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口唇閉鎖不全

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

口唇閉鎖不全(こうしんへいさふぜん)は口元が緩く常に口が開いている状態で、いわゆる「お口ぽかん」と呼ばれている[1][2][3]

閉じようと思っても唇がきちんと閉まらず、上顎前歯が常に見えていて、上唇は富士山形、下口唇はたらこ唇で粘膜面の光っている部分が見えるような状態になっている。口腔習癖の一つである[4]

歯の着色

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口腔内が乾燥することで唾液の自浄作用が損なわれるため、歯に着色がつきやすくなる。上顎前歯の歯面切端より半分くらいの位置に、口唇のラインに沿って着色がある場合は、ほぼ口唇閉鎖不全があるとみて間違いない[4]

口臭の原因にもなる[2][3][5]

口腔機能訓練

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鼻呼吸ができていない場合、呼吸のために口は開けざるを得ず、口唇閉鎖不全を改善できないので、先に口呼吸を改善する[5]

機能訓練としては、とにかく唇を閉じるように指導する。指導している最中にもすぐに「唇が開いてしまう」という状態になるので、まずは鏡などで確認しながら“自覚”することが大事である。唇を閉じたときに粘膜面(唇の光沢のある部分)が見えないように、しっかり閉じる練習をする[5]

筋力が足りない場合は基礎的な口輪筋トレーニングを行う。筋力がある程度つけば、持続的な口唇閉鎖を身につけるために割り箸をくわえるトレーニングを取り入れることで、口唇に意識を向けられるようになり、効果がある。また、筋力がつくと二次的に口角が上がるようになるため、美容面でのモチベーションにつながる[5]

口輪筋トレーニングは、専用の器具(りっぷるとれーなー[6]やパタカラなど)を使用する。大きめのボタンに紐をくくりつけた自家製の物でも良い[7]

また、山口県では風船ガムを使用したトレーニングが推奨されている[2]

鹿児島大学によると「あいうべ体操」が有効であるとしている。[8]

口唇閉鎖力検査

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口輪筋のトレーニングの目安として、口唇閉鎖力検査を推奨している。2020年4月の診療報酬改定により、口唇閉鎖力検査が健康保険適応になった。代表的な検査機器として、株式会社松風から発売されている「りっぷるくん」がある。[9]

脚注

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  1. ^ 山形県口腔保健支援センター. “口唇閉鎖不全症(お口ぽかん)って何?”. 妊娠期・乳幼児期・学童期シリーズ. 山形県. 2024年8月10日閲覧。
  2. ^ a b c 山野拓郎 (2024年1月13日). “子どもの「お口ポカン」、風邪や口臭の原因に フーセンガムで防げ [山口県]”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). https://www.asahi.com/articles/ASS1D7F9CRDDTZNB00M.html 2024年8月10日閲覧。 
  3. ^ a b 「お口ぽかん」は歯科医に相談を~口唇閉鎖不全症(日本大学歯学部付属歯科病院 宮崎真至教授)~”. 時事メディカル. 医療ニュース. 時事通信 (2022年10月15日). 2024年8月10日閲覧。
  4. ^ a b 河井 (2021), p. 82.
  5. ^ a b c d 河井 (2021), p. 83.
  6. ^ 口唇閉鎖力関連 -製品情報2-”. www.shofu.co.jp. 2024年8月28日閲覧。
  7. ^ 河井 (2019), p. 37.
  8. ^ トピックス|子どもの”. www.kagoshima-u.ac.jp. 2024年8月28日閲覧。
  9. ^ 口唇閉鎖力関連 -製品情報2-”. www.shofu.co.jp. 2024年8月28日閲覧。

参考文献

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  • 河井, 聡『口腔習癖 見逃してはいけない小児期のサイン』医歯薬出版、2019年6月14日。ASIN 4263422686ISBN 978-4-263-42268-7NCID BB2857195XOCLC 1114757537全国書誌番号:23254205 
  • 河井, 聡『口腔習癖』 実践編《アイコンで見える化する口腔機能の問題点》、医歯薬出版、2021年7月。ASIN 4263422937ISBN 978-4-263-42293-9NCID BC09281257OCLC 1272096435全国書誌番号:23585111