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在日朝鮮族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
在日朝鮮族
재일조선족
総人口
約7~8万人(2023年)[1]
言語
中国朝鮮語中国語東北官話日本語
宗教
大乗仏教道教
関連する民族
朝鮮族

在日朝鮮族(ざいにちちょうせんぞく、재일조선족)(Chaoxianzu in Japan) は、中華人民共和国(以下、中国)の民族識別工作にて1949年から定義された中国の少数民族の一つでありながら1990年代初から日本に滞在し始めた在日中国人少数民族集団を意味する。在日中国人の約10%の規模である。1940年代までは、朝鮮半島日本植民地であったため、朝鮮族という言葉は存在しなかった。在日朝鮮族は、日本に滞在している中国国籍を持つ朝鮮・韓民族の一部であり、全世界の朝鮮民族約8千万人の中の100分の1程度の人口を有する。公式的な使用言語は中国朝鮮語朝鮮・韓国語方言)及び中国語である。

2021年に中国政府が発表した朝鮮族の総人口は170万人で、朝鮮民族全体の50分の1程度である。その中の約70万人(42%)は韓国中国国籍で滞在している在韓朝鮮族。日本においては、帰化した朝鮮族出身の中国系日本人も数千人はいるが、朝鮮族は殆ど在日中国人の統計に含まれ、朝鮮族総人口の6%以下、すなわち7~8万人程度の在日朝鮮族が中国国籍で日本に定住していると推算される[2]。中国内部の民族識別工作においては56の民族の一つとして数えられており、正式名称は「中国朝鮮族」ではなく「朝鮮族」とされている。

漢族以外の他の54の中国少数民族と比べ、朝鮮族は中国大陸の国家への帰属意識が強い。しかし、日本国内では、在日朝鮮族はしばしば事実上の中国人として扱われる一方、韓流等の影響や経済先進国になった大韓民国に対する帰属意識を感じる朝鮮族も沢山いる。そのため、オフラインの就活等活動やトークアプリケーションなどで在日朝鮮族が韓国人として自己紹介するケースが多く見られるが、韓国国籍を持っていない状態で在日朝鮮族が自称を韓国人にする行為は日本の法令で不法の詐称及び詐欺とみなされることがあるため、在日朝鮮族は在日朝鮮・韓国人ではなく、在日朝鮮系中国人として紹介する事が日本政府の原則及び出入国管理法、留学、就労活動で合法的で、正しい[3]

概要

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在日朝鮮族と認識される要件は、中華人民共和国の国籍を有し、中国戸籍法に基づく戸籍上の民族欄に「朝鮮」と記載されていること、および日本に滞在していることである。例えば、北朝鮮大韓民国の国籍の人や中国国籍を持っていない韓・朝鮮民族は、法律的に朝鮮族とは呼べない。日本などの中国以外の国や地域で、在日朝鮮族は明確に中国国籍を持つ朝鮮民族であることを示すため、「朝鮮族」または「朝鮮系中国人」(조선계 중국인)と呼ばれることがある。また、中国国籍を取得した朝鮮人として、朝僑というカテゴリも存在する[4][5]

在日朝鮮族の歴史

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本格的な在日朝鮮族の歴史は1990年代初から始まる。朝鮮族という漢字用語について説明すると、清の時代、朝鮮王国及び大韓帝国の存在を認めていたので、中国の領土内の朝鮮人を「韓民」と呼んでいた。その後、中華民国の時代に国民党が成立し、大韓民国臨時政府を認めたので、中国に住む朝鮮人を「韓僑」と呼んだ。しかし、1949年に中華民国が国民党により台湾に追われ、共産党の中華人民共和国が成立すると、韓僑という名称は再び朝鮮人に戻された。現在の「朝鮮族」という名称に変わったのは、中華人民共和国政府が中国内の少数民族を全て管理下に置くことを決定し、それらを民族として管理するためだった。1948年8月、中国の遼寧地区の中国共産党委員会で「遼寧や他の北東3省に住む朝鮮民族の中で戸籍を持つ者は全て中国の人民であり、戸籍を持たず一時滞在している者は全て朝鮮僑民」と規定し、朝鮮族と朝鮮僑民の違いを明確にした。1950年に始まった民族識別工作の第1段階から、「中国国籍の朝鮮人」を「朝鮮族」としてまとめた。その後、中国では中国系朝鮮人を含む全世界の約8千万の朝鮮・韓国人を指す言葉として「朝鮮民族」として表記し、「朝鮮族」と表記した場合は、約170万の「中国国籍の朝鮮人」を指す表現となった。1990代まで、在日朝鮮族は、在日朝鮮・韓国人とは歴史的な繋がりが非常に少なかったし、事実上在日コミュニティに全く認識されて無かった。中日両国は、リチャード・ニクソン米国大統領当選後のデタントの中で1972年に国交を正常化した。したがって、1980年代以前の「在日朝鮮族」という概念は存在しない。この過程で、中国は日本に対する戦争賠償の請求権を放棄する内容を主とした中日共同声明を発表し、1978年には友好と相互不侵攻および内政不干渉を明記した中日平和友好条約を締結した。1990年代の韓中修交以降、朝鮮族ではなく「韓民族」・「韓人」という表現も増えている。そして、1990年代から韓国に本格的に朝鮮族が移住し、他の朝鮮族が一部日本へ進出を開始した。1996年12月、日本入国手続きで最も頭を悩ませていた保証人制度が廃止され、日本手続きが大幅に簡素化され、手続きする人々の負担も大幅に減った。 朝鮮族はこの時期を転換点に日本への移動が加速化し、大規模化し始めた。 この時から日本行きを希望する朝鮮族は、日本にいる親戚、知人など朝鮮族自身の内部ネットワークを利用する日本移動が可能になった。2000年代及び2010年代からは韓国ではなく、日本を留学や移民の対象とする朝鮮族が増加し、2023年、約7~8万人の在日朝鮮族在日朝鮮系中国人)が日本に居住しているとされる。[6]

脚注

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  1. ^ [재일조선족 이홍매 '일본에서 살기' 저자와의 대화[동영상]]” (朝鮮語). EKW이코리아월드(동포세계신문) (2022年12月10日). 2023年10月16日閲覧。
  2. ^ [재일조선족 이홍매 '일본에서 살기' 저자와의 대화[동영상]]” (朝鮮語). EKW이코리아월드(동포세계신문) (2022年12月10日). 2023年10月16日閲覧。
  3. ^ 中国では「朝鮮族」が韓国カルト布教の橋頭堡に 統一教会もガンガン進出(中央公論)”. Yahoo!ニュース. 2022年8月1日閲覧。
  4. ^ “在中北朝鮮人「朝僑」、韓国への出稼ぎが増加”. デイリーNK. (2017年2月4日). http://dailynk.jp/archives/82415 2017年12月30日閲覧。 
  5. ^ “中国居住の北朝鮮住民、「国籍放棄」ブーム”. 東亜日報. (2011年1月5日). http://japanese.donga.com/List/3/all/27/412020/1 2017年12月30日閲覧。 
  6. ^ [정음문화칼럼27이동의 시대: 일본에 있는 조선족을 보다--인민넷 조문판--人民网]”. korean.people.com.cn. 2023年12月13日閲覧。