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君主のバグパイプ奏者

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

君主のバグパイプ奏者(くんしゅのバグパイプそうしゃ、英語: Piper to the Sovereignスコットランド・ゲール語: Piobair an Bhàn Righ)は、イギリス王室の役職であり、君主専属のバグパイプ奏者のこと。Queen's Piper または King's Piper(女王(国王)の笛吹き)という呼び名でも知られる。1843年にヴィクトリア女王によって創設された。

歴史

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この役職は、1843年にヴィクトリア女王アルバート公テイマス城英語版ブレダルバン侯爵を訪ねた折、侯爵が専属のバグパイプ奏者を雇っていることを女王が知って導入したものである。この時の心境について女王は母のケント公爵夫人に以下の手紙を書いている。

美しいハイランド地方に来てからというもの、私たちはバグパイプしか聞きませんが、とても気に入ったので、あなたもお好きなら、毎晩フロッグモア英語版[注釈 1]でパイプを吹くことができる専属の奏者を雇いたいと考えています。

— [1]

それ以来、この役職は、第二次世界大戦中の一時期を除いて継続しており、主な役目は毎朝午前9時に君主の寝室の窓の下で15分間演奏を行ったり、国家式典で演奏することである[2]

初代奏者は著名なピブロック英語版(バグパイプで演奏される軍歌)の研究者であったアンガス・マッケイ英語版であった。それ以降はいずれもスコットランド連隊やアイルランド連隊に所属する下士官や経験豊富なパイプ・メジャー英語版(バグパイプ専任の少佐)から選ばれている。奏者は家政機関としての王室(The Royal Household)の一員であると同時に、出向期間中も軍籍を保持した状態となる[2]

歴代奏者

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  • 1843–1854: アンガス・マッケイ英語版
  • 1854–1891: PM William Ross, 第42ハイランド連隊(ブラックウォッチ)
  • 1891–1910: PM James Campbell, 第42ハイランド連隊(ブラックウォッチ)
  • 1910–1941: PM Henry Forsyth, スコッツガーズ
  • 1941–1945: 中断
  • 1945–1965: PM Alexander MacDonald, スコッツガーズ
  • 1965–1973: PM Andrew Pitkeathly, アーガイル・アンド・サザーランド・ハイランダーズ
  • 1973–1980: PM David Caird, ロイヤル・ハイランド・フュージリアーズ
  • 1980–1995: PM Brian MacRae, ゴードンハイランダーズ
  • 1995–1998: PM Gordon Webster, スコッツガーズ
  • 1998–2003: PM Jim Motherwell, アーガイル・アンド・サザーランド・ハイランダーズ
  • 2003–2006: PM Jim Stout, ハイランダーズ、第1大隊
  • 2006–2008: PM Alastair Cuthbertson, ロイヤルスコッツ、第1大隊
  • 2008–2012: PM Derek Potter RVM, ロイヤル・スコッツ・ドラゴンガーズ
  • 2012–2015: PM David Rodgers, アイリッシュガーズ
  • 2015–2019: PM Scott Methven, ロイヤル・スコットランド連隊
  • 2019–2021: PM Richard Grisdale, ロイヤル・スコットランド連隊
  • 2021–現在 PM Paul Burns, ロイヤル・スコットランド連隊

脚注

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注釈

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  1. ^ ヴィクトリア女王時代の王室の住居であった場所。

出典

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  1. ^ Delia Millar (1985). Queen Victoria's Life in the Scottish Highlands. Philip Wilson. p. 20 
  2. ^ a b McKay, Neville (1996), “A History of the Office of Piper to the Sovereign”, Folk Music Journal 7 (2): pp. 188–204, JSTOR 4522546, https://jstor.org/stable/4522546 

外部リンク

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