大渕憲一
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大渕 憲一(おおぶち けんいち、1950年4月4日 - )は、日本の社会心理学者。東北大学名誉教授、放送大学宮城学習センター所長[1]。専門分野は人間の攻撃性、葛藤解決、紛争解決、社会的公正、犯罪心理学である。近年は公共事業政策に関する研究など、社会的還元性を強く意識した研究を行っている。秋田県出身。
※氏名の英語表記はOhbuchi Ken-ichiに統一されている。
略歴
[編集]1969年秋田県立能代高等学校卒業、1973年東北大学文学部哲学科卒業、1977年同大学院文学研究科博士課程中退。1996年 「攻撃性の社会心理学」で東北大学文学博士。1977年大阪教育大学教育学部助手、1979年講師、1980年助教授、1988年東北大学文学部社会学科社会心理学講座助教授、1997年教授、2000年文学研究科教授、2011年から2013年文学部長・文学研究科長、2016年定年退任、名誉教授[2]。
受賞
[編集]- 日本社会心理学会学会賞優秀論文賞 (2003)
- 紛争解決国際学会1998年次大会実証研究優秀賞 (1998)
- 日本心理学会研究奨励賞 (1999)
- 紫綬褒章(2016年秋)[3][4][5]
- 瑞宝中綬章(2023年秋)[6][7]
著書
[編集]- 『心理テストの使い方』ぎょうせいヘルス・ライブラリー 1983
- 『人を傷つける心 攻撃性の社会心理学』サイエンス社 セレクション社会心理学 1993
- 『攻撃と暴力 なぜ人は傷つけるのか』丸善ライブラリー 2000
- 『満たされない自己愛 現代人の心理と対人葛藤』ちくま新書 2003
- 『思春期のこころ』ちくまプリマー新書 2006
- 『犯罪心理学 犯罪の原因をどこに求めるのか』培風館 心理学の世界 2006
- 『親を殺す「ふつうの子ども」たち 「ありふれた家庭」の「ありふれた期待」がもたらす危険』PHP研究所 2009
- 『謝罪の研究 釈明の心理とはたらき』東北大学出版会 人文社会科学ライブラリー 2010 ISBN 978-4-86163-132-0
- 『失敗しない謝り方』CCCメディアハウス 2015
- 『紛争と葛藤の心理学 人はなぜ争い、どう和解するのか』サイエンス社 セレクション社会心理学 2015
編著・監修
[編集]- 『保健指導実践講座 7 保健分野における心理テストの活用』編著 ぎょうせい 1988
- 『紛争解決の社会心理学』編著 ナカニシヤ出版 現代応用社会心理学講座 1997
- 『日本人の公正観 公正は個人と社会を結ぶ絆か?』編著 現代図書 2004
- 『葛藤と紛争の社会心理学 対立を生きる人間のこころと行動』編著 北大路書房 シリーズ21世紀の社会心理学 2008
- 『紛争・暴力・公正の心理学』監修 北大路書房 2016
共編著
[編集]- 『子どもの暴力と登校拒否 その原因と対策』菊池武剋共著 ぎょうせいヘルス・ライブラリー 1983
- 『心の内と外 心理学の諸相』石田雅人共編 勁草書房 1986
- 『学習指導の心理学』石田雅人共編著 ぎょうせい 1989
- 『パーソナリティと対人行動』堀毛一也共編 誠信書房 対人行動学研究シリーズ 1996
- 『紛争解決の社会心理学』編著 ナカニシヤ出版 現代応用社会心理学講座 1997
- 『人間科学研究法ハンドブック』高橋順一,渡辺文夫共編著 ナカニシヤ出版 1998
- 『感情心理学パースペクティブズ 感情の豊かな世界』畑山俊輝,仁平義明,行場次朗,畑山みさ子共編 北大路書房 2005
- 『心理学総合事典』海保博之,楠見孝監修 佐藤達哉,岡市廣成,遠藤利彦,小川俊樹共編 朝倉書店 2006
- 『心理学の視点20』阿部恒之,行場次朗,辻本昌弘,仁平義明共著 国際文献印刷社 2007
- 『葛藤と紛争の社会心理学 対立を生きる人間のこころと行動』編著 北大路書房 シリーズ21世紀の社会心理学 2008
- 『社会階層と不平等』原純輔,佐藤嘉倫共編著 放送大学教育振興会 2008
翻訳
[編集]- G.R.パターソン『家族変容の技法をまなぶ 入門:親と子どものための社会的学習理論』川島書店 1987
- A.H.バス『対人行動とパーソナリティ』監訳 北大路書房 1991
- E.アラン・リンド,トム・R.タイラー『フェアネスと手続きの社会心理学 裁判、政治、組織への応用』菅原郁夫共訳 ブレーン出版 1995
- トム・R.タイラー,フェザー・J. スミス,ロバート・J. ボエックマン,ユェン・J. ホー『多元社会における正義と公正』菅原郁夫共監訳 ブレーン出版 2000
- M.ジョーンズ, A.C.フェビアン共編『コンフリクト』熊谷智博共訳 培風館 2007
- ダニエル・バル・タル編著『紛争と平和構築の社会心理学 集団間の葛藤とその解決』熊谷智博共監訳 北大路書房 2012
所属学会
[編集]- 日本犯罪心理学会会長 (2003-2012)
- アジア社会心理学会副編集長 (2004- )
- 日本心理学会副編集長(2003- )
- Psychology, Crime, and Law編集員(1992- )
- 日本社会心理学会理事(1993-2000)
- 日本グループ・ダイナミックス学会常任理事(2001-2004)
- 日本心理学諸学会連合理事(2003- )
主要論文
[編集]- Apology as aggression control : Its role in mediating appraisal of and response to harm(Journal of Personality and Social Psychology, 1989)
論文(2000年以降のもの)
[編集]- 大渕憲一(2005). 公共事業政策に対する公共評価の心理学的構造:政府に対する一般的信頼と社会的公正感 実験社会心理学研究vol45(1)
- 大渕憲一(2005). 政策の公共受容と社会的合意形成:社会心理学的アプローチの可能性 実験社会心理学研究vol45(1)
- Ohbuchi, Ken-ichi, Tamura, T., Quigley, B.M., Tedeschi, J.T., Madi, N., Bond, M.H., & Mummendey, A (2004). Anger, blame, and dimensions of perceived norm violation: Culture, gender, and relationships. *Journal of Applied Social Psychology vol34 (8)
- Ohbuchi, Ken-ichi & Suzuki, M (2003). Three dimentions of conflict issues and their effects on resolution strategies in organizational settings. International Journal of Conflict Management,14(1)
- 大渕憲一・福野光輝(2003) 社会的公正と国に対する態度の絆仮説:多水準公正評価. 社会心理学研究 vol18
- 大渕憲一、福野光輝、今在慶一朗(2002) 国の不変信念と社会的公正感:デモグラフィック変数、国に対する態度、及び抗議反応との関係応用心理学研究 vol28(2)
- 大渕憲一(2001). 最終提案交渉における受け手の拒否動機 : 同一性保護の観点から 社会心理学研究 vol16(3)
- Ohbuchi Ken-ichi, Suzuki, M., & Hayashi, Y(2001). Conflict management and organizational attitudes among Japanese: Individual and group goals and justice. Asian Journal of Social Psychology vol4(2)
参考
[編集]- 『現代日本人名録』2002年
- 東北大学
脚注
[編集]- ^ “所長ご挨拶”. 放送大学宮城学習センター. 2020年3月27日閲覧。
- ^ “大渕 憲一 (Ken'ichi Ohbuchi) - マイポータル”. researchmap. 2020年3月27日閲覧。
- ^ “【ニュース】大渕憲一名誉教授 紫綬褒章受章 ~「公正の絆」解明を評価~”. 東北大学新聞 (2017年2月12日). 2023年11月18日閲覧。
- ^ “平成28年秋の褒章 受章者 宮城県” (PDF). 内閣府. p. 1 (2016年11月3日). 2023年5月10日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “秋の褒章、772人20団体の受章決まる”. 朝日新聞デジタル (2016年11月2日). 2016年11月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月17日閲覧。
- ^ 『官報』号外232号、令和5年11月6日
- ^ “令和5年秋の叙勲 瑞宝中綬章受章者” (PDF). 内閣府. p. 5 (2023年11月3日). 2023年11月18日閲覧。