月 筑波大学医学専門学群 卒業
- 1988年3月 筑波大学大学院医学研究科博士課程 修了[5]
- 1988年4月 富山医科薬科大学助手 医学部法医学講座
- 1992年2月 富山医科薬科大学講師 医学部法医学講座
- 1992年4月-1993年1月 文部省在外研究員 アメリカ合衆国ワシントン大学 バイオメンブレン研究所(箱守仙一郎博士)
- 1993年2月-1994年7月 Research Associate アメリカ合衆国ハーバード大学 The Center for Blood Research
- 1995年5月 日本法医学会学術奨励賞
- 2003年12月 群馬大学大学院助教授 医学系研究科医科学専攻 生体防御機構学講座病態遺伝法医学分野
- 2006年4月 群馬大学大学院教授 医学系研究科医科学専攻 生体防御機構学講座法医学分野
- 2015年6月 Vox Sanguinis Best Paper Prize 2014[6]
- 2020年4月 群馬大学大学院医学系研究科長 群馬大学医学部長
研究の概要
[編集]ABO血液型は,赤血球上のA抗原・B抗原と血清中の抗A抗体・抗B抗体からなるシステムであり,その型判定は安全な輸血医療に必須である.ABO血液型は20世紀初頭に発見され,1960年代に抗原の糖鎖構造が解明され,A抗原・B抗原合成に関わる糖転移酵素の精製や特異抗体作製等の研究が行われ,ワシントン大学バイオメンブレン研究所(所長箱守仙一郎博士)の山本文一郎博士らが1990年にABO遺伝子構造を報告した[7].その後,小湊博士らの研究グループによりABO遺伝子の転写調節機構の解明が進められ,細胞非特異的プロモーター,赤血球系細胞特異的転写活性化領域,上皮系細胞特異的転写活性化領域が同定され,それらの変異が亜型を惹起することが明らかにされた[2].
出典
[編集]- ^ “小湊 慶彦 (Yosihiko Kominato) - マイポータル - researchmap”. researchmap.jp. 2023年12月23日閲覧。
- ^ a b 慶彦, 小湊; 利恵, 佐野; 輝, 早川; 遥一郎, 高橋; 健一, 小笠原 (2023). “ABO遺伝子の転写調節から見た,血液型に関わる現象の分子基盤”. 日本輸血細胞治療学会誌 69 (4): 513–522. doi:10.3925/jjtc.69.513 .
- ^ Kominato, Yoshihiko; Sano, Rie; Takahashi, Yoichiro; Hayakawa, Akira; Ogasawara, Kenichi (2020-04). “Human ABO gene transcriptional regulation” (英語). Transfusion 60 (4): 860–869. doi:10.1111/trf.15760. ISSN 0041-1132 .
- ^ 慶彦, 小湊 (2005). “ABO式血液型の研究に従事して”. 北関東医学 55 (4): 381–382. doi:10.2974/kmj.55.381 .
- ^ 小湊, 慶彦、Kominato, Yoshihiko「新しい死後経過時間推定法」1988年。
- ^ Takahashi, Y.; Isa, K.; Sano, R.; Nakajima, T.; Kubo, R.; Takahashi, K.; Kominato, Y.; Tsuneyama, H. et al. (2014-02). “Deletion of the RUNX 1 binding site in the erythroid cell‐specific regulatory element of the ABO gene in two individuals with the A m phenotype” (英語). Vox Sanguinis 106 (2): 167–175. doi:10.1111/vox.12077. ISSN 0042-9007 .
- ^ Yamamoto, Fumi-ichiro; Clausen, Henrik; White, Thayer; Marken, John; Hakomori, Sen-itiroh (1990-05). “Molecular genetic basis of the histo-blood group ABO system” (英語). Nature 345 (6272): 229–233. doi:10.1038/345229a0. ISSN 1476-4687 .