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天下御免 (ゲーム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

天下御免』(てんかごめん)は、アートディンク1994年4月にパーソナルコンピュータ向けに発売したシミュレーションゲーム。1999年12月にはWindows 95に移植されている。元禄時代に生きる商人の人生をシミュレートするという、それまでにない斬新で挑戦的なジャンルであったことなどから、一定のファンを獲得したもののシリーズ化には至らず、同様のジャンルの作品が開発されることもなかった。2007年4月1日よりプロジェクトEGGにて配信されている[1]

概要

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プレイヤーは10種ある問屋(染物問屋、材木問屋など)から1つを選ぶ。ライバルの問屋と競争し、御店(おたな)を大きくし、シェアを可能な限り独占することが目標だが、特に設定されたゴールはない。スタート時に20代の主人公が死去するとゲームは終了となる。舞台は元禄時代の江戸。自分の御店以外には港(船頭に商品買い付けの指示を出せる)、お寺(富くじの購入や突発的なイベントなどが起こる)などごく限られた場所にしか移動できない。プレイヤーはその限られた場所で商売をし、当時の世相、文化を反映したイベントをこなすことになる。たとえば、幕府の役人に賄賂を届けて便宜を図ってもらったり[2]盗賊に備えたり、ライバルを暗殺したりするため用心棒を雇う(用心棒として赤穂事件に拘わる事になる堀部安兵衛を雇うと、討入り前に去るイベントがある)、問屋仲間との会合、定期的にやってくる岡っ引きに袖の下を渡す[2]抜け荷密貿易)で西洋のものを仕入れて大儲けする、遊郭に通って遊女と親しくなる[2]、親しくなった遊女をとして囲ったり[* 1]にしたりする、などである。犯罪が露見すると遠島になったり、処刑されたりする。死に際に一言周囲の言葉を聞くことができる(行動によっては「妾の出る幕じゃない」など、つまらないセリフで送られることになる)。

システム

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商売人の人生をシミュレートするゲームなのだが、この手のゲームには珍しく主人公として商売に干渉できる範囲が非常に限られているという特異なシステムになっている。上記のように主人公は基本的に江戸から動けず[* 2]、商品の仕入れにしても雇った船頭にお金を渡し、仕入先を指定した後は全くなにもできない。船頭が仕入れ金の一部をちょろまかす可能性すらあるが、仕入れ価格が分からない以上それを突き止めるのは難しい。そのように船頭は非常に重要な存在なのだが、パラメーターが不可視のゲームであるため世話人の推薦人物を信用するか自分で適当に選ぶしかない。商売の方にしても店員を雇った後は基本的に出荷調整を行うか行わないか、何日働くかを指定できるだけで商品の売り方や値段などに干渉する事はできない。

結局プレイヤーにできるのは雇う人間(世話人、丁稚手代用心棒)の吟味や人事程度で[* 3]、幕府やの要人に袖の下を渡して自分の船が寄港できるようにして貰ったり[* 4]、出世しそうな人物と懇意にしておいて将来に備えたり、寄港を許してもらった藩の要人(家老)に定期的に会いに行ったり[* 5]、幕府の要人を口説いて天領への寄港を許してもらったり、犯罪発覚時に備えて町方の奉行と懇意にしておいたり[* 6]などと商売より人間付き合いがメインになる事が多い。特に近くて便利な場所に自分の扱う商品を産出する寄港地を確保するのは重要であり、またその藩に投資すると商品の生産力が上がったりする[* 7]

このゲームではそれらの裏の顔とは別に「町人の人気」と言うものが重要であり、町人から好かれるのには基本的に大盤振る舞いをして気前の良い所を見せ付けるのが肝要となる。散歩中に金に困っている娘を見つけたら金を渡し、橋から飛び降りようとしている若い男がいれば事情を聞き(そして最終的には金を渡し)、吉原に行けば全員の分の金を出し、知り合いが病気になれば見舞金を大盤振る舞いして完治したらまた祝い金を大盤振る舞いする、船や蔵の完成祝いを盛大に出す、商人の組合で決まった出荷調整は無視し[* 8]、等と紀伊國屋文左衛門的な行為が人気を博すようだ[* 9]

システム的には自由度が高いが故に逆に人を選ぶゲームとなってしまっている。ただし、その様な些事が面倒くさい場合は雇った手代の一人を大番頭に任命して実務をほぼ全て丸投げ[* 10]してしまう事もできる。ただしその大番頭が有能だとは限らないため(他の人物と同じく、パラメーターが不可視なため判断のしようがない)、任せていて経営が安心かと言うとそうは限らない。また、何らかの理由で主人公が遠島になってしまった場合などは[* 11]その期間中大番頭が全ての職務を代行する事となる。

脚注

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  1. ^ 当然その場合は身請する必要があり、相手のランクによって金額は変動する。遊女に好かれていない場合など、断られてしまう場合もある。
  2. ^ 観光・慰安旅行の一環として当時の有名な観光地(伊勢神宮など)に行く事はできるものの、本当に観光しかできない。
  3. ^ その際に世話人を雇っている場合、色々とアドバイスしたり人を見つけてきてくれるが必ずしも世話人の推薦人物が優秀とは限らない。
  4. ^ 一つの港に寄港できる商家の数には限りがあるため、既に埋まっている港への寄港権を得ると今まで寄港が許されていた商人が一人蹴り出されてしまい、その商人から恨まれる事になる。
  5. ^ 寄港権を得ても、その後無視していると嫌がらせとして商品の仕入れ量を制限されることがある。当然他の商人に寄港権を奪われる可能性もある。
  6. ^ 懇意にしておいた場合、麻薬密輸の現場を押さえられても町方の奉行が温情にあふれる裁きをしてくれたりする(「これは〇〇屋を陥れようとする陰謀に違いない!」など)。定期的に見回りに来る同心などを手なずけておけばご禁制の品を見つけても「見なかった事」にしてくれたり、そもそもがさ入れ(抜け荷改め)を行わなかったりする。
  7. ^ 商品には季節性があるものもあり、年中生産されるものでも生産量が限られている。大阪には最初から寄港可能であり商品は何でも揃うものの、上方の商人が仕入れたものを買っているため利益が少ない。
  8. ^ 当然商人仲間からは嫌われるが。
  9. ^ 紀伊國屋文左衛門はゲーム中にも材木問屋として登場し、人気版付けの上位に君臨している事が多い。
  10. ^ 任せる部分と任せない部分がかなり細かく設定できるため、商売のみ任せる事も可能。大番頭は基本的に大盤振る舞いをしないため、人気者になりたければそれらの項目は自分が行った方が良い。
  11. ^ 暗殺を依頼した事が発覚する、やくざと賭博に興じている現場を抑えられる、密輸がばれる、など。

出典

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  1. ^ 天下御免,プロジェクトEGG,レトロゲーム配信サイト”. D4エンタープライズ (2007年4月1日). 2018年8月13日閲覧。
  2. ^ a b c 『徹底評価』[要ページ番号]

参考文献

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  • 東京電脳倶楽部、1994、『パソコンソフト徹底評価』  ISBN 4-534-02244-1 pp. p.221

外部リンク

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