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呉昌碩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
呉俊卿から転送)
呉昌碩
晩年の呉昌碩
プロフィール
出生: 1844年9月12日
道光24年8月初1日)
死去: 1927年民国16年)11月29日
中華民国の旗 中華民国上海市
出身地: 清の旗 浙江省湖州府孝豊県鄣呉村
職業: 画家・書家・篆刻家
各種表記
繁体字 吳昌碩
簡体字 吴昌硕
拼音 Wú Chāngshì
ラテン字 Wu Ch'ang-shih
注音二式 Wú Chāngshr
和名表記: ご しょうせき
発音転記: ウー・チャンシー
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呉 昌碩(ご しょうせき 、1844年9月12日 - 1927年11月29日)は、中国清朝末期から近代にかけて活躍した画家書家篆刻家。清代最後の文人といわれ、詩・書・画・篆刻ともに精通し、「四絶」と称賛され、中国近代でもっとも優れた芸術家と評価が高い。

もとのは俊(しゅん)、のちに俊卿(しゅんけい)、をはじめ香圃。1912年(民国元年)、69歳から昌碩とする。別字に蒼石・倉石・倉碩。缶廬苦鉄・破荷・大聾・老蒼・石尊者・石人子・石敢当・破荷亭長・蕪青亭長・五湖印丐など。

生涯

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『牡丹水仙図』 呉昌碩筆

曾祖父・祖父・伯父・父のみなが郷試に及第して挙人となるエリート家系だった。父の呉辛甲は私塾教師であった。幼少の頃、父に篆刻を学んだが家計が苦しいために印材を調達できず、レンガに釘で文字を彫るなどした。このころからその才能の片鱗を示していたという。生まれる4年前にはアヘン戦争が勃発し、清朝が斜陽を迎えつつあった時代であったが16歳までは安定した生活を送り、塾に通い古文や篆刻を学ぶ。17歳のとき、太平天国の乱が起き、戦火を逃れるため避難生活を余儀なくされ、湖北省安徽省などを5年間彷徨った。この間に弟と妹が相次いで餓死。また昌碩の母の面倒を看るために故郷に残っていた許嫁の章夫人をも失うという悲劇を体験。

しばらく学問に励み、22歳で清朝官僚を経験するが、25歳になると幕客(高級官僚の私設秘書)となり各地に仕え放浪する。兪樾に就いて訓詁学修辞学を学ぶ。29歳のとき、杭州蘇州上海などに遊学。蘇州では師友の楊峴に就いての研鑽に励んだ。その他に呉山(痩緑)に篆隷篆刻の法を学び、施浴升(旭臣)に詩法を受け、施補華(均甫)・譚献(仲修)らに詩作の啓発を受けている。また収蔵家として有名な呉雲呉大澂潘祖蔭沈汝瑾との交流により鑑賞眼を高めている。

施氏と結婚後、上海にて棲み、や篆刻を売って生計を立てたが生活は苦しかった。1894年日清戦争が始まるとわずかな期間江蘇省安東県の知県(知事)を務めるもわずか一カ月で致仕する。その後、50歳を過ぎて著名な芸術家の任伯年から本格的に画を学ぶ。この頃、上海の富裕層が呉昌碩の文人画を好んで買うようになり画名が高まった。やがて書や篆刻も高値で取引されるようになる。晩年には張熊蒲華胡遠(公寿)・康有為などとも交わった。

1903年丁仁王禔葉銘呉隠らと西湖湖畔に西泠印社を設立し初代社長となる。以降、上海を中心に活躍。

1927年、中風が悪化し病没。享年84。

作風と業績

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呉昌碩 臨石鼓文 1926年

呉昌碩は特に篆刻の評価が高く、はじめ浙派に学び、ついで鄧派の影響を受け、さらに石鼓文などの研究を通して独自の刻風を生み出した。辛亥革命以降人気が急激にあがり日本でも日下部鳴鶴犬養毅などが自用印を注文している。篆刻家の河井荃廬は彼を敬慕してついに西泠印社に入社した。

画は徐渭や清初の八大山人石濤らから多くを吸収し、気品の有る個性的な画風を確立。揚州八怪趙之謙らも参考としている。牡丹などの花卉画を得意とした。

書は代の石鼓文に基づき篆書に新様式を確立した。画上の書・跋文・硯銘などには行草書も多い。

詩・書・画・篆刻ともに精通し、「四絶」と称賛され、中国近代でもっとも優れた芸術家となった。斉白石は彼の芸術に心服している。

また西泠印社では金石学を研究する一方、文物の収集や保存、出版事業など中国の文化芸術の称揚に大きく貢献した。

代表作

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門弟

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関連項目

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参考文献

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  • 王家誠 著、村上幸造 訳『呉昌碩伝』二玄社、1990年10月1日。ISBN 978-4544010589 
  • 呉長鄴 著、河内利治、北川博邦 訳『わが祖父呉昌碩』東方書店、1990年3月1日。ISBN 978-4497902856 
  • 松村茂樹『呉昌碩談論 文人と芸術家の間』柳原出版、2001年5月28日。ISBN 978-4840930161 
  • 松村茂樹『呉昌碩研究』研文出版、2009年2月1日。ISBN 978-4876362967 
  • 『呉昌碩の書・画・印』東京国立博物館、2011年9月13日。ASIN B07628BLN4