前島秀章
前島 秀章(まえじま ひであき、1939年[1] - )は、日本の彫刻家。工芸家。アカデミズムとは一線を引き、独学で木彫りの作品を制作。人間の内面を探るあたたかな視点と、さまざまな喜怒哀楽を表現する作品で独自の芸術を確立した。
人物・経歴
[編集]静岡市生まれ。7人兄弟の長男。幼少期は生活が苦しかった。1956年(17歳)、独学で彫塑の制作を開始し、1958年(昭和33年)、静岡県立静岡高等学校[2]を卒業。1959年、木彫のために定職に就けず、今言うところのフリーターで生計を立てる。1964年(25歳)、十二指腸潰瘍で開腹手術、胃を摘出。売れない日々が続く。
1972年(33歳)、8年間彫りあげた作品のすべてを初個展(静岡松坂屋百貨店 6階美術画廊)で発表。1975年(36歳)、本城恵紅と邂逅、「日本人の心のふるさとを求めよ」という示唆を受け、日本古来の表現伝達を研究。東京青山画廊で作品展。1977年(38歳)、ニューヨーク・コーディギャラリーにて個展。1978年(39歳)、太田久紀の指導により、仏教の「成唯識論」に感銘を受け、「こころ」の探求を表現した作品を発表し始める。1979年(40歳)、無形文化財選定保存技術者で、能面作家である、長澤氏春の指導を仰ぐ。1980年(41歳)、全国各地で個展を開催(40歳代)。1982年(43歳)、寶頭盧尊者(びんずるそんじゃ)像制作。5月21日、開眼供養。
1991年(52歳)、丸伸ビル(静岡県)ブロンズモニュメント制作。1993年(54歳)、静岡市に工房を完成。パリ・ボルドーにて個展を開催。1994年(55歳)、太極拳の大家、楊名時から「笑い」が人間の精神と肉体に及ぼす影響についての教示を受け、「笑いの美学」に深く傾倒する。1995年(56歳)、阪神淡路大震災供養「拓也くんのお地蔵さま」石造制作。1998年(58歳)、静岡県御殿場市時之栖に前島秀章美術館開館(のち、「時之栖美術館」に改名)。館内彫刻「時之舟」完成。1999年(59歳)、「八幡さまの大欅」完成。2000年(61歳)、ダライ・ラマ14世静岡講演歓迎委員長。「森の詩人(うたびと)館」館内彫刻完成。10月、「木彫40年 前島秀章 浮月楼展」。供養モニュメント像「いのちの樹」 制作。「2000年 静清信用金庫カレンダー」に作品が掲載。
2001年(62歳)、「ココロの形 カタチの心展」(新潟県立近代美術館)招待出品。2002年(63歳)、鳳林寺 彌勒菩薩像制作、開眼供養。2003年(64歳)、「前島秀章美術館 開館5周年記念 特別展」。JR静岡駅北口 ホテルアソシア玄関にブロンズ像『Associa あいちゃん』が完成(オリジナルモデルは木彫)。「ナーシングホームあしたば(静岡市駿河区)新館壁面レリーフ」制作。2004年(65歳)、「亀山画廊15周年記念展」出品。臨済宗青年僧の会発行「木のいのち」カレンダーに作品が掲載。摩訶達磨大師像を敬刻。2005年(66歳)、釈迦生誕会「菩提樹院 花まつり」(静岡市葵区沓谷)に特別出品。「ナーシングホームあしたば石像弥勒菩薩墓碑」を制作。8月10日開眼供養。「こころ豊かに、たくましくの樹」制作。2006年(67歳)、歌会始御題「笑み」によせて、伊勢神宮美術館特別展(三重県伊勢市)招待出品。レリーフ「笑み」を制作。2008年(69歳)、浮世絵と伊万里やき陶画の関係について研究をつづけ、江戸時代の浮世絵師葛飾北斎(1760~1849)作の絵手本「北斎漫画」や「富嶽百景」などが19世紀の古伊万里に与えた影響を発見し、その実証が注目を集める。2009年(70歳)、「亀山画廊 開廊20周年記念展」出品。2010年(71歳)、静岡駅前、葵タワーモニュメント「太陽賛歌」制作。静清信用金庫 創立90周年記念キャラクター「きまる君」制作。
2011年(72歳)、静清信用金庫 創立90周年を記念した大作「樹神像」制作。2012年(73歳)、「2012年 静清信用金庫カレンダー」に作品が掲載。聖母子像「慈」制作。2013年(74歳)、日本武尊像「草薙の剣」制作。「木花開耶姫」像制作。2014年(75歳)、「白隠 富士を仰ぐ」制作。「羽衣」像制作。「作家活動55周年記念 前島秀章展 ~生を謳う、年輪の形象~ 神話彷徨」開催。2016年(77歳)、樹誕」制作。2018年(79歳)、「時空を超えた木彫芸術 前島秀章展」開催(日本橋三越本店)。「第2回 時空を超えた木彫芸術 前島秀章 柿田川展」開催。2020年(81歳)、彫刻家 前島秀章・久代夫妻寄贈の人形コレクション「人形の美 語りかける ひとがた」展開催。
2021年(82歳)、「作家活動60周年記念 時空を超えた木彫芸術 前島秀章展」開催[3]。2022年、「卬高」完成[4]。
著書
[編集]- 『楽しい絵文様の伊万里やき : 彫刻家前島秀章コレクション』 前島秀章, 小木一良 著 創樹社美術 2008.1
- 『木の精たち : 前島秀章作品集』 前島秀章 著 京都書院 1996.6
- 『Hideaki Maejima exposition bois sculpté』[5] 横浜高島屋 1993
- 『木彫創作面のすすめ : 木にいのちを彫る』 前島秀章 著 日貿出版社 1992.6
- 『前島秀章彫刻展 : 木彫30年』[6] 松坂屋静岡店 1989.12
- 『前島秀章作品集』 前島秀章 著 前島秀章 1983.3
脚注
[編集]- ^ “前島 秀章 - Webcat Plus”. webcatplus.nii.ac.jp. 2022年7月13日閲覧。
- ^ 『静中・静高同窓会会員名簿』平成15年度(125周年)版 148頁。
- ^ 天女など題材多様 目を引く木彫作品 葵区で展示会 静岡 あなたの静岡新聞 2021.10.14
- ^ 芸術通じ静高後輩にエール 木彫家前島さん、校訓テーマの大作寄贈 あなたの静岡新聞 2022.7.3
- ^ Hideaki Maejima exposition bois sculpté
- ^ 前島秀章彫刻展 : 木彫30年