向野田古墳
向野田古墳 | |
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後円部墳頂 (中央に墓壙1段目。2段目は埋没) | |
所在地 | 熊本県宇土市松山町 |
位置 | 北緯32度39分47.52秒 東経130度40分25.53秒 / 北緯32.6632000度 東経130.6737583度座標: 北緯32度39分47.52秒 東経130度40分25.53秒 / 北緯32.6632000度 東経130.6737583度 |
形状 | 前方後円墳 |
規模 |
墳丘長86m 高さ8m(後円部) |
埋葬施設 |
竪穴式石室1基 (内部に舟形石棺1基) |
出土品 | 人骨・副葬品多数・埴輪 |
築造時期 | 4世紀後半 |
被葬者 | 成人女性1人 |
史跡 | 宇土市指定史跡「向野田古墳」 |
有形文化財 | 出土品(国の重要文化財) |
地図 |
向野田古墳(むこうのだこふん)は、熊本県宇土市松山町にある古墳。形状は前方後円墳。宇土市指定史跡に指定され、出土品は国の重要文化財に指定されている。
概要
[編集]熊本県中部、熊本平野・八代平野の間の丘陵上に築造された古墳である[1]。これまでに採土工事による大きな改変を受けているほか、1967-1969年(昭和42-44年)および1992年(平成4年)に発掘調査が実施されている[1]。
墳形は前方後円形で、前方部を北方に向ける。墳丘は3段築成と見られるが[2]、採土工事で前方部が削平されているほか、後円部墳頂も改変を受けている[3]。墳丘表面では円筒埴輪のほか葺石が認められる[2]。埋葬施設は竪穴式石室で、内部に舟形石棺を据える[1]。石棺内外からは被葬者の人骨(成人女性)のほか、銅鏡・玉類・車輪石・刀剣類・工具類など多数の副葬品が検出されている[4]。以上より築造時期は古墳時代前期の4世紀後半頃と推定される[5]。人骨の出土のほか、被葬者が女性単独という点で注目される古墳になる[6][1]。
古墳域の後円部部分は1969年(昭和44年)に宇土市指定史跡に指定されたほか[3]、出土品は1979年(昭和54年)に国の重要文化財に指定されている[4]。
遺跡歴
[編集]- 1967-1969年(昭和42-44年)、発掘調査(宇土市教育委員会、1978年に報告書刊行)[1]。
- 1969年(昭和44年)10月1日、宇土市指定史跡に指定[3]。
- 1979年(昭和54年)6月6日、出土品が国の重要文化財に指定[4]。
- 1992年(平成4年)、範囲確認の墳丘発掘調査(宇土市教育委員会)[5]。
墳丘
[編集]墳丘の規模は次の通り[2]。
- 墳丘長:約86メートル - 他文献では97メートル[5]。
- 後円部 - 3段築成か。現在は上面は削平。
- 直径:約53.7メートル
- 高さ:約8メートル
- 前方部 - 3段築成か。現在は消滅。
- 幅:約33.5メートル
- 高さ:約4メートル
元の墳丘は宇土市内では3番目、熊本県内では7番目の規模であった[2]。
埋葬施設
[編集]埋葬施設は後円部における竪穴式石室で、内部に舟形石棺を据える[1][5]。石室は、後円部中央の内法長4.25メートル・北側幅1.1メートル・南側幅0.94メートル・高さ1.08メートルの墓壙の中央において、割石小口積みで形成される[5]。
石棺は阿蘇溶結凝灰岩製の刳抜式舟形石棺で、両端には縄掛突起を有する[5]。寸法は、棺身内法長2.86メートル・北側幅0.52メートル・南側幅0.45メートル・深さ0.33メートル[5]。石棺内からは北を頭位とする人骨(30代後半-40代の成人女性)のほか銅鏡・玉類・車輪石などの副葬品が、石棺・石室の間からは刀剣類・工具類などの副葬品が検出された[1][6]。これらの副葬品は国の重要文化財に指定され、現在は宇土市立図書館の郷土資料室に保管・展示されている[6]。
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銅鏡・玉類・刀剣類
-
南海製イモ貝製貝釧
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石枕未成品
石室の裏ごめ石に混入して出土。 -
円筒埴輪・朝顔形円筒埴輪片
突帯が幅広い特徴を有する。
文化財
[編集]重要文化財(国指定)
[編集]- 肥後向野田古墳出土品 一括(考古資料) - 宇土市立図書館郷土資料室保管。明細は以下。1979年(昭和54年)6月6日指定[4][6]。
- 銅鏡
- 内行花文鏡 1面
- 方格規矩鏡 1面
- 禽獣鏡 1面
- 玉類
- 硬玉勾玉 4箇
- 碧玉管玉 一括
- ガラス小玉 残欠共 一括
- 碧玉車輪石 1箇
- 刀剣類
- 刀身 残欠共 6口
- 剣身 4口
- 工具類
- 鉄斧 3箇
- 刀子 残欠共 78口
- 銅鏡
宇土市指定文化財
[編集]- 史跡
- 向野田古墳 - 1969年(昭和44年)10月1日指定[3]。
関連施設
[編集]- 宇土市立図書館 郷土資料室(宇土市浦田町) - 向野田古墳の出土品等を保管・展示。
脚注
[編集]参考文献
[編集](記事執筆に使用した文献)
- 史跡説明板(宇土市教育委員会設置)
- 「向野田古墳」『日本歴史地名大系 44 熊本県の地名』平凡社、1985年。ISBN 4582490441。
- 小林三郎「向野田古墳」『日本古墳大辞典』東京堂出版、1989年。ISBN 4490102607。
- 木崎康弘「向野田古墳」『続 日本古墳大辞典』東京堂出版、2002年。ISBN 4490105991。
- 島津義昭「向野田古墳」『日本古代史大辞典』大和書房、2006年。ISBN 978-4479840657。
関連文献
[編集](記事執筆に使用していない関連文献)
- 『向野田古墳(宇土市埋蔵文化財調査報告書 第2集)』宇土市教育委員会、1978年。 - リンクは奈良文化財研究所「全国遺跡報告総覧」。
外部リンク
[編集]- 肥後向野田古墳出土品 - 国指定文化財等データベース(文化庁)
- 向野田古墳、向野田古墳出土品 - 宇土市「宇土市デジタルミュージアム」