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半索動物 Hemichordata
腸鰓類の一種
腸鰓類の一種
分類
: 動物界 Animalia
階級なし : 後口動物 Deuterostomia
: 半索動物門 Hemichordata
学名
Hemichordata Bateson1885

半索動物(はんさくどうぶつ、Hemichordata)は、海産の無脊椎動物分類群であり、半索動物として独立の動物門に分類されている。現生種は大きくギボシムシ類とフサカツギ類に二分され、形態、生活型ともに大きく異なる。

脊索動物棘皮動物とともに後口動物に属する。伝統的に脊索動物に近いとされてきたが、棘皮動物に近縁であるとする説が有力となっている。

特徴

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左右相称の真体腔動物[1]。体は前から順に前体中体後体の3つに分けられるが、後体は体幹とも呼ばれ、他の2つよりもはるかに長い[1]。前体と中体は、ギボシムシ類ではと襟、フサカツギ類では頭盤と頸と称される[1]。体腔は3つの部位すべてに存在し、前体に1つ、中体と後体には各1対あるが、いずれも発生過程で上皮細胞に満たされることが多い[1]。前体と中体の体腔には、外部に繋がる小さな孔がある[2]

前体(吻または頭盤)は、蠕動運動によって移動するのに使われる[3]。そのほかフサカツギ類の頭盤は棲管を分泌する機能も持つ[1]

中体(襟または首)の腹側前端に口があり、口腔の背側が深く陥入して口盲管を形成する。口から続く咽頭部に鰓裂と呼ばれる開口部を持つのも大きな特徴。ただし、ギボシムシ類は多数の複雑な鰓裂を持つが、フサカツギ類のうちエラフサカサギ科は単純な形態の鰓裂を1対だけ持ち、エラナシフサカサギ科はまったく持たない[1]。鰓裂は、口から餌とともに取り込まれた水を排出するのに役立っている[4]

肛門は後体にあり、消化管はギボシムシ類では口から肛門までまっすぐに伸びるが、フサカツギ類ではU字型になる[1]


  • 開放血管系をもち、前部にある拍動部(心胞)によって無色透明な血液を循環させている。
  • 雌雄異体である。ギボシムシ類は体外受精で、フサカツギ類もおそらく体外受精で繁殖する。

脊索動物との関係

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半索動物は、口盲管(半索)という脊索に似た構造を持つため、脊索動物との類縁関係が指摘され、半索動物という学名がついた。鰓裂(さいれつ)という共通構造をもつことから、脊索動物と半索動物が類縁関係にあることは正しいとされるが、脊索と口盲管との相同性については疑問が提示されている。例えば、脊索形成時に発現するBra遺伝子が口盲管の形成時には認められないなど、両者の相同性を支持する結果は得られていない。

脊索動物と半索動物の起源については2つの説がある。1つ目の説は、これらの共通祖先はフサカツギ様の着生生活性の動物であり、これが幼形成熟(ネオテニー)的な進化をすることでギボシムシ類や脊椎動物のような自由生活性の動物が現れたとするものである。

2つ目は、ギボシムシ様の自由生活性の動物が共通祖先であり、ここから着生生活性の動物が分岐したとする説である。

18SrDNAを用いた解析結果などでは、ギボシムシ様の自由生活性の動物が共通祖先であることを支持する結果が得られている。

分類

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現生のものは、自由生活性のギボシムシ綱(腸鰓綱)と、固着性のフサカツギ綱(翼鰓綱)に大きく分けられる。ほかに、1種Planctosphaera pelagicaの幼生のみが知られるプランクトスファエラ綱もあるが、ギボシムシ綱の未知種の幼生に過ぎないと考えてこの綱を認めない場合もある。またフデイシ綱(筆石綱)は棲管の化石記録によって知られている。

これらの綱の間の関係に対してはいくつかの見解がある。現生の主要な2綱(ギボシムシ綱とフサカツギ綱)を1つの亜門Stomochordataとして、それに対してフデイシ類のみを含むGraptolithinaをもう1つの亜門として並置する体系や、翼鰓綱は筆石綱の一部にすぎないと考え、両者を合わせた綱であるGraptolithoideaと腸鰓綱の2綱を並べる体系もある。半索動物を単一の分類群として認めず、腸鰓類と翼鰓類をそれぞれ独立の門に格上げする体系が提案されたこともある。この体系を提案したニールセンらはさらに、腸鰓類がとくに脊索動物に近いと考えて、この2つをまとめた曲孔類を提唱したが、前述のように分子系統の結果はこの見解に否定的である。

海中で撮影された画像に基づき、深海に腸鰓類と翼鰓類の特徴を併せ持つ、触手を持つギボシムシ「lophenteropneust」がいると推測されたこともある。しかしその後の研究によると、深海で採集された標本や高画質の画像では触手は認められず、この推測は否定されている[5]

ここでは西川[1]に基づき、現生種を2綱に分ける体系を示す。

ギボシムシ綱(腸鰓綱) Enteropneusta
細長い体形の柔軟性に富む肉質の体をもち、浅海の砂泥中に生息している。体長は数cmから2m程度まで。欄干の飾りである擬宝珠(ぎぼし)に前体部が似ていることから、ギボシムシの名前がついた。英語ではこの部分をドングリacorn)にみたて、acorn wormと呼ぶ。
ハネナシギボシムシ科オウカンギボシムシ科ギボシムシ科ハリマニア科の4科を含む。
フサカツギ綱(翼鰓綱) Pterobranchia
分泌物で棲管を作り、群体生活をする。体長は数mm程度。中体に数対の触手がある。


ユンナノゾーン

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この類の化石としては、フデイシがそれらしいとされるほかには、確かなものはなかった。しかし、中国雲南省カンブリア紀初期の地層から発見されたユンナノゾーンは、当初はナメクジウオのような動物と考えられたが、詳細に調べた結果、この類に属するものであると発表した[6]。それによると、体長は約4cm、やや左右に平らな胴を持つ動物で、海底面をはい回っていたと考えられている。

参考文献

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  1. ^ a b c d e f g h 西川輝昭 著「半索動物門」、白山義久(編集) 編『無脊椎動物の多様性と系統(節足動物を除く)』岩槻邦男・馬渡峻輔(監修)、裳華房、2000年、253-255頁。ISBN 4785358289 
  2. ^ 西川輝昭 著「半索動物門」、西村三郎(編著) 編『原色日本海岸動物検索図鑑』 II、保育社、1995年、494頁。ISBN 458630202X 
  3. ^ Brusca, Richard C.; Brusca, Gary J. (2003). Invertebrates (2nd ed.). Sinauer Associates, Inc.. pp. pp.847-854. ISBN 9780878930975 
  4. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「barnes」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  5. ^ Holland, Nicholas D.; Clague, David A.; Gordon, Dennis P.; Gebruk, Andrey; Pawson, David L.; Vecchione, Michael (2005). “‘Lophenteropneust’ hypothesis refuted by collection and photos of new deep-sea hemichordates” (PDF). Nature 434 (7031): 374-376. doi:10.1038/nature03382. PMID 15772659. http://db.coml.org/comlrefbase/filefolder/holland/2005/46_Holland_etal2005.pdf. 
  6. ^ Yunnantozoon and the ancestry of chordates. Jerzy Dzik. Acta Palaeontologica Polonica 40 (4), 1995: 341-360 [1]
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