北欧デザイン
北欧デザイン(ほくおうデザイン)は、北欧のスカンディナヴィア諸国およびフィンランドにおけるデザインの総称。スカンディナヴィアデザイン[注 1]。
歴史と概要
[編集]戦後、デンマーク系アメリカ人のフレデリック・ルニングが、アメリカ国内でスカンディナビアのハンドクラフト製品を輸入販売し、人気となったという。「デーニッシュ・モダーン」「スウェーディッシュ・グレース」などの造語も生まれた。ルニングは1951年に、スカンディナヴィアのデザイナーを対象とした賞「ルニングプライズ(ルニング賞)」の創設(1970年まで、北欧が対象)もした。スカンディナビアの4か国(SWE・DEN・NOR・FIN、当時のアイスランドはデンマーク領)はその後、アメリカ国内でデザインの巡回展も実施し、観光立国を目指した[1]。
1957年には金工家のヤコブ・トーシュトルップ・プリッツに因む「ヤコブ賞」が創設(ノルウェー国内が対象)。ノルウェー文化省が設立した「ノシュクフォルム」から授与される[2]。
そして様々なデザイナーが登場し、1950年代から1960年代ごろに隆盛したといわれる[3]。「シンプルモダン」という世界的な認知が多いという指摘もあり[4]、「スカンディナビア・ミニマリズム」という概念を取り入れた特徴のものもある[5]。範疇として、北欧建築を含む場合もある[6]。
北欧家具に関しては、長く厳しい冬に室内で過ごす時間が多いという状況から、「飽きのこないシンプルなデザイン」と「機能的で長く愛用できるような実用性」を兼ね備えた家具が誕生したのではないかという説がある[7]。ノルウェーにおいては、冬の日照時間が著しく短いため、室内照明器具が暮らしの重要な役割を担っているという[8]。北欧雑貨も「家で過ごす時間が楽しくなる」などの特徴が見られるという指摘がある[9]。
諸説あるが代表的なノルウェー発祥のデザインとして、(Thor Bjørklundによる)チーズスライサー、(Jac Jacobsenによる)自在アームのランプなどを挙げる例がある[10]。ペーパークリップはヨハン・バーラーが特許を取得した(発明者かは不詳)[11]。
北欧デザインと日本
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北欧デザインブランドの進出
[編集]日本ではインテリア企業に関しては、1974年にIKEAが、1998年にイルムスが日本に出店している。
裁判など
[編集]- 立体商標「カール・ハンセン椅子」拒絶審決取消請求事件 - 『Yチェア』(ハンス・J・ウェグナーがデザイン)と呼ばれる椅子の立体商標の無効が取り消された(つまり、Yチェアの立体商標が日本で認められた)。
サブカルチャー
[編集]- ファイト・クラブ_(映画) - I had become a slave to the IKEA nesting instinct.(イケアを巣に集めるための奴隷だった。)というセリフを「北欧家具の奴隷だった。」としている。
企業例
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デザイナー例
[編集]参考:[12]
- 1888 - 1954 コーア・クリント - 建築、家具
- 1894 - 1967 ポール・ヘニングセン - ランプ
- 1902 - 1971 アルネ・ヤコブセン - 建築、家具
- 1912 - 1989 フィン・ユール - 家具
- 1914 - 2007 ハンス・J・ウェグナー - 家具
- 1926 - 1998 ヴェルナー・パントン - 家具
- 1897 - 1977 ウノ・オーレン - 建築、家具
脚注
[編集]- 出典
- ^ 「デンマーク デザインの国―豊かな暮らしを創る人と造形」 p.56-60(学芸出版社 2003、島崎信)
- ^ 『ノルウェーのデザイン―美しい風土と優れた家具・インテリア・グラフィックデザイン』p.134-135
- ^ 北欧デザイン とは - コトバンク(知恵蔵2014、武正秀治 多摩美術大学教授)
- ^ 実は日本生まれ?デンマーク人デザイナーが語る北欧デザインとは(前編) 北欧ヒュゲリニュース、2013年4月2日 クリスチャン・ウェストフェール
- ^ 「ECCO」スカンジナビアをテーマにした秋冬コレクション発表会 AFPBB News、2011年8月5日
- ^ 北欧デザインの魅力が凝縮──もうひとつのイケアの顔 GQ JAPAN、2013年10月12日
- ^ 和室をインテリアコーディネイトで変身~おすすめスタイルのご提案 「北欧家具とは?」 大阪府住宅供給公社
- ^ ノルウェーの照明器具デザイン 駐日ノルウェー王国大使館
- ^ もっと身近に北欧流…雑貨など広がる人気 読売新聞、2014年1月27日
- ^ これがノルウェー人の発明って知ってた?「チーズスライサー」「ロボモップ」「バランスチェア」 | 「マイナビウーマン」
- ^ 『ノルウェーのデザイン―美しい風土と優れた家具・インテリア・グラフィックデザイン』p.79
- ^ 『北欧デザイン手帖』, レスパース, 文化出版局, 2007
- 注
関連文献
[編集]- 『スカンジナビアデザイン』, エリック・ザーレ(藤森健次訳), 彰国社, 1964
- 『1950年代における北欧モダニズムと民藝運動、産業工芸試験所の思想的交流』, 長久智子
- 「輝く北欧〜デザインで読み解く豊かさの秘密」, 日経ビジネスオンライン, 2007-2009コラム
- 『色彩がわかれば絵画がわかる』, 布施英利, 光文社新書, 2013
- 『北欧デザイン〈2〉プロダクト』, 渡部千春
- 『ノルウェーのデザイン―美しい風土と優れた家具・インテリア・グラフィックデザイン』, 島崎信 ISBN 978-4416607251
- 【2008年11月号】北欧的健康生活 元気通信
- 『20世紀はどのようにデザインされたか』 柏木博 晶文社 2002年 p.70-82 北欧モダンの世紀
- 『家具のモダンデザイン』 柏木博 淡交社 2002年 p.189-203 北欧モダン家具のデザイン、スカンディナヴィアン・デザインの意味するもの
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- デザイン&建築 駐日ノルウェー王国大使館
- スウェーデンデザイン・手工芸・ファッション 在日スウェーデン大使館公認観光情報サイト