半単純成分
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加群論や環論の文脈において、環 R 上の加群 M の半単純成分[1] (仏: socle) 、台[2][注釈 1]、底[3]、または台座[4]とは、M のすべての(非零)極小部分加群の和と定義される[1]。これは加群の根基の双対概念と考えることができる。集合の記号で書けば
- soc(M) = Σ { N | N は M の単純部分加群 }.
同じことであるが[5]
- soc(M) = ∩ { E | E は M の本質部分加群 }.
環 R の半単純成分は環の2つの集合の一方を指す。R を右 R 加群と考えて soc(RR) が定義され、R を左 R 加群と考えて soc(RR) が定義される。これらの半単純成分はいずれも両側イデアルであるが[6]、一致するとは限らないことが知られている[注釈 2]。
性質
[編集]- M がアルティン加群であれば、soc(M) はそれ自身 M の本質部分加群である[8]。
- 加群が半単純であることと soc(M) = M であることは同値である[9]。すべての M に対してsoc(M) = M であるような環はちょうど半単純環である[10]。
- M が有限余生成加群であることと soc(M) が有限生成かつ soc(M) が M の本質部分加群であることは同値である[11]。
- 半単純加群の和は半単純であるから、加群の半単純成分は唯一の極大半単純部分加群としても定義できる[12]。
- rad(R) の定義から、rad(R) は soc(R) を零化することを確かめるのは易しい。R がアルティン環であり M が R 加群であれば、半単純成分 soc(M) はちょうど R のジャコブソン根基によって零化される元全体からなる[13]。
群の socle
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脚注
[編集]注
[編集]出典
[編集]- ^ a b 岩永 & 佐藤 2002, p. 82.
- ^ 永尾 & 津島 2009, p. 39.
- ^ 岩波数学辞典 2007, 62 加群.
- ^ ブルバキ 数学原論 代数6 (1970) p. 55.
- ^ Anderson & Fuller 1992, p. 118, 9.7. Proposition.
- ^ 岩永 & 佐藤 2002, p. 83, 命題 3-1-7(2).
- ^ 岩永 & 佐藤 2002, p. 275, 命題 8-3-6(1).
- ^ Anderson & Fuller 1992, pp. 317–318.
- ^ Anderson & Fuller 1992, pp. 117–118.
- ^ 岩永 & 佐藤 2002, p. 216.
- ^ Anderson & Fuller 1992, p. 126, 10.7. Proposition.
- ^ Anderson & Fuller 1992, p. 118.
- ^ Anderson & Fuller 1992, Corollary 15.21.
参考文献
[編集]- 岩永, 恭雄、佐藤, 眞久『環と加群のホモロジー代数的理論』(第1版)日本評論社、2002年。ISBN 978-4-535-78367-6 。
- 永尾, 汎、津島, 行男『有限群の表現』(第2版)裳華房〈数学選書8〉、2009年。ISBN 978-4-7853-1310-4 。
- 日本数学会 編『岩波 数学辞典』(第4版)岩波書店、2007年。ISBN 978-4-00-080309-0 。
- Anderson, Frank Wylie; Fuller, Kent R. (1992). Rings and Categories of Modules. Springer-Verlag. ISBN 978-0-387-97845-1