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千曲川旅情の歌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
千曲川旅情のうたから転送)

千曲川旅情の歌』(ちくまがわりょじょうのうた)は、島崎藤村。この詩に作曲した歌曲も有名である。

懐古園にある歌碑

明治38年(1905年)に発行された「落梅集」が初出。同詩集冒頭に収められた『小諸なる古城のほとり』、後半の『千曲川旅情のうた』を、後に藤村自身が自選藤村詩抄にて『千曲川旅情の歌 一、二』として合わせたものである。この詩は「秋風の歌」(若菜集)や「椰子の実」(落梅集)と並んで藤村の秀作とされる。詩に歌われた小諸城址は、跡地の一隅が懐古園として整備され「小諸なる古城のほとり」の歌碑が建立されている[1]

稲荷山にある碑

 佐久市臼田の稲荷山公園内には「千曲川旅情のうた」の碑が建立されている[2]

幾度と無く曲が付けられ、多くの歌い手に歌われてきた。特に、「小諸なる…」に作曲した弘田龍太郎歌曲作品「千曲川旅情の歌」(「小諸なる古城のほとり」)は広く演奏され、NHKのTV番組名曲アルバムなどでもたびたび放送されている。弘田は後半の「昨日またかくてありけり」にも作曲している。

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「小諸なる古城のほとり」  -落梅集より-
                             島崎藤村

小諸なる古城のほとり          
雲白く遊子(いうし)悲しむ
緑なすはこべは萌えず       
若草も藉(し)くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡辺(おかべ) 
日に溶けて淡雪流る

あたゝかき光はあれど          
野に満つる香(かをり)も知らず
浅くのみ春は霞みて           
麦の色わづかに青し
旅人の群はいくつか           
畠中の道を急ぎぬ

暮行けば浅間も見えず          
歌哀(かな)し佐久の草笛
千曲川いざよふ波の           
岸近き宿にのぼりつ
濁(にご)り酒濁れる飲みて       
草枕しばし慰む


「千曲川旅情の歌」     -落梅集より-
                             島崎藤村

昨日またかくてありけり         
今日もまたかくてありなむ
この命なにを齷齪            
明日をのみ思ひわづらふ

いくたびか栄枯の夢の          
消え残る谷に下りて
河波のいざよふ見れば          
砂まじり水巻き帰る

嗚呼古城なにをか語り          
岸の波なにをか答ふ
過し世を静かに思へ           
百年もきのふのごとし(百年もきのふのごとし)

千曲川柳霞みて             
春浅く水流れたり
たゞひとり岩をめぐりて         
この岸に愁を繋ぐ(この岸に愁を繋ぐ)

脚注

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  1. ^ こもろ観光局. “藤村と小諸城址・懐古園 | 信州・小諸|詩情あふれる高原の城下町|こもろ観光局”. www.komoro-tour.jp. 2022年3月10日閲覧。
  2. ^ 島崎藤村詩碑 | 佐久市ホームページ”. www.city.saku.nagano.jp. 2022年3月10日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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