射影的対象
圏論において,射影的対象(しゃえいてきたいしょう,英: projective object)の概念は射影的加群の概念を一般化する.
圏 の対象 P が射影的とは,hom関手
が全射を保つことをいう.つまり,任意の射 は任意の全射 Y → X を通して分解する.
をアーベル圏とする.この文脈では,対象 が射影的対象であるとは,
が完全関手であることをいう.ただし はアーベル群の圏である.
射影的対象の双対概念は単射的対象の概念である:アーベル圏 の対象 Q が単射的であるとは, から への関手 が完全であることをいう.
充分射影的対象をもつ
[編集]をアーベル圏とする. が充分射影的対象をもつ(Have Enough Projectives)とは, の任意の対象 A に対して, の射影的対象 P と完全列
が存在することをいう.言い換えると,射 p: P → A は全射である.
例
[編集]R を 1 をもつ環とする.左 R 加群の圏 を考える. はアーベル圏である. における射影的対象はちょうど射影左 R 加群である.なので R はそれ自身 の射影的対象である.双対的に, における単射的対象はちょうど単射的左 R 加群である.
左(右)R 加群の圏は充分射影的対象を持つ.なぜならば,任意の左(右)R 加群 M に対して,F として M の生成集合 X(M でよい)によって生成される自由(したがって射影)R 加群をとることができるからである.すると 標準射影 π: F → M が所望の全射である.
参考文献
[編集]- Mitchell, Barry (1965), Theory of categories, Pure and applied mathematics, 17, Academic Press, ISBN 978-0-124-99250-4, MR0202787
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