古田勝久
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人物情報 | |
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生誕 | 1940年1月3日(84歳)[1][2] |
居住 |
日本 カナダ アメリカ合衆国 |
出身校 | 東京工業大学 |
学問 | |
研究分野 | 制御工学、ロボット工学 |
研究機関 | 東京工業大学、ラヴァル大学、カリフォルニア大学バークレー校、東京電機大学 |
博士課程指導教員 | 伊沢計介[3][4] |
博士課程指導学生 |
課程博士 - 河注植[5]、大山恭弘[6]、近藤良[7]、三平満司[8]、山北昌毅[9]、上家和幸[10]、古賀雅伸[11]、筑井麻紀子[12]、野中謙一郎[13]、岡林亮爾[14]、田中聡[15]、浅野文彦[16] 論文博士 - 原辰次[17]、小菅一弘[18]、汐月哲夫[19]、石川潤[20] |
学位 | 工学博士(東京工業大学)[3] |
主な業績 | Furuta Pendulum[21]、DPACS-F[22]、非線形制御、スーパーメカノシステム[23] |
影響を受けた人物 | ルドルフ・カルマン[24] |
影響を与えた人物 | 美多勉[25] |
学会 | 計測自動制御学会、IEEE、IET、など |
主な受賞歴 | IEEE CSS Distinguished Member、同 Third Millennium Medal[21][26]、瑞宝中綬章[27][28] |
古田 勝久(ふるた かつひさ、1940年(昭和15年)1月3日[1][2] - )は、日本の制御工学、ロボット工学の研究者。東京工業大学名誉教授、工学博士(東京工業大学)[3]。東京工業大学教授、東京電機大学教授、同学長を歴任し、非線形制御の検証用として開発した回転テーブル式の倒立振子はFuruta Pendulumとして世界に知られている[29][30][21][4]。
システム同定や非線形制御、ロボット・メカトロニクスの制御で実績をあげ、スーパーメカノシステム[23]やHAM(Human Adaptive Mechatronics)、Safe Manual Control[31]といった概念も提唱し、東京工業大学のCOE形成基礎研究や、東京電機大学の21世紀COEプログラムをリードした[23][31]。制御理論の研究では多くの弟子を育て、日本発の制御系CAD「MATX」[注釈 1]は古田研究室から誕生している[34]。
経歴
[編集]略歴
[編集]- 1962年3月 - 東京工業大学理工学部化学工学課程卒業[26]
- 1964年3月 - 東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻修士課程修了[2]
- 1967年
- 1967年7月 - カナダ ラヴァル大学 ポストドクトラルフェロー[26]
- 1970年6月 - 東京工業大学工学部助教授[1][26][36]
- 1982年10月 - 東京工業大学工学部教授[1][26][36]
- 1997年3月 - アメリカ カリフォルニア大学バークレー校客員教授[26]
- 1994年 - 東京工業大学大学院情報理工学研究科情報環境学専攻教授[36]
- 2000年
- 2002年 - 科学技術振興機構 対人地雷探知・除去活動研究総括[2][35]
- 2003年 - 21世紀COEプログラム「操作能力熟達に適応するメカトロニクス」拠点リーダー(平成15年度~19年度)[37]
- 2004年7月 - 東京電機大学 理事[26]
- 2008年6月 - 東京電機大学 学長[36]
- 2016年3月 - 任期満了により学長を退任[38]
受賞・栄典
[編集]- 1974年度 - 計測自動制御学会昭和49年度論文賞[39]
- 1992年 - 日本塑性加工学会 会田技術賞[40]
- 1998年9月 - ヘルシンキ工科大学名誉博士[21][26]
- ほか、タリン工科大学、ロシア科学アカデミーからも名誉博士号が授与されている[41]。
- 1998年12月 - IEEE CSS Distinguished Member Award[21][26]
- 2000年1月 - IEEE Third Millennium Medal AwardHazewinkel, Michiel, ed. (2001), “古田勝久”, Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4[26]
- 2012年 - 日本ロボット学会設立特別功労賞[42]
- 2017年4月 - 瑞宝中綬章受勲[27][28]
社会的活動
[編集](学術団体)
- 計測自動制御学会 - 1992年 フェロー、1999年 会長、2006年 名誉会員[26]
- システム制御情報学会[43]
- 日本ロボット学会[1]
- IEEE - 1996年 フェロー[21][26]
- IET - 2003年 フェロー[21]
- 国際自動制御連盟(IFAC) - 元理事[21][26]
(その他)
著書
[編集]単著
[編集]- 古田勝久『線形システムの観測と同定』コロナ社〈システム工学講座 2〉、1975年。
- 古田勝久『線形システム制御理論』昭晃堂、1973年。
- 古田勝久『ディジタルコントロール』コロナ社〈現代制御シリーズ 5〉、1989年3月。ISBN 4339030856 。978-4-339-03085-3。
共著・編著
[編集]- 古田勝久、佐野昭『基礎システム理論』コロナ社〈大学講義シリーズ〉、1978年7月。
- 古田勝久、美多勉『システム制御理論演習』昭晃堂、1978年9月。
- 古田勝久、川路成保、美多勉、原辰次『メカニカルシステム制御』オーム社、1984年3月。ISBN 4274085511。
- Katsuhisa FURUTA, Akira SANO, Derek P. Atherton (1988-11). State Variable Methods in Automatic Control. Wiley. ISBN 0471918776。978-0471918776
- 古田勝久、畠山省四朗、野中謙一郎 編著『モデリングとフィードバック制御-動的システムの解析-』東京電機大学出版局、2001年5月。ISBN 4-501-32190-3 。978-4-501-32190-1。
- 古田勝久 編著『メカトロニクス概論』オーム社〈ロボット・メカトロニクス教科書〉、2007年2月。ISBN 978-4-274-20362-6 。
- Katsuhisa FURUTA, Jun ISHIKAWA, ed (2008). Anti-personnel landmine Detection for Humanitarian Demining. Springer. ISBN 978-1-84882-346-4
- Satoshi SUZUKI, Katsuhisa FURUTA (2010-03) (PDF). Easy-implementable on-line identification method for a first-order system including a time-delay. doi:10.5772/9525
監修・翻訳
[編集]- Benjamin C Kuo 著、古田勝久、中野道雄 監訳 編『ディジタル制御システム』ホルト・サウンダース・ジャパン、1984年。ISBN 4833770059。(原題:Digital control systems、3冊)
- Christopher Riche Evans 著、古田勝久、古田久美子 訳 編『近未来社会の奔流-コンピュータ革命の衝撃-』CBS出版、1985年。(原題:The mighty micro)
- Miomir Vukobratovic、Veljko Potkonjak 著、古田勝久 監訳 編『ロボット工学の基礎-マニュピュレータの動力学-』シュプリンガー・フェアラーク東京、1986年12月。ISBN 4431705120。(原題:Dynamics of manipulation robots)
- John Bransford、Barry Stein 著、古田勝久、古田久美子 訳 編『頭の使い方がわかる本 : 問題点をどう発見し、どう解決するか 問題解決のノウハウ』HBJ出版局、1990年5月。ISBN 4833730596。(原題:The ideal problem solver)
- Stuart Bennett 著、古田勝久、山北昌毅 監訳 編『制御工学の歴史』コロナ社、1998年8月。ISBN 4339031704 。978-4-339-03170-6。(原題:A history of control engineering 1800-1930)
- Michael Tiller 著、古田勝久 監訳、杉木明彦・トヨタテクノサービス 訳 編『Modelicaによる物理モデリング入門』オーム社、2003年11月。ISBN 4274946819。978-4274946813。(原題:Introduction to physical modeling with Modelica)
- 大畠明 著、古田勝久 監修 編『モデルベース開発のための複合物理領域モデリング-なぜ奇妙なモデルが出来てしまうのか?-』TechShare〈MBD Lab Series〉、2012年11月。ISBN 978-4-906864-02-7 。
論文・解説
[編集]学位論文
[編集]- 古田勝久『A study of process identification』東京工業大学〈博士論文(甲第195号)〉、1967年3月 。
主な論文
[編集]- 古田勝久、河注植「多変数系の同定」『計測自動制御学会論文集』第8巻第5号、1972年、561-567頁。 - 論文賞受賞[39]
- K. Furuta; K. Kosuge; O. Yamato; K. Nosaki (1985). “Robust Control of a Robot Manipulator with Nonlinearity”. Robotica 2: 75-81 .
- 古田勝久、小菅一弘、塩手良知、秦野弘「仮想内部モデルに基づくマスタスレイブマニピュレータの制御」『計測自動制御学会論文集』第24巻第2号、1988年、176-182頁。
- 古田勝久、森貞雅博「離散系のスライディングモードコントロール」『計測自動制御学会論文集』第25巻第5号、1989年、574-578頁。
- Katsuhisa Furuta (February 1990). “Sliding mode control of a discrete system”. Systems & Control Letters 14 (2): 145-152 .
- K. Furuta; M. Yamakita; S. Kobayashi (1992). “Swing-up control of inverted pendulum using pseudo-state feedback”. Journal of Systems and Control Engineering 206 (6): 263-269 .
- 鈴木幸仁、井筒正義、釜道紀浩、石川潤、古田勝久「両手操作時の操作能力熟達度の定量評価に関する研究」『日本機械学会論文集C編』第77巻第776号、2011年、1413-1428頁。
主な解説
[編集]- 古田勝久「7. フィードバック制御系の構成例」『計測と制御』第14巻第1号、1975年、72-77頁。
- 古田勝久、川路茂保「線形システムの Geometric Approach」『計測と制御』第16巻第4号、1977年、340-347頁。
- 古田勝久、梶原宏之「制御系のためのCAD」『計測と制御』第18巻第9号、1979年、777-786頁。
- 古田勝久、原辰次「サーボ技術と現代制御論」『計測と制御』第19巻第10号、1980年、953-961頁。
- 古田勝久、小菅一弘「マニピュレータの力制御アルゴリズムとその実現」『日本ロボット学会誌』第7巻第3号、1989年、243-248頁。
- 古田勝久「ロボットの動的制御」『計測と制御』第30巻第5号、1991年、376-382頁。
- 古田勝久「大学における制御理論教育の現状」『計測と制御』第33巻第6号、1994年、451-456頁。
- 古田勝久「実システムからの制御理論」『計測と制御』第35巻第10号、1996年、Preface1。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f 広瀬ほか 2000, p. 1065.
- ^ a b c d e f g h 石川・古田 2005, p. 778.
- ^ a b c d 古田勝久 1967.
- ^ a b 東京電機大学 2015.
- ^ 河注植『二次形式評価基準を用いた同定理論に関する研究』東京工業大学〈博士論文(甲第545号)〉、1972年3月 。
- ^ 大山恭弘『ディジタル制御のRCヘリコプターへの応用に関する研究』東京工業大学〈博士論文(甲第1626号)〉、1985年3月 。
- ^ 近藤良 (1986-03-26). A study of control system design using Riccati type equation. 博士論文(甲第1724号). 東京工業大学 『Riccati方程式に基づく制御系設計に関する研究』
- ^ 三平満司 (1987-3). Analysis and control of nonlinear systems with a time scale transformation. 博士論文(甲第1820号). 東京工業大学日本語題名『時間軸の変換を用いた非線形システムの解析と制御』
- ^ 山北昌毅『仮想目標入力生成に関する研究』東京工業大学〈博士論文(甲第2032号)〉、1989年3月 。
- ^ 上家和幸 (1992-3). A study on robust D-stability : a parametric approach. 博士論文(甲第2510号). 東京工業大学. doi:10.11501/3090116 日本語題名『ロバストD安定性の研究-パラメータ空間アプローチ-』
- ^ 古賀雅伸 (1993-3). A study on complex coefficient system. 博士論文(甲第2592号、No.A-2592). 東京工業大学. doi:10.11501/3068169 日本語題名『複素係数システムに関する研究』
- ^ 筑井麻紀子『株価の観測雑音を考慮したオプション評価』東京工業大学〈博士論文(甲第3377号)〉。doi:10.11501/3132702 。
- ^ 野中謙一郎 (1997-3). A Study on Adaptive and Robust Sliding Mode Control. 博士論文(甲第3564号). 東京工業大学. doi:10.11501/3132892日本語題名『適応・ロバストなスライディングモード制御に関する研究』
- ^ 岡林亮爾 (1999-3). A study on design and analysis of control systems considering physical constraints of controllers. 博士論文(甲第4159号). 東京工業大学. doi:10.11501/3161185『制御器の物理的制約を考慮した制御系の設計・解析に関する研究』
- ^ 田中聡『続時間系における有限時間整定制御器の設計法に関する研究』東京工業大学〈博士論文(甲第4828号)〉、2001年3月。doi:10.11501/3191673 。
- ^ 浅野文彦 (2002-3). Virtual passivity based control of dynamic bipedal walking. 博士論文(甲第5032号). 東京工業大学 『仮想受動性に基づく動的二足歩行の制御』
- ^ 原辰次 (1981-09-30). A synthesis of servo controller for linear multivariable systems with parameter perturbations. 博士論文(乙第1061号). 東京工業大学日本語題名『パラメータ変動を含む線形多変数系に対するサーボ系の設計』
- ^ 小菅一弘 (1988-7). Control of robot arm based on virtual internal model. 博士論文(乙第1833号). 東京工業大学日本語題名『仮想内部モデルに基づくロボットアームの制御』
- ^ 汐月哲夫『ディスクリプタシステムの構造解析と制御系設計に関する研究』東京工業大学〈博士論文(乙第1994号)〉、1989年12月 。
- ^ 石川潤『磁気ディスク装置トラックシーク動作のための高速位置決め制御の研究』東京工業大学〈博士論文(乙第3289号)〉、1999年3月。doi:10.11501/3161316 。
- ^ a b c d e f g h “Authors & Editors (Anti-personnel Landmine Detection for Humanitarian Demining)”. Springer. 2014年10月7日閲覧。
- ^ 古田・梶原 1979.
- ^ a b c 広瀬ほか 2000.
- ^ 古田ほか 1984.
- ^ 小郷寛、美多勉 『システム制御理論入門』 実教出版、1979年12月。ISBN 978-4-407-02205-6
- ^ a b c d e f g h i j k l m 計測自動制御学会 2006.
- ^ a b c “古田勝久名誉教授が平成29年春の叙勲を受章”. 東工大ニュース (2017年6月12日). 東京工業大学 2017年7月15日閲覧。
- ^ a b “平成29年春の叙勲”. p.17 内閣府. 2017年7月15日閲覧。
- ^ J. A. Acosta (2010). “Furuta’s Pendulum: A Conservative Nonlinear Model for Theory and Practise” (PDF). Mathematical Problems in Engineering (Hindawi Publishing Corporation).
- ^ Benjamin Seth Cazzolato and Zebb Prime (2011). “On the Dynamics of the Furuta Pendulum” (PDF). Journal of Control Science and Engineering (Hindawi Publishing Corporation).
- ^ a b 五十嵐洋「操作支援に向けた人間認知特性評価-東京電機大学21世紀COEプログラム「操作能力熟達に適応するメカトロニクス」-」『日本ロボット学会誌』第25巻第3号、2007年、346-348頁。
- ^ 古賀雅伸 『制御・数値解析のためのMATX』 東京電機大学出版局、2000年2月。ISBN 978-4501531003
- ^ 古賀雅伸. “MATXとは?”. www.matx.org. 2015年2月22日閲覧。
- ^ a b 古賀・古田 1993.
- ^ a b c d e 岩瀬・古田 2005, p. 91.
- ^ a b c d e リクルート進学総研 2008.
- ^ a b 東京電機大学教員情報.
- ^ 『新学長の決定について』(プレスリリース)東京電機大学、2015年12月24日 。2016年5月5日閲覧。
- ^ a b “学会賞受賞者”. 学会賞・各種授賞. 計測自動制御学会. 2015年5月3日閲覧。
- ^ 古田勝久 1994, p. 456.
- ^ 古田勝久「対人地雷探知除去の研究開発の総括をして」(PDF)『JISTEC REPORT』第74巻、2頁。
- ^ “表彰>設立特別功労賞”. 日本ロボット学会. 2016年5月5日閲覧。
- ^ 古田勝久 1991, p. 382.
- ^ 田勝久、富田武彦「先端制御技術の動向報告 ―プロセス産業を中心とした適用状況―」、『計測と制御』第29巻第10号、1990年、953-958頁。
参考文献
[編集]- 石川潤、古田勝久「人道的対人地雷探知・除去機器におけるシステム・インテグレーション」『計測と制御』第44巻第11号、2005年、775-778頁。
- 岩瀬将美、古田勝久「レスポンスに基づいた制御系設計」『計測と制御』第44巻第2号、2005年、86-91頁。
- 古賀雅伸、古田勝久「数値処理と数式処理を融合した制御系CAD言語MaTX」第29巻第10号、計測自動制御学会論文集、1993年。
- 広瀬茂男、古田勝久、美多勉「スーパーメカノシステムの研究:東工大COEプロジェクト」『日本ロボット学会誌』第18巻第8号、2000年、1061-1065頁。
- “会告:名誉会員の紹介(平成18年2月22日 第45回定時総会で推薦)”. 計測自動制御学会. 2014年10月7日閲覧。
- “東京電機大学 教員情報 古田勝久”. 東京電機大学. 2014年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月1日閲覧。
- “東京電機大学 学長 古田勝久 氏”. 大学・短大トップインタビュー. リクルート進学総研 (2008年6月18日). 2014年10月1日閲覧。
- “教育改革推進室特別企画 古田学長×長原副室長 対談”. 東京電機大学 (2015年11月19日). 2016年5月5日閲覧。
外部リンク
[編集]- 古田勝久 - researchmap
- 古田勝久 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース
- 稲垣荘司 (2014年4月30日). “古田 勝久 先生 東京工業大学ー東京電機大学”. 産業用ロボットを築き上げてきた人たち 40. 技術士事務所ロボティ. 2014年10月7日閲覧。
(技術)
- Furuta Pendulumの制御実験動画 - Furuta Pendulum Control (Balancing an Inverted Pendulum) - YouTube
- 「ロボットの仮想内部モデル追従制御系」『日本のロボット研究開発の歩み』 - 日本ロボット学会
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