大東亜帝国
大東亜帝国(だいとうあていこく)とは、日本の大学群を示す通称である。都内の主要私立総合大学[1]のうち下記の4校、ないし5校が括られており、構成大学にはいくつかの定義揺れがある。名称は、各大学の漢字表記の頭文字の組み合わせによるものである。略称として「大東亜」として呼ばれることもある[2]。
- (大もしくは大東)大東文化大学(東京都板橋区)あるいは(大)大正大学(東京都豊島区)
- (東)東海大学(東京都渋谷区)あるいは東洋大学(東京都文京区)
- (亜)亜細亜大学(東京都武蔵野市)
- (帝)帝京大学(東京都板橋区)
- (国)国士舘大学(東京都世田谷区)あるいは(國)國學院大學(東京都渋谷区)
由来と定義
[編集]教育ジャーナリストの小林哲夫によると、「大東亜帝国」という名称は、代田恭之(旺文社の『螢雪時代』編集長をつとめた)が70年代に考案したとされる[注釈 1]。当時、代田は全国を回り、大学受験に関する講演を行った際、類似した難易度・歴史・伝統・近隣地域などの大学名を組み合わせて語呂合わせを行い、インパクトのある名称を考えた[3]。当初はそれほど普及しなかったが、1980年代になると、予備校や受験情報誌以外のメディアでも、「大東亜帝国」 といった用例が見られるようになった[3]。
構成大学(大・東・国)について
[編集]当初は大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士舘大学の5大学を指していたとされるが[3]、その後、「現代用語の基礎知識(1990年版)」[5][注釈 2]など、1990年代前半から一部の書籍では、以下のように「大・東・国」を他大学として記載する記述も見られるようになった。
- 「大」→大東文化大学としつつ、異説として大正大学も含まれる場合があるとする[5]
- 「大東」→大東文化大学・東海大学の2校でなく、大東文化大学のみとする[注釈 3][6][7]
- 「東」→東海大学ではなく、東洋大学とする[5]、もしくは東海大学・東洋大学の2大学が含まれる[8]
- 「国」→国士舘大学ではなく、國學院大學とする[9][5][10][11]、もしくは国士舘大学・國學院大學の2大学が含まれる[7][8]
特に「国」が「国士舘大学なのか國學院大學なのか」という議論については、両大学が混同されたり、併記されたりするケースが度々あるとされる[12]。
- 2018年のTHE世界大学ランキング日本版(ベネッセコーポレーション)では、國學院大學は含まず国士舘大学を含む5校として定義している[13]。
- 2021年12月に就職情報会社マイナビが、「<第1>大東亜以下➈」という件名のメールを就職活動中の大学生に送信していた件(後述)の報道では、「受験生などの間では、入試難易度が近い大東文化大、東海大、亜細亜大、帝京大、国士舘大をまとめて「大東亜帝国」と呼んでいる」と国士舘大学を紹介された[14][15][16]。
- 2021年12月の本件の報道では、「国士舘大学または國學院大學」と両大学を含む定義と紹介した例もある[17]。
- 國學院大學は「成成明学獨國武」という別の大学群の括りに加えられている[18][19][20]。
その他
[編集]就活企業が面談枠を区別するために使用したケースもあり、2021年12月に人材情報サービスのマイナビが手違いで「<第1>大東亜以下⑨」との件名が記載されたメールを登録者全員に送信してしまい、「学歴フィルターが存在しているのでは」と問題になった事例がある[21]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 代田は 「大東亜拓桜帝国」(だいとうあたくおうていこく、大東文化大学・東海大学、亜細亜大学・拓殖大学・桜美林大学・帝京大学・国士館大学)というグループ分けを考案している[3]。なお、「大東亜拓桜帝国」と呼ばれていた際の「東」は「東京国際大学」であったとする説もある[4]。
- ^ 「大東文化、東洋、亜細亜、帝京、国学院をさす。大東は大正、東海をあわせて含むとする異説がある。」と定義している。
- ^ つまり「大東亜帝国」の構成大学は4つのみ
- ^ 小学館の大辞泉の電子版。「大東文化大学・東海大学・亜細亜大学・帝京大学・国士館大学の総称。 (補説)東海大学を加えず「大東」を大東文化大学の略とする場合もある。」と定義している。
- ^ 「大東文化大学・亜細亜大学・帝京大学・国学院大学の総称。(国士舘大学の説もある。)」と定義している。
- ^ 元東進ハイスクール・東進衛星予備校講師
- ^ 「大東文化・東海・東洋・亜細亜・帝京・国士舘・國學院」と定義している。
出典
[編集]- ^ 【毎日新聞】激動期の大学受験 どう乗り切る? 駿台教育研究所・石原賢一部長2018年12月25日
- ^ “ブラック企業を転々、現在求職中の41歳男性が持つこだわり”. NEWSポストセブン. 2020年5月16日閲覧。
- ^ a b c d 小林哲夫 (2021年12月24日). “「大東亜帝国」「MARCH」「日東駒専」は誰がいつ名づけた? 知られざる「大学グループ」誕生秘話〈dot.〉”. AERA dot. (アエラドット). 2022年1月30日閲覧。
- ^ 【cakes】大学の“くくり”はどのように生まれたのか?2017年4月21日
- ^ a b c d 現代用語の基礎知識1990年版,pp.64
- ^ “大東亜帝国の意味(出典:Goo辞書、デジタル大辞泉)”. 小学館. 2022年11月29日閲覧。[注釈 4]
- ^ a b “大東亜帝国(出典:イミダス)”. 集英社. 2022年1月12日閲覧。[注釈 5]
- ^ a b 2016年12月に発行された、横山雅彦[注釈 6]の著書「地上最強の英文読解 ロジカル・リーディングで早慶上智を狙い撃ち!」著者 横山雅彦 発行 ゴマブックス (2016/12/19),pp.4[注釈 7]
- ^ 週刊新潮 2006年3月16日特大号[要ページ番号]
- ^ プレジデント 特集「学歴と給料」 2006年5月15日号[要ページ番号]
- ^ 週刊ダイヤモンド 大学総力ワイド特集 2009年10月31日号[要ページ番号]
- ^ “五輪選手を多数輩出! 国学院と名前が似てる「国士舘大学」とはどのような大学なのか”. urbanlife.tokyo. 2022年4月17日閲覧。
- ^ “偏差値だけでは測れない「大東亜帝国」の魅力”. ベネッセコーポレーション. 2019年12月8日閲覧。
- ^ “就活中の大学生に「大東亜以下」とメール誤送信…「学歴フィルターでは」と批判の声”. yomiuri.co.jp. 2022年4月20日閲覧。
- ^ “マイナビ「大東亜以下」メール炎上で学歴フィルター論が再燃~現実の傾向と就活生の対策”. yahoo.co.jp. 2022年1月1日閲覧。
- ^ “itmedia.co.jp”. itmedia.co.jp. 2022年4月20日閲覧。
- ^ “そんなに学歴フィルターは「悪」なのか マイナビ「大東亜」騒動で見落としがちな視点”. itmedia.co.jp. 2022年4月17日閲覧。
- ^ “関東の大学群「成成明学獨國武」とは?偏差値の序列、日東駒専・MARCH・関関同立との違いも解説”. 予備校ガイド. 2021年12月18日閲覧。
- ^ “【最新版】成成明学獨國武とは?偏差値や特徴をマナビバ調査!”. マナビバ (2021年9月3日). 2021年12月18日閲覧。
- ^ “意外と知らない⁉日東駒専とMARCHの間に位置する成成明学獨國武”. 武田塾 (2021年8月20日). 2021年12月18日閲覧。
- ^ 日本テレビ (2021年12月7日). ““学歴フィルター” マイナビが理由を説明”. 日テレNEWS24. 2021年12月9日閲覧。