古典ハイゼンベルク模型
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古典ハイゼンベルク模型(こてんハイゼンベルクもけい、英: classical Heisenberg model, 古典ハイゼンベルクモデル)とは、統計力学に登場するモデル(模型)の一つで、強磁性やその他の現象を説明するために用いられる。n ベクトル模型の n = 3 の場合に相当する。
定義
[編集]このモデルは次のように定式化される。d 次元の格子を用意し、単位長を持つ3成分スピンベクトル
を各格子点に一つずつ配置する。
この系のハミルトニアンは次のように定義される。
ここで係数
はスピン間の結合係数である。i 番目と j 番目のスピンが隣接していれば J, そうでなければ 0 の値をとる。
性質
[編集]ハイゼンベルク模型を記述・解明するための一般的な数学的表現や一般化については、ポッツ模型にて解説する。注記すると、連続極限 (continuum limit) において (2) 式は次の運動方程式を与える。
この方程式は連続古典ハイゼンベルク強磁性体方程式 (continuous classical Heisenberg ferromagnet equation) あるいは短くハイゼンベルク模型と呼ばれており、ソリトンにおいて可積分である。ランダウ=リフシッツ方程式や石森方程式などのように、いくつかの可積分あるいは非可積分な一般化が可能である。
1次元
[編集]- 長距離相互作用 の場合、 であれば、熱力学極限は well defined である。α ≥ 2 であれば、磁性は 0 のままである。しかし、1 < α < 2(赤外境界)であれば、充分低い温度で磁性は正となる。
- 短距離相互作用の場合、外場が 0 であれば、自由境界を持つ最近接相互作用のn-ベクトルモデル(n-vector model)の一種であり、単純な厳密解が存在する。
2次元
[編集]- 長距離相互作用 の場合、α > 2 であれば、熱力学極限は well defined である。α ≥ 4 であれば、磁性は 0 のままである。しかし、2 < α < 4(赤外境界)であれば、十分低い温度で磁性は正となる。
3次元とそれ以上の次元
[編集]相互作用のレンジとは独立に、十分低い温度で、磁性は正となる。
低温の臨界状態では、相関函数が切り取られて、代数的になることが予想されている。
参考文献
[編集]- ^ Polyakov, A.M. (1975). “Interaction of goldstone particles in two dimensions. Applications to ferromagnets and massive Yang-Mills fields”. Phys. Lett. B 59. Bibcode: 1975PhLB...59...79P. doi:10.1016/0370-2693(75)90161-6 .
- 西森秀稔『相転移・臨界現象の統計物理学』培風館、2005年。