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利用者:Tapicle/sandbox

有爪動物門
分類
: 動物界 Animalia
亜界 : 真正後生動物亜界 Eumetazoa
上門 : 脱皮動物上門 Ecdysozoa
: 有爪動物門 Onychophora

絶滅種については本文を参照

有爪動物の分布 緑がペリパトゥス科、青がペリパトプシス科を示す。
有爪動物の分布
がペリパトゥス科、がペリパトプシス科を示す。

有爪動物(ゆうそうどうぶつ)は、動物の一種で、有爪動物門 (Onychophora) を形成する。

現生の動物ではカギムシ目 (Euonychophora) だけしかなく、森の落ち葉の下などに棲んでいるカギムシ類のみが知られている。約180種ほどが知られており、共通して、小さな眼と、触角と、十数-数十対の付属肢、粘液腺を持つ。主に南半球の熱帯地方に生息し、自分より小さな虫などを、粘液を吹きかけ捕食する。現代の動物学において、興味深い交配と出産の方法について注目が集まっている。

ペリパトゥス科(Peripatidae)とペリパトプシス科(Peripatopsidae)という二つの科が存在し、それぞれ独特の分布を示す(右図)。

かつて有気管類の一部として考えられていたが、近年では舌形動物(シタムシ類)、緩歩動物(クマムシ類)により近縁であると考えられ、共に側節足動物と総称される。これは古生物学上興味深く、節足動物の祖先に関する研究に役立つことが期待される。


形態

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細長くて柔らかい動物である。全身は赤褐色、黒、緑など様々だが、黒紫色のものが多いらしい。発見当初はナメクジの1種として記載された。

体は細長く、やや腹背に扁平、背面は盛り上がり、腹面は平らになっている。体長は0.5 cmから20 cmほどで、その平均は5 cm。全身がビロード状の柔らかい皮膚に覆われる。頭部には1対の触角があり、その基部には眼がある。頭部の下面には口があって、その側面に1対の付属肢がある。頭部以降の胴体には、対を成す付属肢が13-43対並ぶ。付属肢は円錐形に突出し、先端には鈎爪がある。腹部末端に肛門がある。生殖孔は最後の附属肢の間の腹面中央か、もう一つ前の附属肢の間に開く。


付属肢

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付属肢はこの種を特徴づける器官である。形状は円錐形、内部は空洞で関節を持たない、袋のような構造をしている。肢の数は種によって様々ではあるが、その構造自体は基本的に非常に似ており、体液の圧力により硬さを保つ。肢自体はあまり動かず、体全体を伸縮させることで動かす。しかし、筋肉によって肢を縮めたり曲げたりすることも可能ではある。関節がないために、肢のどのような点からでも曲げることが可能である。

いくつかの種で、肢に関する異なった器官が2つ見つかっている。

  • 脚の分泌腺:肢の腹側に存在する突起上に位置し、体腔まで繋がっている。フェロモンを分泌する。
  • 脚基胞(Coxal vesicles):肢の腹側に位置し、裏返すことができ、水を吸収するのに役立つと考えられている。この器官は、ペリパトゥス科でのみ確認されている。

それぞれの足には、1対の出し入れ可能なキチン質の爪を持っており、この爪が有爪動物の名前の由来ともなっている。爪の根元には3~6つの"クッション"があり、平らな場所を歩くときは爪をしまってこの"クッション"を使って歩く。爪は主に、でこぼこした場所を歩く時の足掛かりにするために用いる。

爪は、3種類の層が折り重なっている。最外部は脱皮の際に剥がれ落ち、2番目の層が露出する。2番目の層は既に爪として完成しており、硬化を待たずに使用することが出来る。(これは有爪動物の、先カンブリア時代の祖先の化石に数多く見られる特徴である。)

触角

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頭部には細長い触角が存在し、感覚器官として機能している。この触角は節足動物の触角と完全に同一のものとは見なせず、唇のようなものと考える方がより相応しいようだ。触角の根元には盲目の種を除き1対の単眼が存在する。オーストラリア産の多くの種では、触角の前に様々なくぼみが存在するが、その機能は未だに明らかになっていない。少なくともいくつかの種では、精包を輸送するのに役立っている。

口器

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頭部の、口の周りには繊細な"唇(上唇)"が存在する。この"唇"はカギムシ類においては喉の筋肉から派生したものであり、食物の摂取に用いる。上唇という名称ではあるが、節足動物の上唇と相同器官ではない。 下顎の表面は装飾がなく、平べったい。下顎のクチクラは体のほかの部分と異なっており、2層構造になっている(体の他の部分は4層になっている)。この外側の層は乾燥しており、強力になめされ、強固である。

粘液腺

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口器の左右に1対の口側突起(oral papillae)が存在し、先端に粘液腺が開口している。粘液腺から噴出される乳白色の粘液は、捕食や防御に用いられる。

皮膚と筋肉

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節足動物と異なり、カギムシ類は硬い外骨格を持たない。代わりに、体液に満たされた体腔が、水力学的骨格の役割を果たしている。この機構は、イソギンチャクや、イモムシなどと共通している。 体壁は細胞ではない外皮、クチクラと、一層の表皮細胞、その下には通常3層の、結合組織の中に組み込まれた筋肉が存在している。 クチクラはマイクロメートルオーダーの厚さで、繊毛に覆われている。その組成と構造は、節足動物のものと似ており、α-キトサンと何種類かのたんぱく質から成っている。しかしながら、コラーゲンは含んでいない。クチクラは内側と外側で分けることが出来る。この、多段階構造は外皮に柔軟性をもたらし、カギムシは狭い割れ目などに無理矢理体を捻じ込むことができる。見かけ上、クチクラは撥水性だが、呼吸による乾燥は防ぐことが出来ない。乾燥を防ぐために、カギムシは湿度の高い微気候の中でしか生きることが出来ない。 クチクラの表面は、繊毛の生えた大量の突起に覆われ、突起は小さな鱗でおおわれている。うろこは、ビロードのような見た目と触感をもたらし、これが英語名のvelvet wormの由来となっている。撥水性もまた、この鱗によりもたらされている。脱皮は定期的に行う。周期は約14日で、エクジソン(脱皮ホルモン)により促される。


内部構造

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呼吸気管によって行われる。体表のあちこちに気門が開き、その内部にはフラスコ型の気管嚢がある。気管はここから2-3本が体の内部へと伸び、それらは互いに癒合することがない。

生殖と発生

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ほぼ全ての種は有性生殖を行う。単為生殖を行う種も存在する。 雌雄異体で、性的二型を示す。メスは普通、オスより大きく、肢の数も多い(種によって異なる)。多くの種において、メスは生涯でただ一度だけ受胎する。生殖器官が未熟な状態で性交が行われた場合、精包は特別な器官の中に移動し、受精可能な状態で長期間保存される。 体内受精を行うが、精子を伝達する様式は多様。大半の種は、生殖口に精包を入れることで行われる。詳細な過程については多くの場合不明である。現在ペニスがあることが知られている種は、パラペリパトゥス属のみに存在する。オーストラリア産の種の多くは、頭部にへこみか、トゲ状の構造を持ち、それをメスの生殖口へと押し込み、精包を中へ入れる。その間、メスはオスを、最も後ろの肢の爪で繋ぎ留め、体勢を維持する。交配の挙動については、ペリパトプシス属が特に興味深い。オスが2 mmほどの精包をメスの背中側にくっつけ、メスの血液由来の変形細胞が、deposition siteの中から集める。精包の外皮と、精包に接する皮膚は、酵素が分泌されることで分解される。

  • Amoebocytes from the female's blood collect on the inside of the deposition site, and both the spermatophore's casing and the body wall on which it rests are decomposed via the secretion of enzymes. この文章の前半部が訳せない・・・

これにより精細胞は血体腔を通って自由に動き回れるようになり、卵巣の外壁を貫通し、卵子を受精させる。なぜ、このような、自らの皮膚を傷つけるような行為が細菌の感染を招かないのかについてはまだ分かっていない。

産卵を行う種(卵生)と、体内で孵化する種(卵胎生)と、胎盤を形成する種(胎生)が存在する。

生態

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熱帯多雨林の地表や朽ち木の中などに生息する。肉食性で、小型の昆虫等を捕食する。餌をとるときは口のそばにある粘液腺から白い糸のように見える粘液を噴出し、これを獲物に引っかけて動けなくする。場合によっては30cmほども飛ぶ。この粘液は防御のためにも使われる。

社会的行動

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  • interactionを行動と訳すのは行き過ぎ?決まった訳がある?

カギムシ類の脳は、小さいがとても複雑であるため、洗練された社会的行動が可能である。行動様式は種によって異なるが、ここでは最もよく調べられている Euperipatoidesについて述べる。 彼らは最大で15個体程度の規模の群れを作り、普通は密接に関係を保ち、生活や狩りを共に行う。ある、乾燥地帯の、湿った朽木の中の例を挙げる。

  • Groups usually live together; an example in drier regions would be in a region of the moist interior of a rotting log.訳が不安

群れの個体は、他の朽木からやってきた個体に対して非常に攻撃的である。殺した後、リーダーのメスが最初に食べ、他のメスが食べ、次にオスが食べ、最後に子供が食べる。

  • ここでの殺した後、っていうのは普段の狩り?それとも他の朽木からやってきた個体を殺したときのこと?共食い?

群れの序列は沢山の相互作用により決まる。上位の個体は下位の個体を追いかけ、噛みつく。子供はそういった争いには参加しないが、背中に乗ることに対して寛容な大人に乗っかることはある。他の個体を推し量る時には、触角の長さを比べる。

  • When assessing other individuals, individuals often measure one another up by running their antennae down the length of the other individual.
  • 文脈から推測したら上記の訳になったが、英語の意味がよく分からない。

一度序列が決まったら、ペアになった個体同士がくっついて共同体を結成する。オスとメスが最も速く、メス同士、オス同士のペアがそれに続く。序列は群れの中では迅速に決定されるが、他の群れの個体との序列を決めることはない。

  • these are substantially more aggressive and very rarely climb one another or form aggregates.
  • 続く文の意味はさっぱり。訳す必要もあまりなさそう

系統

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触角や付属肢の配置等は節足動物のそれにほぼ一致する。体内の構造にも腎管の配置などに体節制を感じさせるものがある。しかし、見掛け上も内部構造にも体節が存在せず、付属肢も関節が無い。節足動物に似た点が多いもののこのような点で異なることから、緩歩動物舌形動物(五口動物)と併せて側節足動物という群にまとめられることもある。

環形動物多毛類に似ている点として、付属肢が疣足状であること、平滑筋であること、生殖輸管や腎管に繊毛があることなどが挙げられる。かつては節足動物が環形動物から進化したと考えられたため、この両者をつなぐ位置にあるものと考えられたこともある。

バージェス動物群の一つであるハルキゲニア (Hallucigenia)やアイシュアイア (Aysheaia)は、この有爪動物門に属するものと考えられる。バージェス頁岩だけでなく、中国などのカンブリア紀の地層からも類似の動物化石が見つかっている。節足動物と類縁の原始的な動物門と考えられている。

ハルキゲニアやアイシュアイアは海に生息していたが、現生種では海中に生息しているものは1種も存在しない。

分類

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現生種はすべてカギムシ目に属し、ペリパトゥス科とペリパトプシス科に分ける。古生代の化石種はムカシカギムシ目に含める。バージェス動物群アイシュアイアは現生種とほぼ同じ体制である。他にハルキゲニアがあり、背面に角状の装甲を持つ。同様の装甲を持つ例は澄江生物群からも数種が知られる。

化石種はすべて海産であるが、現生種はすべて陸生である。このため現存する動物門のうち、現生種が海産種を含まない唯一の動物門となっている。

カギムシ綱 Onychophorida

†Xenusia綱 Xenusia (絶滅)

  • † ムカシカギムシ目 Protonychophora
    • † アイシェアイア科 Aysheaidae
  • † Scleronychophora目
    • † Cardiodictyidae
    • † Eoconchariidae
    • † ハルキゲニア科 Hallucigeniidae

外部リンク

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