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宇宙状況認識

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

宇宙状況認識(うちゅうじょうきょうにんしき、Space Situational Awareness:SSA)又は宇宙状況把握宇宙状況監視(Space Domain Awareness:SDA)とは、安定的な宇宙空間の利用のために、衛星軌道上の物体を観測し、人工衛星スペースデブリ等の軌道周回物体を把握・認識することを指す[1][2][3]

概要

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宇宙空間の利用すなわち人工衛星の活用は、測位・通信・放送・偵察・気象観測等多岐に渡り、市民生活・経済活動・軍事行動に欠かせないものとなっている[1][2]。しかし、衛星軌道上には、管理下にある人工衛星のみならず、衝突すれば衛星の機能を損なう恐れのあるスペースデブリも多数存在しており[4]、しかも人工衛星の増大に伴い、スペースデブリも増大してきている[3]。このため、デブリとの衝突危険性回避のため、軌道周回物体を把握・認識する宇宙状況認識の重要性が注目されてきている[1][2][4]

アメリカ軍1959年より、衛星軌道上の物体の監視を始めており[5]、2010年には宇宙配備宇宙監視衛星を打ち上げるなど、継続的な監視を行っている。

人工衛星の数及び重要性が増すに従い、宇宙状況認識の国際協力が求められるようになり[6]日本も本格的な宇宙状況認識能力の獲得を目指している[1][2]宇宙航空研究開発機構では、宇宙基本計画に沿って、2022年度までに低軌道観測用レーダー、静止軌道観測用光学望遠鏡及びその情報解析システムの整備・機能向上を行っている。防衛省自衛隊においても、静止軌道観測用レーダーを整備し、専門の宇宙作戦隊を新編する計画となっている[7][8]

ヨーロッパでも欧州宇宙機関が宇宙状況認識プログラム(Space Situational Awareness Programme)を推進している[9]

関連項目

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脚注

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  1. ^ a b c d 宇宙空間における対応”. 平成30年度 防衛白書. 防衛省. 2019年6月12日閲覧。
  2. ^ a b c d 宇宙状況把握(SSA)システム”. 宇宙航空研究開発機構. 2019年6月12日閲覧。
  3. ^ a b 宇宙開発利用の持続的発展のための“宇宙状況認識(Space Situational Awareness:SSA)”に関する国際シンポジウム”. 科学技術振興機構 (2011年). 2019年6月12日閲覧。
  4. ^ a b 探知困難 中国の衛星攻撃兵器 『紛争空間』へ変貌する宇宙空間,上河徹,軍事研究,2017年12月号,株式会社ジャパン・ミリタリー・レビュー,P51-61
  5. ^ Curtis Peebles (1 June 1997). High Frontier: The U.S. Air Force and the Military Space Program. DIANE Publishing. pp. 39–. ISBN 978-0-7881-4800-2. https://books.google.com/books?id=cMgdYypcPc8C&pg=PA39 
  6. ^ 青木 節子 (2011年2月). “宇宙の長期的に安全な利用のための宇宙状況認識(SSA)の現状と課題”. 国際情勢 (81), P367-379. 国際情勢研究会. 2019年6月12日閲覧。
  7. ^ 防衛省が「宇宙部隊」新設へ 宇宙ゴミや不審衛星を監視”. 朝日新聞 (2018年11月19日). 2019年6月12日閲覧。
  8. ^ 中期防衛力整備計画(平成 31 年度~平成 35 年度)について”. 国家安全保障会議 (2018年12月18日). 2019年6月12日閲覧。
  9. ^ 欧米の宇宙状況認識(SSA)の現状と今後の動向に関する調査研究」”. 財団法人 日本宇宙フォーラム (2012年5月). 2019年6月12日閲覧。

外部リンク

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