宮本旅人
宮本 旅人(みやもと たびと、1907年(明治40年)8月31日 - 1982年(昭和57年)9月13日は、日本の作詞家。本名は宮本 護(みやもと まもる)。
代表作にディック・ミネや石原裕次郎が歌った「旅姿三人男」がある[1]。
略歴
[編集]1907年(明治40年)8月31日に熊本県菊池郡菊陽町で生まれる。熊本第二師範学校、県青年学校教員養成所卒。
甲佐青年学校教諭を一年間勤めた後上京、作家、作詞家活動に入った。著書には「古賀政男芸術大観」「中山晋平伝・歌謡山脈」、歌集「流離」、映画原作「男対男」「風呂たき大将」などがある。
創作活動は多面に亘っていたが、大きく分けると、短歌・レコード歌謡・小説・新聞編集・絵画の5つの分野にまとめられる。このうち中心は短歌で、短歌結社「ぬはり社短歌会」に加入したのが二〇才の昭和三年であり、亡くなる昭和五七年まで半世紀余の間、時々中断された時期もあったが、ほゞ一貫して投稿してきた。
このように短歌を縦糸としているが、他方、時代に応じて多彩な横糸が織込まれている。大づかみに時代区分すると、次の五期に区分できる。
①短歌の時代(昭和二年~昭和七年)
昭和二年(二〇才)に熊本県立第二師範学校を卒業後、瀬田西部小学校の教員になると、大津町の仲間と共に歌誌「韮」を創刊して、本格的に短歌作品を発表する。翌昭和三年二月には、設立されて間もない短歌結社「ぬはり社」に加入している。そして同年五月に熊本歌話会にも属する。
代表作 処女歌集『流離』
②レコードの時代(昭和八年~昭和一四年)
昭和八年に文筆家になるべく、教員を辞して上京し、昭和一〇年に「思ひ出す時」でレコード界にデビュー。以後四年余の間に、テイチク、キング、ポリドール、タイヘイ等のレコード会社から、歌謡曲・・等を二百曲以上発表する。
代表作 「旅姿三人男」、「里恋峠」
③小説および実話の時代(昭和一五年~昭和三五年)
昭和一五年に満州に渡り、 満鉄機関紙「協和」の編集記者、更に大日本雄弁会講談社の特派作家になる。戦後も引き続き講談社・光文社等から、小説・実話物等を「キング」「婦人倶楽部」 「少年クラブ」「幼年クラブ」、「少年」「少女」、「読切俱楽部」「実話雑誌」等に発表し、その中から単行本になったもの、映画化されたものもいくつかある。
代表作 小説「男対男」 (映画名「命も恋も」)
④新聞・雑誌編集の時代(昭和三六年~昭和四五年)
昭和三六年に、埼玉県農協経済連の嘱託となり、「埼玉県経済連新聞」を企画・編集・発行する。昭和三九年に「歌謡新地図」を創刊し、四二年まで続ける。
代表作 雑誌「埼玉県の農家日記」
⑤絵画の時代(昭和四五年~昭和五七年)
この時期には、再び様々な創作活動に入り、歌集「流転」の出版、小説「中山晋平伝・歌謡山脈」の新聞連載、歌謡小誌「火の国歌謡」の創刊と続く。中でも油絵に時間をさくことが多くなり、趣味の範囲を超えて、晩年は「新洋画会」に加盟するなどかなり傾倒する。
代表作 小説「中山晋平伝・歌謡山脈」
1982年(昭和57年)9月13日に千葉県白井市の白井中央病院 で「心筋梗塞」のため75歳で死去。
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主な業績
[編集]作詞
[編集]歌謡曲
[編集]曲名 | 歌手名 | 作曲者名 | 作詞年度 | レコード会社 |
想い出す時や | 林 伊三緒 | 服部良一 | 昭和11年6月 | ニットー |
爪弾小唄 | 喜代丸 | 片岡志行 | 昭和11年9月 | タイヘイ |
街の相棒 | 二村定一 | 平岡照章 | 昭和11年10月 | キング |
若い二人が | 近衛八郎・井口小夜子 | 田村しげる | 昭和11年11月 | キング |
加留多くずし | 美ち奴 | 大村能章 | 昭和12年1月 | テイチク |
パパママソング | 悦ちゃん | 鈴木哲夫 | 昭和12年2月 | テイチク |
呑気な床屋 | 竹内龍夫 | 片岡志行 | 昭和12年3月 | タイヘイ |
恋のSOS | 奥田英子 | 佐藤富房 | 昭和12年5月 | テイチク |
こんな妾に誰がした | 喜代丸 | 長津義司 | 昭和12年5月 | タイヘイ |
恋慕船歌 | 楠木繁夫 | 大久保徳二郎 | 昭和12年7月 | テイチク |
山の凱歌 | 藤山一郎 | 堀内好男 | 昭和12年8月 | テイチク |
曇り後晴 | 楠木繁夫・奥田英子 | 大久保徳二郎 | 昭和12年8月 | テイチク |
銀座八丁 | 藤山一郎 | 佐藤富房 | 昭和12年9月 | テイチク |
別れの街角 | 近衛八郎 | 北村輝 | 昭和12年9月 | テイチク |
晴れの首途に | 美ち奴 | 佐渡暁夫 | 昭和12年10月 | テイチク |
暁けゆく空 | 藤山一郎 | 堀内好男 | 昭和12年11月 | テイチク |
駆けろ荒鷲 | 藤山一郎 | 佐渡暁夫 | 昭和12年12月 | テイチク |
皇国の妻 | 奥田英子 | 佐渡暁夫 | 昭和12年12月 | テイチク |
誉れの白袴 | 藤山一郎 | 佐渡暁夫 | 昭和12年12月 | テイチク |
沙漠の進軍 | 藤山一郎 | 佐渡暁夫 | 昭和12年12月 | テイチク |
勝って兜の緒をしめよ | 美ち奴 | 宮脇春夫 | 昭和13年1月 | テイチク |
手向けの花 | 藤山一郎 | 佐渡暁夫 | 昭和13年3月 | テイチク |
娘々まつり | 由利あけみ | 前川進 | 昭和13年4月 | テイチク |
エジプト夜曲 | 藤山一郎 | 佐渡暁夫 | 昭和13年5月 | テイチク |
蒼茫の下に | 藤山一郎 | 山下五郎 | 昭和13年5月 | テイチク |
紙上対面 | 美ち奴・古賀久子 | 鈴木哲夫 | 昭和13年5月 | テイチク |
鎌倉武士 | 楠木繁夫 | 宮脇春夫 | 昭和13年6月 | テイチク |
花婿の言葉 | ディックミネ | 佐渡暁夫 | 昭和13年7月 | テイチク |
がっちり貯金 | 美ち奴・杉狂児 | 鈴木哲夫 | 昭和13年8月 | テイチク |
旅姿三人男 | ディックミネ | 鈴木哲夫 | 昭和13年8月 | テイチク |
陣中お国自慢 | 杉狂児 | 佐渡暁夫 | 昭和13年9月 | テイチク |
軍国綴方教室 | 田村しげる | 樋口静雄 | 昭和13年12月 | キング |
高粱たいて | 塩まさる | 橋本成美 | 昭和13年12月 | キング |
橋は僕らが担いでいる | 樋口静雄 | 細川潤一 | 昭和13年12月 | キング |
故郷の新聞 | 塩まさる | 細川潤一 | 昭和14年1月 | キング |
国境の乗合馬車 | 秩父晴夫 | 木村武彦 | 昭和14年3月 | タイヘイ |
若いチャイナさん | 杉狂児 | 鈴木哲夫 | 昭和14年3月 | テイチク |
戦場の花 | 松島詩子 | 島田逸平 | 昭和14年3月 | キング |
僕の武勇伝 | 杉狂児 | 佐渡暁夫 | 昭和14年4月 | テイチク |
想い出のパレホ | 松山映子 | 島田逸平 | 昭和14年5月 | キング |
帰らう帰らう漢口へ | 三原純子・高橋文夫 | 木村武彦 | 昭和14年5月 | タイヘイ |
大陸の花嫁 | 喜代丸 | 飯田三郎 | 昭和14年7月 | タイヘイ |
里恋峠 | 田端義夫 | 陸奥明 | 昭和14年9月 | ポリドール |
懐しのヴィオロン | 藤山一郎 | 奈良敦夫 | 昭和15年1月 | テイチク |
上海ラプソディー | 轟夕起子 | 斉藤潔 | 昭和15年6月 | テイチク |
南京よいとこ | 林 伊三緒 | 島田逸平 | 昭和15年8月 | キング |
アリラン悲歌 | 津村謙 | 上原げんと | 昭和26年1月 | キング |
なつかしの満州 | 阿部徳 | 大海栄一 | 昭和38年2月 | ニホンスター |
童謡
[編集]曲名 | 歌手名 | 作曲者名 | 作詞年度 | レコード会社 |
ほたる | 本居若葉 | 本居長世 | 昭和7年7月 | ビクター |
てるてる坊主 | 高城日出子 | 定方雄吉 | 昭和11年11月 | キング |
おさるとらっきょう | 滝口裕子 | 山口保治 | 昭和12年1月 | キング |
海軍の兄さん | 武田玲 | 平岡照章 | 昭和12年4月 | テイチク |
良寛さま | 増田登志子 | 玉山英光 | 昭和12年12月 | テイチク |
こけしのふるさと | 高石かつ枝 | 大海栄一 | 昭和39年11月 | ニホンスター |
歌曲
[編集]曲名 | 歌手名 | 作曲者名 | 作詞年度 | レコード会社 |
深渕 | 古関裕而 | 昭和10年7月 | ||
日向賛歌 | 古関祐而 | 昭和36年3月 | ||
初恋 | 平井康三郎 | 昭和39年11月 | ||
春燈 | 鈴木林蔵 | 昭和42年10月 | ||
カヤノ平の赤い花 | 伊藤あつし | 八洲秀章 | 昭和45年11月 | ビクター |
義烈空挺隊賛歌 | 渡辺岳夫 | 昭和45年12月 | ||
長かりし流転の歌 | 古関祐而 | 昭和51年11月 | ||
荒城の町 | 橋本一郎 | 細川潤一 | 昭和54年4月 | キング |
岩井賛歌 | ザ・ブレッスン・フォー | 森岡賢一郎 | 昭和55年5月 | キング |
民謡
[編集]曲名 | 歌手名 | 作曲者名 | 作詞年度 | レコード会社 |
姉ヶ崎音頭 | 湯山光三郎 | 細川潤一 | 昭和11年7月 | オーゴン |
秋田おばこ | 美ち奴 | 島田逸平 | 昭和12年7月 | テイチク |
杖立小唄 | 菊太郎 | 宮本旅人 | 昭和22年4月 | テイチク |
えびの小唄 | 島倉千代子 | 古関裕而 | 昭和36年3月 | コロンビア |
さぼてん囃子 | コロムビア・ローズ | 古関裕而 | 昭和36年3月 | コロンビア |
木島平民宿節 | 伊藤あつし | 八洲秀章 | 昭和45年11月 | ビクター |
岩井音頭 | 春日八郎 | 森岡賢一郎 | 昭和55年5月 | キング |
愛林音頭 | 前田百代 | 渡辺岳夫 | 昭和56年3月 | オリオン |
校歌
[編集]曲名 | 歌手名 | 作曲者名 | 作詞年度 | レコード会社 |
姉ヶ崎農業実科学校歌 | 湯山光三郎 | 細川潤一 | 昭和11年7月 | オーゴン |
八千代台東小学校校歌 | 古関裕而 | 昭和48年2月 | ||
鎮西高校柔道部闘魂歌 | 古関裕而 | 昭和51年7月 | ||
白井高等学校校歌 | 古関裕而 | 昭和57年1月 |
映画
[編集]絵画
[編集]タイトル | 展示場所 | 制作年度 |
菜の花畑 | 茨城県北茨城市磯原町野口雨情会館 | 昭和55年 |
花岡山夜景 | 熊本県熊本市菊陽町役場 | 昭和56年 |
幻想里美八犬伝・伏姫岩屋 | 千葉県安房郡富山町役場 | 昭和57年 |
生駒高原のコスモス | 千葉県船橋市航空自衛隊本部 | 昭和57年 |
著書
[編集]タイトル | 出版元 | 刊行年度 |
古賀政男芸術大観 | シンフオニー楽譜出版社 | 昭和13年 |
レコード芸術入門 : 作詞家・作曲家・流行歌手 | シンフオニー楽譜出版社 | 昭和14年 |
穴居兵営 | 満州書籍配給社 | 昭和18年 |
シベリアのターザン、デルスウ・ウザーラ | 養徳社 | 昭和25年 |
レコード歌手入門 | 鹿鳴社 | 昭和26年 |
男対男 | 山ノ手書房 | 昭和31年 |
灯をともす少年たち | 山ノ手書房 | 昭和32年 |
旋風一代 | 雄文社 | 昭和32年 |
空手剛柔流 | 雄文社 | 昭和32年 |
惚れたって駄目ヨ 旅姿三人男 | 全音楽譜出版社 | 昭和36年 |
牛島辰熊・黒帯風雲録 | 雄文社 | 昭和50年 |
古賀政男芸術大観(改定版) | 新興楽譜出版社 | 昭和53年 |
中山晋平伝・歌謡山脈 | ブイツーソリューション | 令和2年 |
宮本旅人の関連歌碑
[編集]1.旅姿三人男歌碑
所在地:静岡県静岡市清水区南岡町3-8 梅蔭禅寺
2.長かり流転の旅(古関裕而作曲)歌碑
所在地: 熊本県菊池郡菊陽町大字久保田2800番地 菊陽町役場
3.八千代台東小学校校歌(古関裕而作曲)歌碑 所在地:千葉県八千代市八千代台東2-5-1
4.火の国小唄(山口白陽作詞・中山晋平作曲)歌碑 :1977年10月30日に宮本旅人が建立する。 所在地:熊本県熊本市花岡山公園 [5]
脚注
[編集]- ^ https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/28154.pdf
- ^ 関連URL: https://tabi-mag.jp/sz550/
- ^ 関連URL: https://kumajiki.hatenablog.com/entry/2022/11/30/162432
- ^ 関連URL: https://darkgreen.tea-nifty.com/shiroi_wind/2017/05/post-a48b.html
- ^ 関連URL: https://hakuyoh.client.jp/hanaokayamakahi.htm