喜茂別岳
喜茂別岳(きもべつだけ)は、北海道札幌市南区定山渓と喜茂別町の境界にある山[1]。標高1177メートル[2]。
名称について
[編集]南西に流れ下る喜茂別川の源にあたることから名づけられた[1]。
「喜茂別」はアイヌ語のキモペッ(山奥にある川)に由来する[3]。
地形と地質
[編集]札幌市の南西端、京極町や喜茂別町との境界には、無意根山や中岳などが連なるなだらかな山稜が走っており、その南端に位置するのが喜茂別岳である[4]。国道230号の中山峠から見える山と言えば第一に羊蹄山の名が挙がるが、その右手の前景をなしている[1]。
無意根山溶岩と同時期に生成された、古い火山である[3]。
なお、南東には標高970メートルの小喜茂別岳(しょうきもべつだけ)がある[3]。
登山ルート
[編集]登山道そのものは開かれていないが、森林管理署の作業用歩道が2本あるため、これを利用して登ることができる[4]。ただし山の最高地点は踏まず、三角点の設けられた箇所を山頂としている[4]。
中岳林道(黒川短縮)コース
[編集]国道230号を、中山峠から喜茂別町方向に約9キロメートル下り、喜茂別一号川に沿った林道中岳線に入る[2]。この林道は約2.4キロメートル進んだあたりで[2]大きくカーブして京極町方面へと向かっており、そのカーブから分岐してほぼ水平に走る道の終点、黒川の上流部に登山口があった[5]。
しかし2021年(令和3年)の時点で上記の黒川(裏ノ沢)コースは荒廃しており[6]、登山よりもタケノコ採り目的で利用されている[7]。代わって登山者の間で主流となっているのは、カーブの分岐をたどらず行き過ぎて、さらに約1.4キロメートル進んだ先に登山口がある短縮コースである[8]。
どちらの登山口を利用するにせよ、道はやがて合流し、喜茂別岳の南尾根に乗ったあたりで見晴らし台に着く[9]。そこから1062メートル標高点の西側を巻き、ジグザグを切りながら急斜面を登って、最高地点の南側をトラバースすることで山頂に至る[9]。
中山峠コース
[編集]中山峠から、NTTが管理する電波塔への車道に入る[4]。はじめは砂利道だが、途中からは舗装が施されている[10]。電波塔が近くなると、右手に中山湿原への分岐路がある[10]。
電波塔から先も単調な道のりで、急斜面に設けられた階段を上り、小湿地を行き過ぎて山頂に至る[10]。
2021年(令和3年)現在、このコースにはササが覆いかぶさり、事実上の廃道となっている[2]。
ただ、積雪期のスキー登山であれば利用に問題ない。喜茂別岳だけを目標とするのみならず、北方の無意根山まで足を延ばすこともできるし、さらにそこから余市岳を目指す、札幌近郊の山々で最大級の縦走行も可能である[1]。
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中山湿原
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NTT中山峠無線中継所
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 『札幌の山々』北海道新聞社〈さっぽろ文庫48〉、1989年3月27日。ISBN 4-89363-047-4。
- 梅沢俊、菅原靖彦『北海道夏山ガイド』(最新第4版)北海道新聞社、2015年9月10日。ISBN 978-4-89453-795-8。
- 長谷川哲『新 夏山ガイド1 道央』北海道新聞社、2022年4月28日。ISBN 978-4-86721-062-8。
- 関秀志 編『札幌の地名がわかる本』亜璃西社、2018年11月16日。ISBN 978-4-906740-34-5。