大江健三郎作家自身を語る
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『大江健三郎作家自身を語る』(おおえけんざぶろうさっかじしんをかたる)は大江健三郎の幼少時代から、最後の小説となった『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』までの全キャリアを総覧したインタビューである。(単行本刊行時には当時の最新作『さようなら、私の本よ!』までが扱われていたが、文庫刊行時に増補されている。)
2007年に新潮社から単行本が出版され、2013年に増補版が新潮文庫として刊行されている。
インタビュアーは読売新聞編集委員尾崎真理子である。尾崎は2018年に刊行開始された「大江健三郎全小説」(15巻)の全巻の解題を執筆している。
経緯
[編集]読売新聞東京本社映像部が企画し、尾崎真理子が聴き手を担当したインタビューが2007年元日から5夜連続でCS放送され、その後DVDとして発売された。この放送・DVDの素材となった編集前のインタビュー映像と、尾崎が別途、2005年夏に文芸誌「新潮」において行っていたインタビューを合わせてゲラにおこし、さらに質問を追加して、大江健三郎とゲラのやりとりを重ねて、加筆修正して書籍版のインタビューが完成された。[1]
構成
[編集]インタビューは、主に発表された時期でわけて(主題のまとまりを考慮しており、例えば『人生の親戚』と『懐かしい年への手紙』は発表された年の順序と、扱われる章の順番は逆転している。)七部で構成されている。インタビュー本編に「大江健三郎、106の質問に立ち向かう+α」と題した、作家の人柄をしのばせる、趣味などを尋ねたQ&Aが付属している。
- 第1章 詩、初めての小説作品、卒業論文
- 第2章 「奇妙な仕事」、初期短篇、『叫び声』、『ヒロシマ・ノート』、『個人的な体験』
- 第3章 『万延元年のフットボール』、『みずから我が涙をぬぐいたまう日』、『洪水はわが魂に及び』、『同時代ゲーム』、『M/Tと森のフシギの物語』
- 第4章 『「雨の木」を聴く女たち』、『人生の親戚』、『静かな生活』、『治療塔』、『新しい人よ眼ざめよ』
- 第5章 『懐かしい年への手紙』、『燃えあがる緑の木』三部作、『宙返り』
- 第6章 「おかしな二人組」三部作、『二百年の子供』
- 第7章 『美しいアナベル・リイ』、『水死』、『晩年様式集』
脚注
[編集]- ^ あとがき『大江健三郎作家自身を語る』