大沢岳
大沢岳 | |
---|---|
標高 | 2,819.84[1] m |
所在地 |
日本 長野県飯田市、静岡県静岡市葵区 |
位置 | 北緯35度26分56秒 東経138度07分13秒 / 北緯35.44889度 東経138.12028度座標: 北緯35度26分56秒 東経138度07分13秒 / 北緯35.44889度 東経138.12028度[2] |
山系 | 赤石山脈 |
大沢岳の位置 | |
プロジェクト 山 |
大沢岳(おおさわだけ)は、長野県飯田市と静岡県静岡市葵区にまたがる赤石山脈(南アルプス)南部の標高2,820 mの山[2][3]。日本で55番目に高い山[4]。山域の上部は南アルプス国立公園の特別保護地区、西面などの中腹はその特別地域の指定を受けている[5]。山名は天竜川水系遠山川の北又沢の支流「大沢」の源頭部の山であることに由来する[6]。上部は高山帯でハイマツが分布し、ライチョウが生息する[7]。周辺の山域では、ニホンジカなどによる植物の食害が確認されている[7]。
登山
[編集]登路は長野県側からの大沢渡からのコースと南アルプス縦走路の登山道が開設されている[6]。北又沢から大沢渡山荘に至る登山道が開設されていたが[3][8]、廃道となっている[9]。
大沢渡からのコース
[編集]大沢渡からのコースはしらびそ峠が起点であり、その詳細な経路を以下に示す[9]。
- しらびそ峠 - 林道 - 大沢渡下降点 - 北又沢渡渉点 - 大沢渡山荘 - 林道跡合流点 - 唐松山(小広場) - 唐松峠 - 大沢岳
北又沢渡渉点には、荷物渡しのための篭が設置されていて、唐松峠の上部ではダケカンバなどが自生している[9]。本コースでは放散虫化石が産出されている[10]。
南アルプス縦走路
[編集]赤石岳や聖岳を登頂する南アルプス縦走時に、登られることが多い。百間洞山の家から東斜面を巻く登山道もあるため、縦走の際に登頂されることなく、通過されてしまうこともある[6]。赤石岳への登路は、赤石岳の登山を参照。聖岳への登路は、聖岳の登山を参照。
周辺の山小屋
[編集]登山口や稜線上には、山小屋とキャンプ指定地がある[9][11][12]。登山シーズン中の一部の期間に有人の営業を行っている。山頂直下東北東0.7 kmに静岡市の百間洞山の家があり[9]、キャンプ指定地が併設されている[注釈 1][11][13]。
名称 | 所在地 | 標高 (m) |
大沢岳 方角と距離 (km) [注釈 2] |
収容 人数 |
キャンプ 指定地 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
大沢渡山荘 | 大沢渡に東400 m | 1,247 | 西 4.2 | 15 | 飯田市、老朽化 | |
赤石岳避難小屋 | 赤石岳山頂直下南 | 2,990 | 東北東 3.6 | 30 | 静岡県営 | |
百間洞山の家 | 赤石岳と大沢岳との鞍部南 | 2,430 | 東北東 0.7 | 60 | テント20張 | 静岡市営[13] |
兎岳避難小屋 | 兎岳山頂直下の東 | 2,740 | 南 2.3 | 8 | 飯田市 | |
聖平小屋 | 聖沢源流部・聖平 | 2,260 | 南南東 5.0 | 120 | テント50張 | 静岡県営 |
ハイランドしらびそ | しらびそ高原 | 1,918 | 西南西 8.5 | 88 | オートキャンプ施設 | 公共の宿泊施設 |
地理
[編集]山頂には三等三角点(点名「大沢岳」)が設置されていて[1]、その北側には、標高点2,814 mと2,772 mの小ピークがある。西側には顕著な尾根が延び、北側から北西の奥茶臼山方面に尾根が延びる。西面の長野県側は崩壊が激しく、深ヶ源頭までガレが垂直に落下している[6]。
周辺の山
[編集]赤石山脈の主稜線上の赤石岳と中盛丸山との間にある。
山容 | 山名 | 標高 (m)[1][2] |
三角点等級 基準点名[1] |
大沢岳からの 方角と距離 (km) |
備考 |
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奥茶臼山 | 2,474.42 | 二等 「奥茶臼山」 |
北西 6.1 | 日本三百名山 | |
赤石岳 | 3,120.53 | 一等 「赤石岳」 |
東北東 3.6 | 日本百名山 | |
大沢岳 | 2,819.84 | 三等 「大沢岳」 |
0 | ||
中盛丸山 | 2,807 | 南南東 0.7 | |||
兎岳 | 2,818 | (三等)「兎岳」 (2799.80 m) |
南 2.3 | 兎岳避難小屋 | |
聖岳 | 3,013 | 南南東 3.4 | 日本百名山 |
周辺の峠
[編集]- 唐松峠 - 大沢岳と唐松山との鞍部、標高約2,030 m、山頂の1.9 km西に位置する。
- しらびそ峠 - 尾高山と御池山との鞍部、標高1,833 m、山頂の8.2 km西に位置する。南アルプスの山並みを望む展望台となっている。南南西0.5 kmの高台には、ハイランドしらびそがある。
- 大聖寺平 - 小赤石岳と荒川前岳との鞍部、標高約2,715 m、山頂の4.6 km北東に位置する。
源流の河川
[編集]天竜川水系および大井川水系の以下の河川の源流となる山で、太平洋へと流れる[9]。天竜川水系の遠山川北又沢の支流の大沢の源頭部の山である。
- 深ヶ沢、大沢 - 天竜川水系の遠山川北又沢の支流
- キタ沢、福川 - 天竜川水系の小渋川の支流
- 百間洞 - 大井川水系の赤石沢の南沢の支流、入山のための登山口となる大井川の畑薙第一ダムの北西15 kmに位置する。その源流部付近に、百間洞山の家がある。
交通・アクセス
[編集]唐松峠下部の西面には、シラビソ峠からの林道が敷設されていた[9]。
- JR東海飯田線飯田駅の東南東28 kmに位置し[3]、大井川鐵道井川線井川駅の北北西28kmに位置する。
- 中央自動車道飯田インターチェンジの東30 kmに位置し、新東名高速道路静岡SAスマートインターチェンジの北北西55 kmに位置する。
大沢岳の風景と展望
[編集]大沢岳の風景
[編集]-
小河内岳から望む兎岳、中盛丸山、大沢岳
(2002年6月7日) -
兎岳から望む中盛丸山と大沢岳
(1994年7月30日) -
赤石岳から望む兎岳、小兎岳、中盛丸山、大沢岳
(2000年10月21日) -
聖岳から望む中盛丸山と大沢岳
(2002年11月6日)
大沢岳からの展望
[編集]-
大沢岳から望む中盛丸山と兎岳、左奥に聖岳
(1994年7月29日)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d “基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2014年8月31日閲覧。
- ^ a b c “日本の主な山岳標高(長野県の山・静岡県の山)”. 国土地理院. 2014年8月31日閲覧。
- ^ a b c コンサイス日本山名辞典 (1992)、82頁
- ^ 山の便利手帳 (2010)、331頁
- ^ “南アルプス国立公園の区域図” (PDF). 環境省自然環境局. 2014年8月31日閲覧。
- ^ a b c d 加藤、河西 (2005)、1062頁
- ^ a b “平成19年度南アルプス保護林におけるシカ被害調査報告書” (PDF). 林野庁中部森林管理局. pp. 34 (2008年2月). 2014年8月31日閲覧。
- ^ 日本登山図集 (1986)、78-79頁
- ^ a b c d e f g 塩見・赤石・聖岳 (2014)
- ^ 村松 (1997)、137頁
- ^ a b 山の便利手帳 (2010)、134頁
- ^ 山の便利手帳 (2010)、138-139頁
- ^ a b “百間洞山の家”. 特種東海フォレスト. 2014年9月3日閲覧。
参考文献
[編集]- 徳久球雄(編集) 編『コンサイス日本山名辞典』(修訂版)三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1。
- 『塩見・赤石・聖岳』昭文社〈山と高原地図2014年版〉、2014年3月18日。ISBN 978-4398759702。
- 日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1。
- 『日本登山図集』日地出版、1986年10月。ISBN 4527002333。
- 村松武「赤石山地中部、しらびそ峠-大沢岳ルートから産出した放散虫化石-微化石データベース構築に向けて3」『飯田市美術博物館 研究紀要』第7巻、飯田市美術博物館、1997年、137-144頁、doi:10.20807/icmrb.7.0_137、ISSN 1341-2086、NAID 110008434534。
- 『山と溪谷2011年1月号付録』山と溪谷社〈山の便利手帳2011〉、2010年12月、ASIN B004DPEH6G頁。