大嶋光昭
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大嶋 光昭(おおしま みつあき)は、電子技術者。手振れ補正技術などの発明・開発者として知られる。パナソニック株式会社理事、本社R&D部門技監、工学博士。京都大学特命教授、大阪大学非常勤講師、京都工芸繊維大学客員教授、高知工科大学客員教授。紫綬褒章受章者、恩賜発明賞受賞者。
人物・経歴
[編集]- 1974年 松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)入社。
- 1980年 振動ジャイロ(振動型の機械式ジャイロスコープ)の研究に着手。新構造により、1988年振動ジャイロを世界で初めて量産化。
- 1983年 振動ジャイロを用いた手振れ補正方法(昭和58年出願、特公平01-053957)を発明。この特許はビデオカメラやデジカメの手振れ補正に使用されている。この発明は2003年恩賜発明賞受賞。
- 1988年 世界で初めて手振れ補正を搭載したビデオカメラ(PV-460)を製品化する。その後、この手振れ補正技術はデジカメにも搭載された。
- 1990年 CPUの省電力の基本技術である高速クロックと低速クロックの2相クロック制御方式を発明。CPU等の半導体ICに採用。
- 1991年 デジタルテレビ放送方式の基本技術である[階層型伝送方式]を発明。この発明は欧州、米国、日本の3方式の地上波デジタルTV放送規格の基幹部に採用され、3規格の規格必須特許に認定。
- 1995年 光ディスクのBCA記録領域(バーストカッティングエリア)の基本技術を発明し量産化技術を開発。DVDやBlu-ray Discの光ディスク規格に採用。
- 1996年 3D(立体)デジタル映像信号の記録・伝送などを実現する基本技術を発明。この技術は3Dの光ディスク規格であるBlu-ray 3D規格などに採用。
- 1997年 BCAを用いた著作権保護技術を発明。CPRM規格などに採用。この発明により、コピー・ワンス、ダビング10等デジタルTV番組の光ディスクへのコピーが実現。
- 1999年 世界で初めて3D-DVD光ディスクおよび3D-DVDプレーヤーの試作機を開発。
- 2005年 本社R&D部門技監になる。
- 2006年 IEC国際電気標準会議の電子技術に大きく貢献した発明家・科学者(Techline)に選定される。
エピソード
[編集]- パナソニック社内で大嶋塾という、若い技術者と共同で新しい技術コンセプトを生み出し、そのコンセプトを具現化し、新しい技術に育てる発明塾を開いている。
- 自動車の始動装置やアンチノックガソリンなど多くの発明で著名な発明家、GM社のチャールス・F・ケッタリングをロールモデル(生き方のモデル)とし、多分野型の発明家を目指している。
賞歴
[編集]- 2003年 - 恩賜発明賞(撮影画像の揺動防止技術の発明)
- 2004年 - 紫綬褒章
- 2007年 - 大河内記念生産賞
- 2008年 - 全国発明表彰経済産業大臣発明賞(階層型デジタル伝送技術の発明)
- 2008年 - 特許庁125周年記念平成の発明家10名に選定
- 2010年 - 大阪優秀発明大賞(セキュアな記録領域をもつ光ディスクと記録再生装置の発明)
- 2013年 - 市村産業賞 貢献賞
- 2020年 - 旭日小綬章 [1][2]
その他の受賞歴
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著作
[編集]- 単著
- 「科学技術情報 : 利用者の立場から : "情報価値の付加"による戦略型研究企画へのアプローチ」『情報の科学と技術』第34巻第5号、一般社団法人 情報科学技術協会、1984年、230-242頁、doi:10.18919/dokumen.34.5_230、ISSN 0012-5180、NAID 110002731266。
- 「私の発明手法 (111)」『発明』第100巻第10号、発明協会、2003年10月、82-88頁、ISSN 0385-7115、NAID 40005963161。
- 「How to発明 階層型デジタル伝送技術の発明」『発明』第105巻第12号、発明協会、2008年12月、32-34頁、ISSN 0385-7115、NAID 40016366137。
- 『「ひらめき力の育て方」』亜紀書房、2010年2月。ISBN 978-4-7505-0916-7。
- 「講演 アイデアを技術に、技術を商品に--手振れ補正技術の着想から事業化まで」『バリューエンジニアリング』第258号、日本バリュー・エンジニアリング協会、2010年5月、4-13頁、ISSN 0285-2268、NAID 40017121156。
- 「私の技術者歴 シリアルイノベーターとしての40年間の技術者人生」『B-plus : 電子情報通信学会通信ソサイエティマガジン』第41号、電子情報通信学会通信ソサイエティ、2017年、52-60頁、ISSN 1884-4863、NAID 40021236181。
- 大嶋, 光昭「シリアルイノベーターとしての40年間の技術者人生」『通信ソサイエティ』第11巻第1号、一般社団法人 電子情報通信学会、2017年、52-60頁、doi:10.1587/bplus.11.52、NAID 130006904171。
- 共著
- 田中, 伸一、大嶋, 光昭「DVDのROMディスクへの追記情報記録技術 : BCA (Burst Cutting Area)」『映情学技報』第21巻、一般社団法人 映像情報メディア学会、1997年、33-38頁、doi:10.11485/itetr.21.57.0_33、ISSN 1342-6893、NAID 110003690847。
- 大嶋, 光昭、林, 孝行、三谷, 浩「手振れ補正の着想とその事業化」『映像情報メディア学会技術報告』第29巻第7号、映像情報メディア学会、2005年1月27日、33-43頁、ISSN 1342-6893、NAID 10014488353。
- 大嶋, 光昭、中田, 喜文「月例研究会 技術研究開発者のモチベーション[含 質疑応答]」『国際産研』第26号、関西国際産業関係研究所、2007年5月、78-88頁、ISSN 1343-6465、NAID 40015600005。
- 青山, 秀紀、山岡, 勝、坂田, 毅、大嶋, 光昭「スマートフォン・クラウド連携スマート家電による新しいユーザ価値提供 (クラウドネットワークロボット)」『電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報』第113巻第248号、一般社団法人電子情報通信学会、2013年10月17日、49-52頁、ISSN 0913-5685、NAID 110009784573。
- 大嶋, 光昭、青山, 秀紀、中西, 幸司「イメージセンサ受信型可視光通信技術の開発 (特集 AV&ICTソリューション)」『パナソニック技報 = Panasonic technical journal』第61巻第2号、パナソニックコーポレートR&D戦略室、2015年11月、118-123頁、ISSN 1883-115X、NAID 40020649569。
- 大嶋, 光昭、青山, 秀紀、中西, 幸司、前田, 敏行「IoT応用技術としてのカメラ受信型可視光通信技術の開発 (特集 IoT時代の可視光通信)」『Optronics : 光技術コーディネートジャーナル』第36巻第8号、オプトロニクス社、2017年8月、64-71頁、ISSN 0286-9659、NAID 40021310293。
関連資料
[編集]- 「可視光通信技術『光ID』 大嶋光昭 パナソニックAVCネットワークス社イノベーションセンター スーパーバイザー」『週刊ダイヤモンド』第104巻33 (4643)、東京 : ダイヤモンド社、100-101頁。