コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

大須賀力

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大須賀 力
(おおすか つとむ)
ファイル:ママ・・・ご本をよんで
千葉県市川市の生涯学習センターに設置された『ママ・・・ご本をよんで』1998年
生誕 1906年3月26日
東京都千代田区
死没 (2009-07-24) 2009年7月24日(103歳没)
千葉県市川市
国籍 日本の旗 日本
教育 東京高等工芸学校
出身校 東京美術学校
著名な実績 彫刻
代表作 『首飾りの女』『若い女』『或るポーズ』
受賞 勲四等瑞宝章
テンプレートを表示

大須賀 力(おおすか つとむ、1906年3月26日[1] - 2009年7月24日[2])は、日本彫刻家。1979年、勲四等瑞宝章受章[1]。1994年、千葉県市川市名誉市民[1][3]。多くの彫刻作品が市川市内施設、千葉県内各地に設置されている[4] [5]

略歴

[編集]

1906年、東京都千代田区生まれ[1]

1923年、東京高等工芸学校彫刻部に入学[6]。1926年、東京美術学校(現:東京芸術大学)彫刻科塑像部に入学。学科は異なるものの、同期には加藤栄三東山魁夷らがいる[7]。1928年、千葉県市川市に移住[6]

1930年、東京美術学校に在学中の第11回帝展に初入選し、その後毎回出品する。1931年東京美術学校卒業。建畠大夢に師事。1932年の『首飾りの女』が第13回帝展の特選を受賞[8]

1950年、東京美術学校昭和6年卒業の有志14人で「六窓会」結成。1958年、社団法人日展が発足し評議員に就任[9]

1973年、『或るポーズ』が内閣総理大臣賞[6]。1976年、『椅子と女』が千葉県立美術館に買い上げ収蔵され、同年、千葉県文化功労者の表彰を受ける[8]

その後も精力的に活動を続け、1987年12月、市川市文化会館で市川の作家展シリーズの第1回として 『大須賀力彫刻展』が開催され[10][11]、2005年、99歳の時に市川市芳澤ガーデンギャラリーにて白寿記念の展覧会が開催される[12]

2009年7月24日死去。103歳没[2]

作品傾向と評価

[編集]

屋外展示されているものを除き、単体の若い裸婦をモチーフにしたものが多い。大須賀本人は「裸婦の美しさに魅せられている」と語っている[13]。抽象的なものはなく具象的で、トルソ胸像よりも人物全体の作品が多い[6]

本間正義は「非凡の凡たる表現こそ、目減りすることのない本当の芸術」と評しており、建畠覚造は「非常にストリクト(厳格)な彫刻の骨格は、裸婦を通じて弛みなく続けられる一方、ストリクトな造形に生の息吹を与えてきた」と述べている[6]

主な作品

[編集]
  • 『首飾りの女』第13回帝展特選
  • 『或るポーズ』内閣総理大臣賞

日展

[編集]
  • 『若い女』第13回 日展[14]
  • 『ゆう』第18回 日展[15]
  • 『T氏像』第30回 日展[16]
  • 『編む人』第31回 日展[17]
  • 『画家T.E氏』第32回 日展[18]

屋外展示

[編集]

千葉県内(移設されているものもあり)

[編集]
  • 『時の流れ』 ー 市川市立市川歴史博物館[4]
  • 『ママ…ご本をよんで』 - 市川市生涯学習センター(メディアパーク市川)[4]
  • 『讃市川』 ー 市川市役所[4]
  • 『蒼空へ自由・愛・平和』 - 市川市民会館[4]
  • 『回想』 - 真間川河川敷[4]
  • 『悦び花を飾りて』 - 鎌ケ谷市貝柄山公園[5]
  • 『歓び』 - 船橋駅前[5]
  • 川口為之助像』 - 、千葉県庁舎前[19]
  • 宮内三朗像』 - 千葉市港公園[19]
  • 『朝粧』 - 八街町中央公民館[19]
  • 浅井忠像」 - 千葉県立美術館[19]

千葉県外

[編集]

苗字の読みについて

[編集]

2022年2月現在、独立行政法人国立美術館の所蔵作品検索では「OSUGA, Tsutomu」となっており[22]、Webcat Plusでは「オオスガ ツトム」となっている[23]

しかしながら、『市川ひと事典』[1]や読売新聞による訃報[2]で「おおすか つとむ」と読みの表記がされていること、および千葉県立博物館の資料データベースに記載された表記[24]、また、市川市内に設置された屋外彫刻に彫られたサインが「Tsu.Ohsuka」「T.OHSUKA」などであることから、本稿では「おおすか」と表記する。

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e 市川ひと事典制作委員会『市川ひと事典』市川ひと事典制作委員会、2004年12月1日、49頁。ISBN 4902911000 
  2. ^ a b c “訃報欄”. 読売新聞 東京朝刊 京葉: p. 33. (2009年7月25日) 
  3. ^ 市川市名誉市民・市民栄誉賞”. 市川市. 2022年8月8日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 大須賀力  市内の野外彫刻作品 | 市川市公式Webサイト”. www.city.ichikawa.lg.jp. 2022年2月3日閲覧。
  5. ^ a b c 【彫刻一筋に生き抜いた103年】市川市出身の大須賀力さん | 千葉県、埼玉県中心の口コミ情報、地域の声がみえるチイコミ!”. chiicomi.com (2021年7月11日). 2022年2月3日閲覧。
  6. ^ a b c d e 『市川の作家展シリーズ-第1回 大須賀力彫刻展 市川在住六十年の軌跡』市川市教育委員会、1987年12月2日。 
  7. ^ 加藤栄三追想集刊行委員会『流離の灯』美術年鑑社、1991年5月11日、30頁。ISBN 4892101087 
  8. ^ a b 大須賀 力 プロフィール | 市川市公式Webサイト”. www.city.ichikawa.lg.jp. 2022年2月3日閲覧。
  9. ^ 『市川市名誉市民』市川市、2004年11月、7頁。 
  10. ^ 市川市の文学・美術図書 | 市川市公式Webサイト”. www.city.ichikawa.lg.jp. 2022年2月3日閲覧。
  11. ^ 収蔵美術作品展・街かど移動美術館 | 市川市公式Webサイト”. www.city.ichikawa.lg.jp. 2022年2月3日閲覧。
  12. ^ 市川の文化人展 白寿記念 彫刻家 大須賀力 | 市川市公式Webサイト”. www.city.ichikawa.lg.jp. 2022年2月3日閲覧。
  13. ^ 『裸婦 素描』大日本絵画、1981年5月1日、207頁。 
  14. ^ 高田誠『第十三回 日展作品集』社団法人 日展、1981年11月8日、106頁。 
  15. ^ 北村治禧『第十八回 日展作品集』社団法人 日展、1986年11月8日、104頁。 
  16. ^ 関主税『第三十回 日展作品集』社団法人 日展、1998年11月2日、97頁。 
  17. ^ 橋本堅太郎『第三十一回 日展作品集』社団法人 日展、1999年11月2日、94頁。 
  18. ^ 橋本堅太郎『第三十二回 日展作品集』社団法人 日展、2000年11月2日、91頁。 
  19. ^ a b c d 中地昭男『房総美術の往還 近代日本美術の黎明を追って』求龍堂、1991年8月、268-271頁。 
  20. ^ 旧岐阜市役所のシンボル「鵜の銅像」引っ越し うかいミュージアムに移設(岐阜新聞)2022年5月9日閲覧
  21. ^ a b 「鵜の銅像」うかいミュージアムで再デビュー 岐阜市役所旧本庁舎から移設(岐阜新聞)2022年8月4日閲覧
  22. ^ 独立行政法人国立美術館・所蔵作品検索”. web.archive.org (2022年2月4日). 2022年2月4日閲覧。
  23. ^ 大須賀 力 - Webcat Plus”. web.archive.org (2022年2月4日). 2022年2月4日閲覧。
  24. ^ 資料詳細 | 千葉県立博物館 資料データベース”. web.archive.org (2022年2月4日). 2022年2月4日閲覧。