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利用者:Takenari Higuchi/sandbox9

やがて君になる

テレビアニメ版のロゴ
ジャンル 百合学園
漫画
作者 仲谷鳰
出版社 KADOKAWA
掲載誌 月刊コミック電撃大王
レーベル 電撃コミックスNEXT
発表号 2015年6月号 - 2019年11月号
発表期間 2015年4月27日 - 2019年9月27日
巻数 全8巻
話数 全45話
アニメ
原作 仲谷鳰
監督 加藤誠
シリーズ構成 花田十輝
脚本 花田十輝
キャラクターデザイン 合田浩章
音楽 大島ミチル
アニメーション制作 TROYCA
製作 やがて君になる製作委員会
放送局 AT-Xほか
放送期間 2018年10月5日 - 12月28日
話数 全13話
小説:やがて君になる 佐伯沙弥香について
著者 入間人間
イラスト 仲谷鳰
出版社 KADOKAWA
レーベル 電撃文庫
刊行期間 2018年11月10日 - 2020年3月10日
巻数 全3巻
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

やがて君になる(やがてきみになる)は、仲谷鳰による日本の漫画。『月刊コミック電撃大王』において2015年4月から2019年9月まで連載された。恋愛感情が分からない少女である小糸侑を主人公に、その先輩であり他人に好かれることを望まない少女である七海燈子との恋愛が描かれる百合漫画である。

本作は仲谷のデビュー作である。『東方Project』の同人漫画を制作していた仲谷に『電撃大王』の編集者が百合漫画を連載することを提案したことがきっかけで制作が始まった。本作は2017年の次にくるマンガ大賞で4位を、2018年のアニメ化してほしいマンガランキングで3位を獲得した。

単行本は電撃コミックスNEXTから全8巻が刊行され、2019年11月現在で発行部数は累計100万部を超えている。2018年10月から12月には加藤誠を監督としてTROYCAが制作した全13話のテレビアニメがAT-Xほかにて放送された。2019年5月には舞台版の公演が行われ、2022年11月に再演された。また、全2巻のアンソロジー漫画や、入間人間による全3巻のスピンオフのライトノベルが刊行されている。

あらすじ

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高校1年生の小糸侑は、人を好きになるという気持ちが分からないという悩みを抱えていた。ある日、侑は生徒会役員である2年生の七海燈子と知り合う。誰の告白にも心が動かないと語る彼女に侑は悩みを打ち明けるが、直後に侑は燈子から告白され、「自分を好きにならないで欲しい」という条件のもと交際を提案される。侑はこれを受け入れ2人は交際を開始する。

燈子は生徒会長選挙に立候補し、侑はこれを手伝う。燈子は当選し、侑はそのまま生徒会に入り、燈子の親友である佐伯沙弥香や、槙聖司、堂島卓といったメンバーと出会う。燈子はメンバーに対し、生徒会役員による生徒会劇を提案する。侑はこれに反対するが、死去した燈子の姉が生徒会劇を行おうとしていたこと、燈子がその姉の姿を無理に演じていることを知る。侑は燈子を助けたいという思いから生徒会劇に賛成し、作家志望の友人である叶こよみに脚本を依頼する。

登場人物

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小糸 侑(こいと ゆう)
声 - 高田憂希
演 - 河内美里
七海 燈子(ななみ とうこ)
声 - 寿美菜子
演 - 小泉萌香
佐伯 沙弥香(さえき さやか)
声 - 茅野愛衣
演 - 礒部花凜
槙 聖司(まき せいじ)
声 - 市川太一
演 - 石渡真修(舞台版・初演) / 伊崎龍次郎(朗読劇)
堂島 卓(どうじま すぐる)
声 - 野上翔
演 - 小田川颯依
叶 こよみ(かのう こよみ)
声 - 小原好美
演 - 春咲暖
日向 朱里(ひゅうが あかり)
声 - 寺崎裕香
演 - 五十嵐晴香
箱崎 理子(はこざき りこ)
声 - 中原麻衣
演 - 田上真里奈
児玉 都(こだま みやこ)
声 - 森なな子
演 - 立道梨緒奈
小糸 怜(こいと れい)
声 - 小松未可子

制作

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背景

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仲谷は『東方Project』の同人漫画を制作していた[1]。仲谷自身は百合漫画を描いているという意識はなく、あくまで人間関係を描いているという認識だったが、『東方Project』の登場人物はほとんどが女性だったことから必然的に女性同士の物語になり、周囲からは百合漫画を描いている作家であると認識されていた[1][2]。そこで百合漫画を描こうと考えていたところ、『電撃大王』の編集者から百合漫画の連載を提案され、制作が始まった[2]

制作

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『電撃大王』から声をかけられた時点では、仲谷は具体的なプロットやキャラクターは考えていなかった[1]。『やがて君になる』の物語に至るまで、プロトタイプとして様々な物語やキャラクターを制作した[1]

仲谷はプロットの制作にあたって、物語全体を貫く問題を設定することにした[2]。百合を描く作品には女の子同士の恋愛であることを障壁として描く作品が多いが、仲谷は女の子同士の恋愛が困難であるべきではないと考えていたため、それを物語の中心には置かなかった[1][2]。そこで、担当編集と交わした「百合と言えば秘密の恋」である話をもとに、「女の子同士だから」を「この2人だから」秘密にしなければならないという要素に置き換えることで、『やがて君になる』のプロットが制作されていった[1]

主要なキャラクターである小糸侑と七海燈子のうち、初めに七海燈子が「自分には手に負えないけれどもかわいい」ヒロインとして制作され、そのパートナーかつ「手に負えない子を助けてくれるヒーロー」として小糸侑が制作された[2]。仲谷によると、七海燈子には「人に好きになられたくない子」というコンセプトが誕生し、それを中心に、死んだ姉の代わりになろうとしているといった設定が出来上がった[1]

仲谷は次に、そのような七海燈子を助けられるのはどのような人物なのかという方向からキャラクターについて考えた。そこで、自分は好意を示しながら相手から好意を向けられることを望まない七海に対して、彼女の好意を喜びも拒否もせず、ただ受け入れる態度を取ることが出来るという設定から、「人を好きになる気持ちは分からないが、好きになれたら良いなと思っている」という設定が出来上がり、小糸侑というキャラクターが誕生した[1]。また、担当編集の知り合いに「家族以外を特別に思う気持ちがわからない」という人物がおり、その人物の話を参考にしながら小糸侑というキャラクターの見せ方を考えたという[1]

その他のキャラクターは「侑の友達は2人くらいいる」「生徒会には男子もいる」というように配置や役割を決めてから中身を考えていったという[1]。その中で、「生徒会長である燈子のことが好きで、副会長的に近くにいる友達が必要」ということから佐伯沙也香というキャラクターが誕生した[1]。また、人を好きになれなくて悩んでいた小糸と対比させる形で、「人を好きにならないままでも楽しくやっている」キャラクターとして槙聖司が誕生した[1]

百合漫画では女子校が舞台となる作品が多い中、本作は共学校を舞台として制作された[3]。仲谷は、女の子を好きになる女の子も一通りではなく様々な意識があり、また、女の子を好きにならない女の子もいるため、身近に女の子以外がいる環境のほうが、そうした個人の違いが見えやすいと考えたと語っている[3]

連載

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『やがて君になる』は『月刊コミック電撃大王』において2015年4月から2019年9月まで連載された[1]。連載にあたっては、単行本1巻分のシリーズ構成を担当編集と打ち合わせ、1冊の最後に何を持ってくるかという読みごたえを重視して構成が決められた[4]。まず、シーンや会話を記した文章をプロットとして担当編集に提出し、直しを経た後に具体的なセリフを含んだものを提出し、その後、ネームに進んで作画に入るという工程を経ていた[4]

単行本の帯は仲谷を担当編集の間で決められた[4]

テーマと分析

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恋愛

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恋愛のお話は好きなんですが、人を好きになる気持ちがあまりにも当たり前で説明不要なものとして描かれている作品には、私はずっとどこかで引っかかりを感じていました。
仲谷鳰[3]

『やがて君になる』は「恋愛とは何か」という問いがテーマとなっており、恋愛が自明のものとして扱われていない[5]

セクシュアリティ

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佐倉 (2020)は、本作ではアセクシュアルやリスロマンティックといったセクシュアリティが描かれていると指摘している[6][注 1]

評価

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『やがて君になる』は2019年11月時点で発行部数が累計100万部を突破した[9]。2017年には次にくるマンガ大賞のコミックス部門において4位を獲得した[10]。2018年にはアニメ化してほしいマンガランキングにおいて3位を獲得した[11]。また、日本のウェブサイトである百合ナビが行っている「百合漫画総選挙」においては2017年に行われた第1回から2020年に行われた第4回まで4年連続で1位を獲得した[12]。2021年に行われた第5回では恋愛部門と総合部門で2位を獲得した[13]

批評

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メディア展開

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アニメ

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2018年10月から12月にかけて放送された[14]

舞台

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2019年5月に公演が行われた[14]

スピンオフ

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七海燈子の親友である佐伯佐弥香を主人公としている[14]

アンソロジー

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書誌情報

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脚注

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注釈

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  1. ^ アセクシュアル、またはアセクシュアリティ (Asexuality) とは、性的指向のひとつで、他者に性的に惹かれないことを指す[7]。また、リスロマンティック (Lithromantic) とは、恋愛的指向のひとつで、他人に恋愛的に惹かれるが、見返りは求めないものを指す[8]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 丸本大輔 (2019年11月26日). “大人気百合漫画『やがて君になる』最終巻直前仲谷鳰に聞く「侑と燈子が『運命の二人』には見えないように」”. エキサイトニュース. 2023年6月8日閲覧。
  2. ^ a b c d e 野本由起 (2018年10月22日). “心のコップからあふれた“好き”という気持ち──『やがて君になる』仲谷鳰インタビュー”. ダ・ヴィンチWeb. Kadokawa. 2023年6月8日閲覧。
  3. ^ a b c ふりっぺ (2018年9月22日). “自分の考える百合のど真ん中ー『やがて君になる』仲谷鳰先生インタビュー”. 百合ナビ. 2023年6月8日閲覧。
  4. ^ a b c かーずSP (2018年11月30日). “【特別対談】『やがて君になる』仲谷鳰×担当編集・クスノキ「エゴがキャラクターを決める」”. コミスペ!. 2023年5月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月8日閲覧。
  5. ^ 松浦 2021, p. 72.
  6. ^ 佐倉 2020, p. 131.
  7. ^ デッカ― 2019, p. 11.
  8. ^ デッカ― 2019, p. 42.
  9. ^ 株式会社KADOKAWA (2019年11月27日). “100万部超え、そして完結! TVアニメ&舞台化も果たした『やがて君になる』最終8巻 11月27日発売!”. PR Times. 2023年6月8日閲覧。
  10. ^ 第3回次にくるマンガ大賞 結果発表 コミックス部門”. ダ・ヴィンチ、Niconico. 2018年3月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月8日閲覧。
  11. ^ 「アニメ化してほしいマンガランキング」の結果が発表。「やがて君になる」が3位入賞”. 百合ナビ (2018年3月24日). 2023年6月8日閲覧。
  12. ^ 第4回 百合漫画総選挙 結果発表(1~10位)”. 百合ナビ (2020年9月12日). 2023年6月8日閲覧。
  13. ^ 第5回 百合漫画総選挙 結果発表”. 百合ナビ (2021年11月1日). 2023年6月8日閲覧。
  14. ^ a b c 丸本大輔 (2019年12月4日). “最終巻発売『やがて君になる』仲谷鳰に更に聞く「やっといちゃいちゃしているところを描けるなって」”. エキサイトニュース. 2023年6月8日閲覧。

参考文献

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