大隅石
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大隅石 | |
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大隅石(ドイツ産) | |
分類 | ケイ酸塩鉱物 |
シュツルンツ分類 | 9.CM.05 |
Dana Classification | 63.2.1a.6 |
化学式 | (K,Na)(Fe,Mg)2(Al,Fe)3(Al2Si10O30)・H2O |
結晶系 | 六方晶系 |
単位格子 | a = 10.15Å、c = 14.25Å |
へき開 | なし |
モース硬度 | 7 |
光沢 | ガラス光沢 |
色 | 深青色 |
条痕 | 白色 |
比重 | 2.6 |
文献 | [1][2][3] |
プロジェクト:鉱物/Portal:地球科学 |
大隅石(おおすみせき、osumilite)は、鉱物(ケイ酸塩鉱物)の一種。化学組成は (K,Na,Ca)(Fe,Mg)2(Al,Fe3+)3Si10Al2O30・H2O、結晶系は六方晶系。大隅石グループの鉱物。
鹿児島県垂水市咲花平で発見され、1956年に都城秋穂によって新種記載された。名前は発見地の大隅半島にちなむ。
産出地
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日本では、原産地のほかに、鹿児島県内各地の流紋岩内や岐阜県飛騨市月ヶ瀬や伊豆諸島の神津島などで産する。
性質・特徴
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普通は結晶の大きさは数mm程度までである。
マグネシウムが2価の鉄よりも多いものは苦土大隅石と呼ばれるが、肉眼での判別はできない。
サイド・ストーリー
[編集]戦前に益富壽之助によって初めて発見され[4]、1942年に森本良平がもらい受けて分析し、1949年に論文として発表された[5]が、当時は菫青石と誤認された。ただし、この時点で菫青石にはないカリウムの存在及び光学的一軸性が指摘されていた。
東京大学の都城は、森本から試料を譲り受けて分析した結果、1951年には新鉱物という結論に達し、1953年に日本語論文で発表、1956年に正式に新種記載された。命名は久野久による。
都城が発表した化学式及び構造はその後修正され[6][7]、端成分は鉄とされた。一部の論文に記述[8][9]されていたマグネシウムを含む「苦土大隅石」は、記載論文が無いまま国際鉱物学連合において既成事実化した。その点に注目したロシアの研究チームがドイツ産の標本を元に論文を発表し、苦土大隅石は2012年に新種記載された[10]。
益富は、大隅石発見に貢献したことから1973年に櫻井賞の第3号メダルを授与された。
大隅石グループ
[編集]- アルミノ杉石(Aluminosugilite) - KNa2Al2Li3Si12O30)[11]
- armenite(?) - BaCa2Al6Si9O30・2H2O
- berezanskite - KLi3Ti2Si12O30
- brannockite - KLi3Sn2Si12O30
- chayesite - K(Mg,Fe2+)4Fe3+Si12O30
- darapiosite - KNa2Li(Mn,Zn)2ZrSi12O30
- dusmatovite - K(K,Na,□)(Mn2+,Y,Zr)2(Zn,Li)3Si12O30
- eifelite - KNa3Mg4Si12O30
- emeleusite - Na4Li2Fe3+2Si12O30
- merrihueite - (K,Na)2(Fe2+,Mg)5Si12O30
- ミラー石 (milarite) - KCa2AlBe2Si12O30・0.5H2O
- 大隅石 (osumilite) - (K,Na)(Fe2+,Mg)2(Al,Fe3+)3(Si,Al)12O30
- 苦土大隅石 (osumilite-(Mg)) - (K,Na)(Mg,Fe2+)2(Al,Fe3+)3(Si,Al)12O30
- ポードレッタイト(poudretteite) - KNa2B3Si12O30
- ロダー石 (roedderite) - (Na,K)2(Mg,Fe2+)5Si12O30
- ソグディアナイト (sogdianite) - (K,Na)2(Li,Fe2+)3(Zr,Ti,Fe3+)Si12O30
- 杉石 (sugilite) - KNa2(Fe2+,Mn2+,Al)2Li3Si12O30
- 八木石 (yagiite) - (Na,K)1.5Mg2(Al,Mg)3(Si,Al)12O30
脚注
[編集]- ^ 国立天文台編『理科年表 平成20年』丸善、2007年、645頁。ISBN 978-4-621-07902-7。
- ^ Osumilite (英語), MinDat.org, 2011年11月7日閲覧。
- ^ Osumilite-(Fe) (英語), WebMineral.com, 2011年11月7日閲覧。
- ^ Morimoto (1948) On the Modes of Occurrence of Cordierite from Sakkabira, Town Taru-mizu, Kimo-tsuki Province, Kagoshima Prefecture, Japan. Bulletin of the Earthquake Research Institute, 25, 33-35.
- ^ 森本,湊 (1949) 鹿皃島縣肝屬郡垂水町早崎咲花平産菫青石の産出状態. 岩石鉱物鉱床学会誌, 33, 51-61.
- ^ Brown, Gibbs (1969) Refinement of the crystal structure of osumilite. American Mineralogrst, 54, 101-116.
- ^ Armbruster T., Oberhänsli R. (1988) Crystal chemistry of double-ring silicates: structural, chemical, and optical variation in osumilites. American Mineralogist, 73, 585-594.
- ^ Chinner, Dixon (1973) Irish osumilite. Mineralogical Magazine, 39, 189-192.
- ^ 横溝, 宮地 (1978) 万年山熔岩中の大隅石の化学組成. 73, 180-182.
- ^ Chukanov, Pekov, Rastsvetaeva, Aksenov, Belakovskiy, Van, Schuller, Ternes (2012) Osumilite-(Mg): Validation as a mineral species and new data. Zapiski Rossiiskogo Mineralogicheskogo Obshchetstva, 141, 27-36.
- ^ 新鉱物「アルミノ杉石」を発見!、山口大学、2019年6月7日
参考文献
[編集]- Akiho MIYASHIRO (1953). “Osumilite, a New Mineral, and Cordierite in Volcanic Rocks” (PDF). Proceedings of the Japan Academy (The Japan Academy) 29 (7): 321-323. doi:10.2183/pjab1945.29.321. ISSN 0021-4280. JOI:JST.Journalarchive/pjab1945/29.321 .
- Akiho Miyashiro (1956). “Osumilite, a new silicate mineral and its crystal structure” (PDF). American Mineralogist (Mineralogical Society of America) 41: 104-116. ISSN 0003-004X. NAID 10003976718 .
- 松原聰『日本の鉱物』学習研究社〈フィールドベスト図鑑〉、2003年、190頁。ISBN 4-05-402013-5。
- 松原聰、宮脇律郎『日本産鉱物型録』東海大学出版会〈国立科学博物館叢書〉、2006年、94頁。ISBN 978-4-486-03157-4。
- 青木正博『鉱物分類図鑑 : 見分けるポイントがわかる』誠文堂新光社、2011年、147頁。ISBN 978-4-416-21104-5。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Osumilite Group (英語), MinDat.org, 2011年11月7日閲覧。
- 福岡正人. “Osumilite〔大隅石〕グループ”. 地球資源論研究室. 広島大学大学院総合科学研究科. 2011年11月7日閲覧。
- 大隅石 - 東京大学物性研究所・浜根大輔