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太平洋横断機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
太平洋横断機
China Clipper
ロビーカード
監督 レイ・エンライト
脚本 フランク・ウィード
ノーマン・ライリー・レイン英語版(ダイアログ補充:クレジットなし)
製作 サミュエル・ビショフ英語版
出演者 パット・オブライエン
ロス・アレクサンダー
ビバリー・ロバーツ
音楽 バーナード・カウム英語版
ハインツ・レムフェルド英語版
撮影 アーサー・エディソン英語版
編集 オーエン・マークス英語版
制作会社 ファースト・ナショナル映画
配給 ワーナー・ブラザース
公開
  • 1936年8月22日 (1936-08-22) (アメリカ合衆国)
  • 1937年2月1日 (1937-02-01) (日本[1])
上映時間 85分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
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太平洋横断機』(たいへいようおうだんき、China Clipper)は、レイ・エンライト英語版が監督し、フランク・ウィード英語版の脚本で1936年に制作されたドラマ映画[2]ファースト・ナショナル映画英語版が制作、その親会社であるワーナー・ブラザースが配給し、パット・オブライエンロス・アレクサンダー英語版ハンフリー・ボガートが出演したほか、最後の映画出演作となった名優ヘンリー・B・ウォルソール英語版がダッド役を演じた[3]。撮影当時、ウォルソールは既に健康を害しており、その状態も役柄に取り込まれ、結局本作の制作中に彼は死去した[4]

あらすじ

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飛行機製造会社のセールスマンだったローガンは、独立して空輸会社を設立しようと画策し、やがて飛行士トム・コリンスや設計技師ダッド・プランと共に、フィラデルフィアに本社を置く小さな空輸会社を創業する。しかし、程なくしてスポンサーが引き揚げてしまい、彼らの会社は閉鎖を余儀なくされる。その後、新たに会社を作った3人は、第一次世界大戦時のローガンの戦友ハップ・スチュアートも仲間に加えて、中国まで飛行可能な大型機を製造し、航空路を開拓しようとする。

キャスト

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このほか、クレジットなしの端役で、アーヴィング・ベーコンが出演している。

制作

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マーチン M130 チャイナ・クリッパー (China Clipper)。

脚本のフラン・"スピッグ"・ウィードは、パンアメリカン航空を創業したファン・トリップの、特に創業直前の事績をなぞって本作の脚本を書いた[5]。パンナムの協力を得て撮影された本作は、マーチン M130を捉えた実際のニュース映画の映像や、新たに撮影された映像を、作品の随所に盛り込んでおり、トリップの人生に実際に起こった出来事をそのまま描いていることを強調していた[6]。航空映画の歴史を研究しているマーク・キャリソン (Mark Carlson) は、『太平洋横断機』を「世界最大級の航空会社のための宣伝広告も同然 (veiled advertisement for what was once one of the greatest airlines in the world)」だとしている[7]

『太平洋横断機』における飛行シーンは、映画のハイライトであり、有名なハリウッドのスタント・パイロットだったポール・マンツが、ベテランのエルマー・ダイアー英語版ハンス・F・コーネカンプとともに、リアルな航空映像を作り上げている[4]。映像の中には、当時まだ建設中で未完成であったゴールデン・ゲート・ブリッジの上空を飛行機が飛ぶ場面もある。この作品は、新しい技術による移動手段が、まさに開発されていく段階でハリウッドのカメラに捉えられた、稀有な例である[8]

『太平洋横断機』に登場する飛行機には、以下のようなものが含まれている。

評価

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本作の配役や物語の展開はワーナー・ブラザースに典型的なものであったが、その紋切り型の組み合わせも、太平洋横断航空路の開設を描いたタイムリーな描写の価値を損なわず、『太平洋横断機』は好評を得ることができた。フランク・ニュージェント英語版は、『ニューヨーク・タイムズ』紙の映画評で、「魅力的で驚異的な文字通りのドラマ化により、昨年11月のチャイナ・クリッパーによる太平洋横断飛行を描いたこの映画は、技術面における正確な描写と、飛行艇の行程を描くにあたって航空映画のメロドラマにありがちな要素を排した驚くほどの描写において、賞賛に値する」と述べた[10]

日本での公開

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日本では、1937年2月1日日本劇場で封切られが、その宣伝文句は、「見よ!此の偉大なる空の怪物を!」[1]、「世界一の巨人飛行機」などと、もっぱら巨大飛行機の映像という点が強調されていた[11]

大衆文化の中で

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『太平洋横断機』の作中の台詞で何回も繰り返される「チャイナ・クリッパーよりアラメダへ (China Clipper calling Alameda)」という呼びかけは、モンキーズ1967年のアルバム灰色の影 (Headquarters)』に収録された、語りによって構成されたトラック「ミスター・ゼルチ (Zilch)」の中で、デイビー・ジョーンズによって繰り返されている。

脚注

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  1. ^ a b 「[広告]映画「太平洋横断機」/ 日本劇場」『読売新聞・朝刊』1937年2月1日、5面。「本一日より / ...太平洋の怒濤を超えて飛行また飛行。遂に新航空路開拓の輝かしき偉業を樹立した新鋭機チャイナ・クリッパー!...見よ!此の偉大なる空の怪物を!」 - ヨミダス歴史館にて閲覧:ただし、この広告にもちいられている航空機の写真は、飛行艇であるマーチン M130とは形状が異なっている。
  2. ^ "Full credits: 'China Clipper' (1936)." Turner Classic Movies, 2019. Retrieved: August 11, 2019.
  3. ^ Halliwell 1989, p. 186.
  4. ^ a b "Notes: 'China Clipper' (1936)." Turner Classic Movies, 2019. Retrieved: August 11, 2019.
  5. ^ Tatara, Paul. "Articles: 'China Clipper' (1936)." Turner Classic Movies, 2019. Retrieved: August 11, 2019.
  6. ^ Yenne 2003, p. 82.
  7. ^ Carlson 2012, p. 191.
  8. ^ The American Film Institute Catalog of Motion Pictures Produced in the United States: Feature Films, 1931-1940. Berkeley, California: University of California Press, 1993. ISBN 978-0-52007-908-3
  9. ^ Santoir, Christian. "Review: 'China Clipper' (1936)." Aeromovies, November 30, 2013. Retrieved: August 11, 2019.
  10. ^ Nugent, Frank S. China Clipper (1936) "The screen: Warners' 'China Clipper' at Strand documents dramatic story of a transpacific flight." The New York Times, August 12, 1936. - "A fascinating and surprisingly literal dramatization of the China Clipper's transpacific flight of last November, the picture deserves a respectful accolade both for its technical accuracy and for its rather astonishing refusal to describe the flying boat's journey in the stock terms of aerial melodrama"
  11. ^ 「[広告]映画「太平洋横断機」ほか / 日本劇場」『読売新聞・夕刊』1937年2月7日、5面。「世界一の巨人飛行機はチャイナ・クリッパーです精鋭無比の威力を目の邊り!」

参考文献

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  • Carlson, Mark. Flying on Film: A Century of Aviation in the Movies, 1912–2012. Duncan, Oklahoma: BearManor Media, 2012. ISBN 978-1-59393-219-0.
  • Halliwell, Leslie. Leslie Halliwell's Film Guide. New York: Harper & Roe, 1989. ISBN 978-0-06016-322-8.
  • Yenne, Bill. Seaplanes & Flying Boats: A Timeless Collection from Aviation's Golden Age. New York: BCL Press, 2003. ISBN 1-932302-03-4.

外部リンク

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