子どもの夢の庭
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(子どもの庭の夢から転送)
『子どもの夢の庭』[1](こどものゆめのにわ、原題: A Child’s Garden of Dreams for Wind Ensemble)は、デイヴィッド・マスランカが作曲した吹奏楽曲。
概要
[編集]ジョン・ペインター夫妻の委嘱を受けて1981年の夏に作曲され、1982年2月にイリノイ州エバンストンのノースウェスタン大学において、ペインターの指揮、同大シンフォニック・ウィンド・アンサンブルの演奏で初演された。
カール・グスタフ・ユングが一般向けに著した『人間と象徴(英語: Man and His Symbols)』に、ある精神科医が10歳の娘からクリスマスプレゼントとしてもらったノートの話が書かれている。そのノートはその子が8歳のときに見た12の夢を記したもので、マスランカはその不思議な夢にインスパイアされ[2]、その中から5つを選び、それぞれを音楽にして組曲にまとめた。マスランカの吹奏楽曲としては初期に書かれたもので、代表作の一つとして演奏される機会も比較的多く、日本のレーベルを含め複数の録音が市販されている。
演奏時間は約35分。フルスコアは1995年にアメリカのカール・フィッシャーから出版されており、演奏用のパート譜も同社から貸し譜として提供されている。
編成
[編集]木管 | 金管 | 弦・打 | |||
---|---|---|---|---|---|
Fl. | 3, Picc. 2 | Tp. | 3 | Cb. | |
Ob. | 3 | Hr. | 4 | Timp. | ● |
Fg. | 3, Cfg. | Tbn. | 3 | 他 | 6 players: Antique Cymbals (C, C♯, D), Anvil, Bass Drum, Bongos (large 1, medium 2, small 2), Cymbals (crash, large suspended, small suspended 4, hi-hat, sizzle), Crystal Wine Glasses 2, Glockenspiel, Gong (small 2), Marimba, Ratchet, Slide Whistle, Snare Drum, Tam Tam, Tambourine, Temple Blocks (large 2, medium 1, small 2), Tenor Drum, Tom-Toms (large 3, medium 3, small 2), Triangle (large), Vibraphone, Wood Block (small), Xylophone |
Cl. | 3, E♭, Bass, C-Bass | Eup. | |||
Sax. | Alt. 2 Ten. 1 Bar. 1 | Tub. | ● | ||
その他 | Harp, Piano, Electric Organ |
構成
[編集]以下の5曲からなる。各曲の演奏時間はマロリー・トンプソン(Mallory Thompson)指揮、ノースウェスタン大学シンフォニック・ウィンド・アンサンブルの演奏によるCD(Summit Records DCD 294、2001年)の表記に基づく。日本語訳は参考文献に基づくが、曲名の日本語と合わせて「~の夢」の形にされていることもある。
- 月面に砂漠があって、そこではこの少女はあまりにも深く土のなかに沈んでいったので、とうとう地獄に達してしまう。
- (There is a desert on the moon where the dreamer sinks so deeply into the ground that she reaches hell.)
- 4分46秒
- 酒に酔っぱらった女の人が水のなかに落ち込み、よくなって正気になって出てくる。
- (A Drunken woman falls into the water and comes out renewed and sober.)
- 4分20秒
- 小さい動物の群れが、夢を見ているこの子を脅かす。動物たちはものすごい大きさになり、そのうちの一匹はこの少女を呑みこむ。
- (A horde of small animals frightens the dreamer. The animals increase to a tremendous size, and one of them devours the little girl.)
- 3分31秒
- 一滴の水が、顕微鏡で見ているように見える。少女は、その一滴の水に木の枝が詰まっているのを見る。このことは世界の起源を示しているものである。
- (A drop of water is seen as it appears when looked at through a microscope. The girl sees that the drop is full of tree branches. This portrays the origin of the world.)
- 12分04秒
- 天国へ上がって行くと、そこでは異教徒の踊りの儀式が行なわれている最中である。そして、地獄へ下りて行くと、天使たちが善行を行なっている最中である。
- (An ascent into heaven, where pagan dances are being celebrated; and a descent into hell, where angels are doing good deeds.)
- 9分44秒
脚注
[編集]- ^ 日本においては原題とは語順を変えて『子どもの庭の夢』という題を付けることも多いが、組曲の各曲のタイトルからもわかるようにここではGardenはいわゆる庭よりも広い区画を示す概念であり(一般的な例では、the Garden of Eden=エデンの園など)、「子どもの夢の園」のように訳すのが作品の原意に近い。
- ^ 同様に12の夢にインスパイアされた作品として、他にオフ・ブロードウェイ作品「Twelve Dreams」がある。
参考文献
[編集]- 『人間と象徴 - 無意識の世界』河合隼雄(監訳)(初版)、河出書房新社、東京都千代田区、1972年。
- 『子どもの夢 I』氏原寛(監訳)(初版)、人文書院、京都市伏見区〈ユング・コレクション 8〉、1992年。ISBN 4409310283。
- 『子どもの夢 II』氏原寛(監訳)(初版)、人文書院、京都市伏見区〈ユング・コレクション 9〉、1992年。ISBN 4409310291。
外部リンク
[編集]- 作曲者の楽曲紹介ページ (出典を兼ねる)