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原形質分離

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
通常の状態:細胞膜は細胞壁に接している
原形質分離:細胞膜が細胞壁から離れる

原形質分離(げんけいしつぶんり、英語:plasmolysis)とは、植物細胞細胞壁細胞膜高張液下で分離する現象を指す。

仕組み

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細胞膜は半透性を持ち、水を通す。細胞外の浸透圧が細胞内の浸透圧よりも高い場合、細胞内から細胞外へ水が出て、細胞膜に覆われた部分(原形質)は収縮する。しかし細胞壁は変形しにくいので、細胞膜に覆われた部分のみが収縮し、細胞膜は細胞壁から分離する。

動物細胞には細胞壁がないので原形質分離は起こらない。単に全体が収縮するだけである。

原形質分離は、植物細胞における細胞膜の存在を示す現象でもある。動物細胞は細胞膜にのみ覆われているが、植物細胞はその外側に細胞壁がある。細胞膜は光学顕微鏡では確認できず、電子顕微鏡によってはじめて具体的に確認された構造である。そのため古くは、植物における細胞壁を植物の細胞膜と呼んだことがある。原形質分離は植物の細胞膜(細胞壁)の下に原形質の表面を覆う薄い膜が存在することを示す現象と考えられ、これを原形質膜と呼んだ。現在ではこれが植物の細胞膜であることがわかり、動物細胞・植物細胞とも薄い細胞膜に覆われていると認識されている。

水吸収との関わり

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原形質分離が起こっているとき、植物体を外側から見ると、しおれている状態である。柔らかいものでは、その形を保てずにしなびてしまう。これは、細胞壁そのものが力学的な強度を持って植物体を支えてはいるが、細胞質がそれを内部から圧迫することがそれを大きく補強しているからである。

通常の状態では、細胞質は細胞壁の内部に充満しているだけでなく、それを内部から押して圧力をかけている。植物は光合成など常に水を必要としているから、細胞質は外界よりも浸透圧が高い状態を保っており、水は中に入ってこようとする。しかし細胞壁は変形しにくいから、それを押し返すので、この力は膨圧として細胞壁を内部から支える力として働いている。つまり外界と細胞質の浸透圧の差が水の入ろうとする力で、膨圧はそれを押し返す力として働き、両者の差が実際の吸水力である。つまり、高張液に入れると細胞の吸水力は上がり、低張液に入れて、各細胞が緊張した状態を保ったときは、吸水力は下がるということが言える。

実験

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原形質分離は細胞と浸透圧に関わるわかりやすい現象として教育の過程でも良く取り上げられ、日本では現在は高校の生物で扱われる。例えば植物の表皮細胞をショ糖溶液に浸すなどの形で生徒実験が行われる。その際、ユキノシタは細胞質が赤く色づいているので、分離の状態が観察しやすいとしてよく用いられる。 また、オオカナダモもよく使われている。

脚注

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関連項目

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