きみのおうちへ
『きみのおうちへ』 | |
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LOST AND FOUND | |
監督 | フィリップ・ハント |
脚本 | フィリップ・ハント |
原作 |
『Lost and Found』(邦題:『まいごのペンギン』) オリヴァー・ジェファーズ |
製作 | スー・ゴッフェ |
製作総指揮 |
パム・デニス ジョアン・ロフツ |
ナレーター | ジム・ブロードベント |
音楽 | マックス・リヒター |
製作会社 |
Studio AKA Contender Entertainment Group |
配給 | Channel Four Television Corporation (UK) |
公開 | 2008年12月24日 |
上映時間 | 25分 |
製作国 | イギリス |
言語 | 英語 |
『まいごのペンギン』 Lost and Found | ||
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著者 | オリヴァー・ジェファーズ | |
イラスト | オリヴァー・ジェファーズ | |
発行日 | 2005年9月5日 | |
発行元 | ハーパーコリンズ | |
ジャンル | 絵本 | |
国 | イギリス | |
言語 | 英語 | |
形態 | 文学作品 | |
ページ数 | 32 | |
コード |
ISBN 978-0-00-715035-9 OCLC 62889296 [E] 22(デューイ十進分類法) PZ7.J3643 Los 2005(アメリカ議会図書館分類表) | |
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画像外部リンク | |
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絵本『Lost and Found』(邦題:『まいごのペンギン』)のカバー | |
en:File:LostAndFound-OliverJeffers.jpg |
『きみのおうちへ』(英: LOST AND FOUND)は、2008年に初放送されたイギリスのテレビ用短編アニメーション映画[1][2]。監督・脚本はフィリップ・ハント(Philip HUNT)[3][4][5]、制作会社はイギリスのアニメーションスタジオStudio AKAである[6]。2009年の英国アカデミー賞チルドレンズ・アワードのアニメーション部門賞を受賞したほか、アヌシー国際アニメーション映画祭でTVスペシャル賞、広島国際アニメーションフェスティバルで国際審査員特別賞など、世界各地の映画祭で60以上の賞を獲得している。NHK放送時には「きみのおうちへ(LOST AND FOUND)」の邦題で番組表に掲載される。
原作はイギリス・北アイルランドの首府ベルファストで育った児童文学作家オリヴァー・ジェファーズ[7]が2005年に発表した絵本『Lost and Found』(邦題:『まいごのペンギン』)である[8]。当記事では原作の絵本および演劇版についても取り扱う。
あらすじ
[編集]とある港町に住む少年のもとへある日1羽の「ペンギン」がやってくる[1][9]。少年はこのペンギンは迷子になったのであろうと落とし物預かり所へと行く[1][9]。しかし、該当する件がないとして少年とペンギンは追い返されてしまう[1][9]。
少年は迷子のペンギンを助けるために、鳥たちに聞いたり、本で調べたりして、必死に頑張る。
その後、少年はなんとかペンギンをもとの場所に戻そうと小さなボートを作る[1][9]。そして2人でボートへ乗り込みペンギンが元々住んでいた南極大陸を目指す[1][9]。
しかしやがて少年は長い旅路の果てにペンギンの本当の気持ちを察することとなる[1][9]。
登場キャラクター
[編集]- ナレーター (Narrator)
- キャスト: ジム・ブロードベント(原語版)[2]、大森南朋(日本語版吹替)[1]
- 少年
- とある港町に住む男の子[1]。
- ペンギン
- 少年のもとにある日ひょっこりとやってきたペンギン[1]。
製作
[編集]テレビ放送用の短編アニメーション『きみのおうちへ』は、4つの国の20人のスタッフによって約11カ月で完成された[5]。ほとんど実現不可能な納期設定と非常に厳しい予算制約の中で制作した、と監督を務めたフィリップ・ハントは述べている[5]。アニメーターはBoris Kossmehlである[2]。
テレビ放送
[編集]製作国のイギリスでは、2008年12月24日(クリスマス・イヴ)に地上波公共放送チャンネル4(Channel 4)で最初の放送がおこなわれた[10]。
日本のテレビにおいては、2009年(平成21年)12月23日にNHK-BS2の「BS冬休みアニメ特選」枠で初めて放送された[11][12][13][注 1]。地上波テレビでは2019年(平成31年)3月21日にNHK Eテレで初めて放送された[16][注 2]。その後、地上波では同年6月30日、9月18日、12月31日、翌2020年(令和2年)4月1日にも同じくNHK Eテレで再放送されている[14][9]。
原作絵本
[編集]原作となった絵本『Lost and Found』(ISBN 978-0-00-715035-9、OCLC 62889296)は2005年にイギリスのハーパーコリンズ社から出版された。著者はオリヴァー・ジェファーズであある。
日本では『まいごのペンギン』(ISBN 978-4-78-972645-0、訳: 三辺律子)の邦題で2005年(平成17年)12月にヴィレッジブックスから翻訳出版された[17]。
舞台公演
[編集]演劇版『Lost and Found』は劇団トラベリング・ライトとポルカ・シアトルによって、主として3歳–7歳の児童向けの舞台として制作された[18][19][20]。2011年4月にはロンドンのジャクソンズ・レーン劇場で公演された。
評価
[編集]短編アニメーション『きみのおうちへ』は2009年にBAFTA主催の英国アカデミー賞こども部門のアニメーション賞を受賞した[21][8][22][5]。そのほか2009年の第33回アヌシー国際アニメーション映画祭でTVスペシャル賞(best TV special)を獲得するなど[3][23][24]、世界各地の映画祭で60以上の賞を受け[6]、国際的に高く評価されている。日本でも2010年の第13回広島国際アニメーションフェスティバルで「物語の流れ、演出、アニメーション表現技術の組み合わせ」の優秀さを理由として国際審査員特別賞を受賞[25][注 3]、2009年の第4回札幌国際短編映画祭では最優秀チルドレン・ショート賞、オーディエンスアワード、子ども審査員賞〈金賞〉の3賞をトリプル受賞している[26][注 4]。
米国のコモン・センス・メディア(CSM)は子供の保護者への情報提供として以下のようなコメントを掲載している[27]。
"appropriate for all ages and doesn't contain anything questionable."
あらゆる年齢層に適しており、いかがわしい内容は一切含まれていません。
原作絵本の評価
[編集]オリヴァー・ジェファーズによる原作絵本『Lost and Found』は2005年のネスレ子どもの本賞(旧 ネスレ・スマーティーズ・ブック賞)で金賞を[28][29][30][7]、翌2006年にはイギリスBBC主催のブルー・ピーター・ブック賞を受賞するなど高い評価を得た[31]。
アメリカの出版情報誌『パブリッシャーズ・ウィークリー』はこの作品を「魅力的だ」とした上で、以下のように紹介した[32]。
"...gently humorous and heartwarming tale of friendship found, lost and regained."
優しくユーモラスで心温まる物語。友情の構築、喪失、そして回復が描かれている。
アイルランドの児童書専門誌『Inisマガジン』[33]は以下のように評価した[34]。
"a very special book which I am sure will become a favourite with 3 to 4-year-olds. It also offers wide scope for discussion in the playschool/infant classroom."
とても特別な本だと思います。3から4歳児のお気に入りの本にきっとなると私は確信しています。またプレイスクールや保育園の教室での話の幅を広げてくれるでしょう。
イギリスの読書推進基金ブックトラスト[35]は以下のように記した[36]。
"it is a visual delight, and its themes of loneliness and friendship will resonate with young readers."
視覚的に楽しく、寂しさと友情というテーマは若い読者に響くでしょう。
アメリカの書評誌カーカス・レビューには以下のような批評が掲載されている[37]。
"Readers who (inexplicably) find David Lawrence’s Pickle and Penguin (2004) just too weird may settle in more comfortably with this—slightly—less offbeat friendship tale."
デヴィッド・ローレンスの『ピクルとペンギン(Pickle and Penguin)』(2004年)が(どういうわけか)ただただ奇妙に感じる読者にとっては、この(いくらかは)風変わりではない友情物語の方が感情移入できるかもしれません。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ NHK-BS2初放送の日時情報はNHKクロニクルでのNHK番組表の検索結果による[14]。なお、同日にBS冬休みアニメ特選として放送された作品は、『アズールとアスマール』(2006年)、本作『きみのおうちへ (LOST AND FOUND)』(2008年)、『ファーザー・クリスマス (アニメ)』(1991年)、「ヒピラくん 5・6・7話」(2009年)の4タイトルである[15]。
- ^ NHK Eテレ(教育テレビ)での初放送日時の情報はNHKクロニクルでのNHK番組表の検索結果による[14]。
- ^ 第13回広島国際アニメーションフェスティバルには『ロスト・アンド・ファウンド』の邦題で出品された[25]。
- ^ 第4回札幌国際短編映画祭には『まいごのペンギン』の邦題で出品された[26]。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j “アニメ きみのおうちへ (LOST AND FOUND)”. NHK. 日本放送協会. 2023年8月8日閲覧。
- ^ a b c (英語) Lost and Found (TV Movie 2008) - Full Cast & Crew 2023年8月9日閲覧。
- ^ a b “アヌシー国際アニメーション映画祭”. Animations creators & critics(アニメーションズ). 山村浩二 (2010年). 2023年12月4日閲覧。 “2009 [...] TV スペシャル / TV スペシャル賞:"Lost and Found" Philip HUNT (イギリス)”
- ^ “フィリップ・ハント(Philip Hunt) について : 映画データベース”. allcinema. 株式会社スティングレイ. 2023年12月3日閲覧。
- ^ a b c d “Children's Blog - Children's - Awards - The BAFTA site” (英語). BAFTA: Home of the British Academy of Film and Television Arts. British Academy of Film and Television Arts (2009年11月9日). 2009年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月9日閲覧。 “Philip Hunt - WINNER for Lost and Found:”
- ^ a b “Lost And Found - BAFTA-winning children’s film” (英語). Studio AKA. Studio AKA. 2023年12月3日閲覧。 “Awards ★★★★★ THE 61 AWARDS FOR LOST AND FOUND…” ※Studio AKA 公式ウェブサイト。
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- ^ a b “きみのおうちへ(LOST AND FOUND) | Eテレウォッチングkids”. Eテレウォッチングkids (2020年). 2023年8月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g “アニメきみのおうちへ (LOST AND FOUND) 初回放送日: 2020年4月1日”. NHK. 日本放送協会 (2020年). 2023年8月8日閲覧。 ※リンク先には「初回放送日 2020年4月1日」とあるが正確ではない。#テレビ放送節を参照。
- ^ “Lost and Found (TV Movie 2008) - Release info” (英語). IMDb. 2023年12月5日閲覧。 “Release date : United Kingdom December 24, 2008”
- ^ “BS冬休みアニメ特選&教育テレビ年末年始アニメ 放送予定”. NHKアニメワールド. 日本放送協会 (2009年). 2009年12月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月4日閲覧。 “12/23(水) 10:40〜11:04 きみのおうちへ(LOST AND FOUND)”
- ^ “NHKクロニクル : 2009年12月23日 衛星第2 番組表”. NHKアーカイブス. 日本放送協会. 2023年12月4日閲覧。 “午前10:40 きみのおうちへ(LOST AND FOUND) —BS冬休みアニメ特選—”
- ^ 宵乃 (2009年12月25日). “アニメ「きみのおうちへ(LOST AND FOUND)」観ました”. 忘却エンドロール. 2023年12月4日閲覧。 “BS冬休みアニメ特選でやっていた25分程度のCGアニメーション作品。”
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- ^ “2009年12月放送のアニメ特別番組”. Chaki-EL WebSite (2009年12月15日). 2023年12月4日閲覧。
- ^ “NHKクロニクル : 2019年3月21日 教育/Eテレ 番組表”. NHKアーカイブス. 日本放送協会 (2019年). 2023年12月4日閲覧。 “午前09:00 きみのおうちへ(LOST AND FOUND)”
- ^ “まいごのペンギン | オリヴァー・ジェファーズ, 三辺 律子 | 数ページ読める | 絵本ナビ:レビュー・通販”. 絵本ナビ. 株式会社絵本ナビ. 2023年8月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月9日閲覧。
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- ^ “Children’s Theatre Review: Oliver Jeffers' Lost and Found” (英語). Bambino Goodies (2011年5月31日). 2023年12月3日閲覧。
- ^ “絵本作家オリヴァー・ジェファーズのえほん 特設サイトです。 : さく オリヴァー・ジェファーズ”. ほるぷ出版. 株式会社ほるぷ出版. 2023年12月4日閲覧。 “独特のイラストで知られ、画家やインスタレーション・アーティストとしても活躍。主な作品に、英国アカデミー賞児童部門アニメーション賞を受賞した『まいごのペンギン』、[...] など多数。”
- ^ “2009 Children's Animation : Winner Lost And Found - BAFTA Awards” (英語). BAFTA: The arts charity for film, games and TV. British Academy of Film and Television Arts (2009年). 2023年12月4日閲覧。
- ^ Amid Amidi (2009年6月13日). “Annecy 2009 Winners” (英語). en:Cartoon Brew. Cartoon Brew, LLC.. 2023年12月4日閲覧。 “[...] best TV Special to Philip Hunt's Lost and Found, [...]”
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- ^ a b “広島国際アニメーションフェスティバル│受賞作品発表 : 国際審査員特別賞 Special International Jury Prize”. 第13回広島国際アニメーションフェスティバル HIROSHIMA 2010. 広島国際アニメーションフェスティバル実行委員会 (2010年). 2023年12月3日閲覧。 “ロスト・アンド・ファウンド Lost and Found/[受賞の理由]物語の流れ、演出、アニメーション表現技術の組み合わせが優れています。素晴らしい作品です。”
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- ^ “Lost and Found Movie Review” (英語). Common Sense Media. 2023年8月9日閲覧。
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- ^ “Nestlé Children's Book Prize” (英語). Booktrusted. 2007年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月9日閲覧。
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- ^ “Lost and Found by Oliver Jeffers” (英語). Publishers Weekly. 2023年8月9日閲覧。
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- ^ “Lost and Found by Oliver Jeffers” (英語). BookTrust. 2017年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月9日閲覧。
- ^ “LOST AND FOUND” (英語). Kirkus Reviews (2006年1月1日). 2023年8月9日閲覧。