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地理マイル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
地理マイル
国際単位系
長さ
定義 赤道の円弧 1分の長さ(~ 1855.3 m
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地理マイル(ちりマイル、英語: geographical mile)は、地球赤道に沿って1分の角度に相当するものとして定められる距離の単位。国際楕円体1924において、この距離は 1855.4 メートルとされた[1]2017年版の『The American Practical Navigator』は、地理マイルを 6087.08フィート (1855.342 m)と定義している[2]。より正確な値を求めようとする場合には、楕円体の選択の方が、より厳密な計測よりも、結果に影響するが、世界測地学システム英語版 WGS-84 における赤道の長さは 40075016.6856 m であり、これによれば地理マイルは 1855.3248 m となるが[3]国際地球回転・基準系事業 (IERS) の2010年の条約「IERS Conventions (2010)」では赤道の長さは 40075020.4555 m とされ、地理マイルは 1855.3250 m となって[4]、0.2 ミリメートル長くなる。どの楕円体においても、赤道における経度 1度の長さは、ちょうど 60地理マイルとなる。

地球の形状英語版は、やや扁平な球面であり、地球の外周英語版は、赤道で計測した場合の方が、両極を通って計測した場合よりも 0.168% 長くなる。このため地理マイルは、歴史的に両極を通る外周をもとに算出されてきた海里よりも、わずかに長くなっており、1地理マイルはおおよそ 1.00178海里 である。

関連する単位

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地理マイルは、地球の大円に沿った円弧の1分に相当する長さとされていた海里と密接に関わっていたが[5]、現在はちょうど 1852 m と定義されている[1]アメリカ国立標準技術研究所 (NIST) は、「1 852 m (6 076.115 49...フィート) の国際的な海里は、1954年7月1日に採用され、合衆国で用いられるようになった。それ以前に合衆国で用いられていたのは、6 080.20 フィート = 1 海里/地理マイルであった。(The international nautical mile of 1 852 meters (6 076.115 49...feet) was adopted effective July 1, 1954, for use in the United States. The value formerly used in the United States was 6 080.20 feet = 1 nautical (geographical or sea) mile.)」としている[6][7]。この現在では用いられなくなった 6080.2 フィートという長さは、1,853.24496 mに相当する。これとは別に、地理マイルと、1852mの国際的海里(6080フィート (1853.184 m)とされるイギリスの海里よりわずかに短い)を同一視する言及もある[8]。この単位は、用いられることは多くないが、一部のアメリカ合衆国の法律に用いられており、例えば浸水地法英語版 1301(a) は、海上の境界線について地理マイルを用いて定義をしている。1785年公有地条例制定に至る議論の中で、トーマス・ジェファーソンの委員会は西部の公有地について、「1マイルごとに 6086 と 4/10フィートの、10地理マイル四方となるハンドレッド英語版 (hundreds of ten geographical miles square, each mile containing 6086 and 4-10ths of a foot)」を「多数の1マイル四方の正方形、それぞれ 850 と 4/10 エーカーの広さに分割 (sub-divided into lots of one mile square each, or 850 and 4-10ths of an acre)」して分配することを求めた[9]

いずれも「地理マイル」と訳される、デンマーク語の「geografisk mil」とドイツ語の「geographische Meile」ないし「geographische Landmeile」は、地球の円弧の4分に相当し、デンマーク天文学者オーレ・レーマーによってほぼ 7421.5 m と定義されている[10]ノルウェースウェーデンでは、20世紀の初めまで、この4分の長さの「地理マイル」がおもに海上で用いられ「sjømil」と称されていた。

関連項目

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脚注

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  1. ^ a b Ministry of Defence Staff, Navy Dept, Great Britain Ministry of Defence (1987). Admiralty manual of navigation. H.M. Stationery Office. pp. 7. ISBN 9780117728806 
  2. ^ “Glossary of Marine Navigation”, The American Practical Navigator, II (2017 ed.), National Geospatial-Intelligence Agency, p. 346, https://msi.nga.mil/NGAPortal/MSI.portal?_nfpb=true&_pageLabel=msi_portal_page_62&pubCode=0002 
  3. ^ Department of Defense World Geodetic System 1984 (third ed.), National Imagery and Mapping Agency, (2004), p. 3-2 . Equatorial radius = 6,378,137 m.
  4. ^ Petit, Gérard; Luzum, Brian, eds. (2010), “General definitions and numerical standards”, IERS Conventions (2010), p. 18, https://www.iers.org/IERS/EN/Publications/TechnicalNotes/tn36.html . Equatorial radius = 6,378,137.6 m.
  5. ^ David Greenhood; Gerard L. Alexander (1964). Mapping. University of Chicago Press. pp. 51–52. ISBN 9780226306971. https://archive.org/details/mapping00gree/page/51 
  6. ^ "NIST Handbook 44, Specifications, Tolerances, and Other Technical Requirements for Weighing and Measuring Devices, General Tables of Units of Measurement (PDF). NIST (Report). November 2014. p. C-15 (Appendix C, footnote 14). 2019年4月9日閲覧
  7. ^ "Units of Weight and Measure (United States Customary and Metric) Definition and Tables of Equivalents" (PDF). National Bureau of Standards (Report). 1 July 1955. p. 4. 2021年5月5日閲覧
  8. ^ Weast, Robert C., ed. CRC Handbook of Chemistry and Physics, 62nd edition, 1981-1982. Boca Raton, Florida: CRC Press. p. F-297. ISBN 978-0849304620 
  9. ^ “Journal of Continental Congress, Vol. 27”. A Century of Lawmaking for a New Nation: U.S. Congressional Documents and Debates, 1774 - 1875. (May 28, 1784). p. 446. https://memory.loc.gov/cgi-bin/ampage?collId=lljc&fileName=027/lljc027.db&recNum=83 April 9, 2019閲覧。 
  10. ^ Rabounski, Dmitri (2008). “Biography of Ole Rømer”. The Abraham Zelmanov Journal 1: 2. http://zelmanov.ptep-online.com/papers/zj-2008-b1.pdf 1 February 2018閲覧。.