国歌八論
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国歌八論(こっかはちろん)は、江戸時代の歌論書。一冊[1]。著者は荷田在満[1]。寛保2年(1742年)に成立した[1]。
歌源・翫歌・択詞・避詞・正過・官家・古学・準則の八論に分け、和歌の本質と歴史を論じたものである[1]。中でも「翫歌論」における「歌は貴ぶべき物にあらず。ただその風姿幽艶にして意味深長に、連続機巧にして、風景みるがごとくなる歌を見ては、我も及ばん事を欲し、一首も心にかなふばかりよみいでぬれば、楽しからざるにあらず」[2][3]という主張は、在満の歌論の特色とされる[1]。
本書における在満の主張に対して田安宗武が『国歌八論余言』[4]で反論し、宗武から意見を求められた賀茂真淵も『国歌八論余言拾遺』を著した[5][1]。その後も多くの論者を巻き込み、近世歌論史上、最も多くの関係歌論が編まれることになった[6][1]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g 日本古典文学大辞典編集委員会『日本古典文学大辞典 第2巻』岩波書店、1984年1月20日、630-631頁。ISBN 978-4-00-080062-4。
- ^ 官幣大社稲荷神社 編『国歌八論』吉川弘文館〈荷田全集 第7巻〉、543頁 。
- ^ 荷田在満『国歌八論』平凡社〈日本哲学思想全書 第11巻 (芸術歌論篇)〉、1956年、65頁 。
- ^ 田安宗武『国歌八論余言』平凡社〈日本哲学思想全書 第11巻 (芸術歌論篇)〉、1956年、81 - 98頁 。
- ^ 賀茂真淵『国歌八論余言拾遺』平凡社〈日本哲学思想全書 第11巻 (芸術歌論篇)〉、1956年、99 - 117頁 。
- ^ 三枝博音『國歌八論餘言拾遺 解題・校訂』平凡社〈日本哲学思想全書 第11巻 (芸術歌論篇)〉、1956年、102 - 103頁 。「在満の『八論』がもとになって捲きおこったいくつかの歌論をあげれば、.... 『國歌論臆説』、在満の『國歌八論再考』、宗武の『歌論』および『臆説剰言』、賀茂真淵の『再奉答金吾君書』、大菅公圭の『國歌八論斥非』、藤原維齊の『國歌八論斥非再評』、伴資芳の『國歌八論評』などがある。」