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藤麿

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
喜多川藤麿から転送)
藤麿
ヒト
性別女性 編集
国籍日本 編集
喜多川きたがわ 編集
読み仮名ふじまるきたがわ ふじまる 編集
修正ヘボン式ローマ字表記Fujimaru 編集
生年月日不明な値 編集
死亡年月日1830 編集
死没地本庄市 編集
職業画家浮世絵師 編集
師匠喜多川歌麿 編集
コレクション所蔵者ミネアポリス美術館 編集
作者の著作権状態著作権保護期間満了 編集

藤麿(ふじまる、生年不詳 - 文政13年〈1830年〉春[1])とは、江戸時代浮世絵師

来歴

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喜多川歌麿の門人といわれている。姓不詳だが、後述する史料により内藤とも考えられる。名は維則。不二麻呂・紅霞斎・紫園・紫峰・紫霞斎・芳州・蓉山・酒仙など数多くの画号をもつ。ただし、肉筆美人画の落款は大半が「藤麿」で、「喜多川」の画姓が記された作品は報告されていない。武家の出身と言われる。錦絵や版本の挿絵はほとんど見られず、僅かに摺物花見の踊り」(ボストン美術館所蔵)のみ確認されている。寛政から文政期(1789年 - 1830年)にかけて肉筆美人画を描く。現存作品数は50点ほどである。その画風は師の歌麿風に追随せずに、独自の雰囲気をかもし出している。歌麿弟子入り以前は南画を学んでいたと思われ、他にも窪俊満歌川豊春との関係や、芸術を愛好した狂歌師らとの交流も指摘されている。文政8年(1825年)11月刊の『上野下野武蔵下総 当時諸家人名録』に「業和画 唐画 紫峰 号客山(蓉山の誤りか) 酒泉堂 武(蔵)本庄 内藤藤麿」とあり、文政初頭頃には本庄(現在の埼玉県本庄市)に来ていたとも推測され、当地で没した[2]。墓所は不明。

作品

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作品名 技法 形状・員数 寸法(縦x横cm) 所有者 年代 落款・印章 備考
遊女立姿図 紙本着色 1幅 88.3x33.3 東京国立博物館 款記「藤麿筆」/「芳州」朱文方印・「印文不明」白文方印
美人春夏秋冬図 紙本 四幅対 浮世絵太田記念美術館
雨中の芸妓図 絹本着色 1幅 浮世絵太田記念美術館
見立六歌仙図 絹本着色 1幅 たばこと塩の博物館
大原女花見図 絹本着色 1幅 たばこと塩の博物館
俄雨図 絹本着色 1幅 ニューオータニ美術館 1820年(文政3年) 款記「文政庚辰秋仲 紫藤花」/「紫霞齋」朱文方印・「重」朱文円印
雨乞小町図 絹本着色 1幅 ニューオータニ美術館 款記「紫藤麿筆」/「紫園」朱文方印・「藤麿」朱文円印
ほととぎすを見る親子図 絹本着色 1幅 千葉市美術館 款記「藤麿筆」/「酒仙」朱文方印・「藤麿」白文方印
御殿山花見之図 絹本着色 1幅 摘水軒記念文化振興財団(千葉市美術館寄託
遊君立花図 絹本着色 1幅 奈良県立美術館
母子採芒図 紙本着色 1幅 熊本県立美術館 1804-18年頃(文化期)
鍬を持つ美人図 絹本着色 1幅 熊本県立美術館 款記「藤麿筆」/「芳州」朱文方印・白文方印(印文不明)
見立六歌仙図 絹本着色 1幅 108.6x42.7 ボストン美術館
時鳥を聞く茶摘女 絹本着色 1幅 89.5x32.6 ボストン美術館 1804-18年頃(文化期)
海老屋内春日野図 絹本着色 1幅 103.4x35.1 ボストン美術館 1824年(文政7年) 款記「文政甲申之春日 應嘱藤麿維則冩」/「紫霞斎」白文方印・「蓉山」朱文団扇形印 画賛「花のすがた 海老屋にうつす 女郎花 にほひを筆に かすかのゝ君 梅花」。画賛から描かれているのは、吉原海老屋の遊女春日野と見られる。
大原女図 絹本着色 1幅 ウェストンコレクション(シカゴ) 1804-18年頃(文化期) 款記「藤麿筆」/「芳州」朱文方印・「紫之印」白文方印
美人戯戌図 絹本着色 1幅 ウェストンコレクション(シカゴ) 1824年(文政7年) 款記「文政甲申之初夏紫峰老人藤麿」/「紫峰」朱文方印・「藤麿」朱文方印
海浜遊興図 絹本着色 1幅 キヨッソーネ東洋美術館 1808-14年(文化5-11年)
子をあやす女たち 紙本着色 1幅 91.0x28.5 ケルン市立東洋美術館 1804-18年頃(文化期) 款記「藤麿画」/「芳州」朱文方印・「紫之印」白文方印[3]

脚注

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  1. ^ 下総国取手の国学者・沢近嶺の随筆『春夢独談』に、40歳の時自分の肖像画を藤麿に描いてもらったことや、藤麿が文政13年(天保元年、1930年)春に没したことが記されているという(『本庄市史(通史編2)』)
  2. ^ 『本庄市史(通史編2)』
  3. ^ 山口桂三郎監修 定村忠士編集 『ドイツの古都に眠る秘蔵浮世絵名品展 ブレーメン美術館ケルン市立東洋美術館所蔵』 日本浮世絵協会、1992年、pp.101,135。

参考文献

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  • 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』(第2巻) 大修館書店、1982年
  • 楢崎宗重編 『肉筆浮世絵Ⅲ(化政~明治)』〈『日本の美術』250〉 至文堂、1987年
  • 本庄市史編集室編 『本庄市史(通史編2)』「内藤紫峰」の項、 本庄市、1989年3月30日、pp.1059-1060
  • 小林忠編 『肉筆浮世絵大観(2) 東京国立博物館Ⅱ』 講談社 1995年 ※196 - 197頁
  • 小林忠編 『肉筆浮世絵大観(8) ニューオータニ美術館』 講談社 1995年 ※217頁
  • 小林忠編 『肉筆浮世絵大観(10) 千葉市美術館』 講談社 1995年 ※216頁
  • 辻惟雄監修 『ボストン美術館肉筆浮世絵』(第三巻) 講談社、2000年 ※167 - 168頁
展覧会図録
  • 『今西コレクション名品展Ⅰ』 熊本県立美術館 1991年
  • 『今西コレクション名品展Ⅲ』 熊本県立美術館 1991年
  • 『キヨッソーネ東洋美術館所蔵 浮世絵展』 神戸新聞社、2001年
  • 『風俗画と肉筆浮世絵 たばこと塩の博物館所蔵肉筆絵画撰』 たばこと塩の博物館、2007年
  • 永田生慈監修 日本経済新聞社企画・編集協力 『シカゴ ウェストンコレクション 肉筆浮世絵─美の競艶』 小学館スクウェア、2015年4月20日、ISBN 978-4-7979-8573-3

関連項目

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