利用者:Sumaru/第7回執筆コンテスト採点表
採点基準の透明化のために、私がどのような基準で評価するのかを明示しておきます。エントリー記事に好き勝手言うのですから、それに対する批判を甘受する覚悟はできています。なお、どの項目であれ0や1をつけられるのはイヤだろうなあ、と自分でも思いますが、選考の性質上、やむをえないものと御了解頂ければ幸いです。
ルール
[編集]採点基準を以下の7項目に分けます。当然いずれも期間内の起稿・加筆のみに対する評価で、コメント付与期間中の加筆・訂正等は全く考慮に入れません。基本的に各評価3点満点(おおむね一定水準を越えていれば3、それにやや及ばなければ2、更なる加筆・修正を期待する場合には1)で、各項目で特に傑出した記事がある場合、1項目につき1記事のみ「4」をつけることがありえます(「その他」の節を除く)。計算上の最高点は27点になりますが、これは完璧な記事のレベルです(もちろん私にも書けません)。まだ半分ほどしか審査していないので断言はしかねますが、自分の中では15点を超えればGA選考で賛成票を入れるレベル、21点を超えればFA選考で賛成票を入れるレベルくらいになるのではないかと思っています。
- 機械的な評価点
分量 : 単純に一番バイト数が大きかった記事を「4」、2番目に大きい記事とその3分の2以内を「3」、その3分の2未満3分の1以上を「2」、3分の1未満を「1」とします。
- 準・機械的な評価点
検証可能性 : 基礎点は0で、出典を示すために脚注が使われていれば「+1」、独自研究と誤解されかねない箇所で適切かつ十分に付けられていれば「+1」、記事の主題にもよるが十分に多くの文献を参照していれば「+1」。参考文献が挙げられているだけについて評価すべきか悩みましたが、コンテストである以上、それはやって当然と判断し、申し訳ありませんが、それだけでは点にしていません。
構成 : (未執筆やスタブ状態の節も含め)全体の構成がきちんと練られていれば「3」、やや不足していれば「2」、大幅に不足していれば「1」、節名の付け方などに注文があれば評点から「-1」
- やや主観的な評価点
表現 : きちんと推敲されているか、レトリックに凝りすぎて読みづらくなっていないか。なお、単純な誤記と思われる記述、言葉の使い間違いなどは5000バイトにつき1箇所までは減点対象とせず。
内容 : (審査対象版の構成を所与とした上で)各節の内容が十分に書かれているか。つまり、「構成」点が高い記事でも節スタブがあればこの点は低くなりますし、「構成」点が低くても、その構成の範囲内で十分に書けていれば、こちらの点は上がります。
- 純粋に主観的な評価
興味 : その主題に興味が持てたか、あるいはすでに予備知識がある場合、新しい知見が得られたか。
その他 : 画像の使い方が効果的、(翻訳記事の場合に)日本語版独自の大きな変更点がある、など何か特筆すべき点があれば。この項目のみ「0」がありえます。また、一つの要素につき1点です(例えば画像の使い方が傑出して素晴らしかったとしても、それを2点としたりはしません)。最大で3点と(つまり3つの要素までを評価)します。画像をどこまで評価するかは審査員の判断で随分と違ってくると思いますが、私は副次的なものと見なして、さほど高くつけません。
付則1
[編集]同点の記事は「検証可能性」「構成」「内容」の合計の高い方を上位に置きます。それも同点だった場合、「分量」「その他」「表現」の順で、いずれかが上回るまで加算していきます。
付則2
[編集]10万バイトを越える記事を「重量級」、それ以下を「軽中量級」と分け、もしも重量級の記事のみで上位3位までを独占した場合、3位は軽中量級で最も評価が高い記事に差し替えます。
これは、
- 主題によっては徒に記事を長大化させるよりも、コンパクトにまとめる方が望ましいこともありうること。そして百科事典である以上、常に総花的に盛り込む必要はないので、加筆していく能力以外に、コンパクトにまとめる能力も評価されて良いのではないかと思えること。
- 私の評価基準だとどうしてもある一定水準以上の記事執筆能力を持っている執筆者(「同一レベルの執筆者」ではない)同士の記事だと、単純に容量が大きい方が有利になりやすいことが予想できるため、何らかの調整が必要だと考えられること。しかし、その辺の調整を織り込んだ客観的な基準を審査開始時点までにうまく設定できなかったので、救済措置を作っておく方が良いと思えたこと。
などが理由です。誤解のないように強調しておきますが、こうした基準は機械的に「軽中量級」枠を設定すべきだという主張ではなく、“私の評価基準では”こうする方がかえって公平な評価に近づくと信じているということです。
なお、この基準を本当に適用する必要がでてくるかは採点を終えてみないと分かりませんし、こんな風にこまごまと決めたことが全くの無駄に終わる可能性もあります。ただ、実際に適用することになったときに備え、あらかじめ明示しておきます。
- (審査後の追記)結局この項目は使いませんでした。
結果
[編集]以下の採点結果から、
- 1位 - アメリカ合衆国の鉄道史
- 2位 - ポジャールスキー公 (装甲巡洋艦)
- 3位 - 地図混乱地域
となりました。
2位と3位および他3つの記事が同点でしたが、#付則1に従いしぼっていきました。#付則2は使用する必要がありませんでした。
採点
[編集]重量級
[編集]- アメリカ合衆国の鉄道史 - 20点
- 分量 : 4
- 検証可能性 : 3
- 構成 : 2 (コメント期間中に述べたとおり、「概要」の必要性などによるものです)
- 表現 : 3
- 内容 : 3
- 興味 : 3 (多彩な歴史分野に開かれた充実した記事だと思いました)
- その他 : 2 (画像の効果的な使用と、表などの整備に対して)
- 鎌倉文化 - 17点(検・構・内 - 7点)
- 分量 : 3
- 検証可能性 : 2 (いくつかの節で脚注が全くないのは、改善の余地があると思います)
- 構成 : 3 (コメント期間中に述べた通りで、無条件の支持ではないものの、対案が浮かばないので)
- 表現 : 3
- 内容 : 2 (ジャンルごとの濃淡が大きいこと自体は減点の対象ではありませんが、「淡」の部分にまだまだ書ける要素があると思えることから、さらに発展することを期待します)
- 興味 : 3 (総花的な文化記事で多彩なトピックを楽しめました)
- その他 : 1 (文化記事は画像が最も効果的に使える領域だと思いますが、実際に効果的に使われていたと思います)
- ヴェーザー川 - 17点(検・構・内 - 7点)
- 分量 : 3
- 検証可能性 : 2 (仮に外国語版からそのまま参考文献、脚注を移入した記事であろうと、それ自体は減点の対象とするつもりはありませんでしたが、脚注の少なさは引っ掛かりました)
- 構成 : 3 (「歴史」節と「水運#歴史」節をまとめるなどした方が良いのではないかとは感じました)
- 表現 : 3 (これだけ長大な翻訳記事でも、日本語としての読みやすさが保たれている点は素晴らしいと感じました)
- 内容 : 2 (「ヴェーザールネサンス街道」という名称が唐突に出ており、その説明がなかったので戸惑いました。文脈からすると、その後に並んでいた建造物群が見られる通りということなのだろうと思いますが。「氷の賭け」にも似たような印象を抱きました。これらは減点とするにはやや細かい点ですが、「構成」節での微妙な点との総合で、こちらを「2」としておきます)
- 興味 : 3 (網羅的な記事なので、節によって興味を持てた度合いには濃淡がかなりありますが、十分に楽しめました)
- その他 : 1 (流域の景観、建造物群など、やはりこうした網羅的な地理記事だと、画像が映えるなあと感じました)
- ドナー隊 - 17点(検・構・内 - 7点)
- 分量 : 2
- 検証可能性 : 3
- 構成 : 2 (コメントで述べたように「遺産」の節はもう少し違った名前・構成の方が良いと思いました)
- 表現 : 3
- 内容 : 2 (コメントによれば研究史までは難しそうではありますが、もう少し人名へのフォローがほしかったところで、それが審査対象版での読みづらさにつながっていた気がします)
- 興味 : 3
- その他 : 2 (手紙を随所に引用している構成は十分に効果的だったと思います。また、リストや旅程図も理解を助けるものだったと思います)
軽中量級
[編集]- ポジャールスキー公 (装甲巡洋艦) - 17点(検・構・内 - 8点)
- 分量 : 2
- 検証可能性 : 3
- 構成 : 2 (他の方のコメントにもありましたが、「概要」の扱いなどに違和感がありました。また、これも他の方のコメントとも若干重なりますが、冒頭に特筆すべき要素が記載されていると良いと思いました。記録的な要素がいくつかあることを認識しつつ、ではどんな戦果を挙げたのかと読み進めていたので、若干肩透かしに感じる部分がありましたので)
- 表現 : 3
- 内容 : 3 (単独記事としての欠陥ではないので減点対象にはしていませんが、赤リンクの多さがやはり目に付きました。暫定的な措置として、そのいくつかについては記事の中に簡略な説明を添えておいて頂けると良いかとは思いました)
- 興味 : 3
- その他 : 1 (モノクロ写真の数々は味わい深いものでしたが、それにとどまらず、部分部分の拡大写真も効果的に使うことで、分かりやすさが向上していたと思います)
- 地図混乱地域 - 17点(検・構・内 - 8点)
- 分量 : 1
- 検証可能性 : 3
- 構成 : 2(構成については、コメント期間中に述べたとおりです)
- 表現 : 3
- 内容 : 3 (画像のキャプションなどは記事内容としては瑣末な点なので、特に減点対象とはしていません)
- 興味 : 3(コメント期間中に述べたとおり、個人的には意外性が強かったです)
- その他 : 2 (別にこの記事のためということではなかったようですが、ご自分で関連写真を御撮影なさっていること、またその選択が自分の写真を贔屓した結果でなく、記事の主題とも密接に結びついた効果的なものであることは評価できると思いました。また、本文をスッキリさせる一方、細かな話は注釈を充実させる形で丁寧にフォローしていた点も読みやすさにつながっていたように思います)
- モザンビーク独立戦争 - 16点
- 分量 : 2
- 検証可能性 : 3 (いくつか「考えられる」「指摘されている」などの箇所でもう少し出典がほしいと思えました。文脈から言って出典が一応推察できるので減点対象としていませんが)
- 構成 : 3
- 表現 : 1 (他の方も指摘していらっしゃいましたが、単純な誤記や、文章の繋がりが不明瞭なところなどがかなり見られました)
- 内容 : 3
- 興味 : 3
- その他 : 1 (兵器に疎いもので、名前だけ列挙されていてもサッパリだったと思いますが、ギャラリーの存在で理解が助けられました。他の画像の使い方も十分に効果的だったと思います)
- 相馬半治 - 15点
- 分量 : 1
- 検証可能性 : 2 (コメント欄で他の方も指摘していますし、難しいようではありますが、関係者以外の出典によって、自伝などの記述をさらに裏支えできるとなお良いと思いました)
- 構成 : 2 (検証可能性とも関連しますが、第三者的な評価がもう少し充実していると良いように感じました)
- 表現 : 3
- 内容 : 3 (充実した評伝自体は十分によく書けていると思います)
- 興味 : 3 (明治製菓の設立者の記事かと読み始めると、冒頭から東工大教授の肩書きが目に入って、一体どんな経緯でと興味を惹かれました。また、その興味を持続したまま読みきることができました)
- その他 : 1 (本人の写真を使えているのは大きいですし、関連する画像も十分に効果的だと思います)
- 日本一愛知の会 - 13点
- 分量 : 1
- 検証可能性 : 3
- 構成 : 3
- 表現 : 3 (文章自体は非常に読みやすく、テンポ良く読み進めることができました)
- 内容 : 1 (他の方もコメントしていましたが、「政策」節に物足りなさを覚えました。あとは、これも他の方と重なりますが、減税日本と対照的な結果になった理由などが膨らまされていると、特色や課題を浮かび上がらせる上でも有効かと思いました)
- 興味 : 2 (「政策」節の弱さが、地域政党としての特色をつかみづらくしていられるように感じられました。ただ、物足りなさはあるとはいえ、構成自体に問題はないと思いますし、項目ごとの要点はつかみやすいと感じました)
- その他 : 0
- セルビア蜂起 - 12点
- 分量 : 1
- 検証可能性 : 2 (脚注で頻出している「クランプトン (2004)」に対応する書名が審査対象版時点で記載されていなかったのは問題だったと思います)
- 構成 : 3 (他の方も指摘していましたが「その後」以降の節構成に若干の疑問がありました)
- 表現 : 2 (「未完成」とのことなので、細かな表現の未調整部分が目に付くのは仕方のないことと思いますが)
- 内容 : 2 (蜂起そのものが審査対象版時点であまりにも薄すぎるので)
- 興味 : 2 (背景説明で引き込まれかけたところ、蜂起の簡略さで肩透かしを食らった感がありました。そのあたりの加筆や関連記事整備を終えられた時に、改めて拝読させて頂きたいと思います)
- その他 : 0
- 民衆裁判所 - 9点
- 分量 : 1
- 検証可能性 : 0
- 構成 : 1 (実質「概要」しか節がないのは、やはりどうかと思います)
- 表現 : 3
- 内容 : 2 (現在ある節の範囲では十分に書けているは思いますが、コメントでも述べたように、時期への言及の少なさが歴史的な用語の説明として漠然とさせてしまっていると感じました)
- 興味 : 2 (興味はわいたのですが、それに応えてくれるだけの掘り下げが、やはり現時点では不足していると思います。)
- その他 : 0
雑感
[編集]審査結果は私自身にとって意外なものでした。最初にざっとエントリー記事全部を眺めた時の印象では、「重量級」の4記事のいずれかで上位3位を独占しそうな感じだったため、ページサイズのみで決まるかのような結果にせず、より多彩な基準で記事を選出することが望ましいという判断から、「階級制」を導入してみようかと考えたわけです。
そのようなルール設定と一通りざっと読んだ感じでは、おそらく1位アメリカ合衆国の鉄道史、2位鎌倉文化かヴェーザー川かドナー隊、3位が「軽中量級」枠で地図混乱地域か相馬半治になるのではないかと思っていたのですが、精読の上で採点してみた結果は上のようになり、「階級制」は全く必要ありませんでした(自分の中の下馬評にポジャールスキー公 (装甲巡洋艦)が入っていなかったことに他意はなく、単に私自身がミリタリーに疎いため、ざっと読んだだけでは記事の質を評価できなかったためです)。
採点は各記事に点数だけつけて、合計点は最後まで出さない形をとりました。その結果、2位に該当する「17点」の記事が5つも出たというのは、適切な採点(差異化)ができていなかった可能性を示唆しており、頭を抱えました。私の評価基準や配点にいくつもの問題点があるのは事実でしょう。その一方で、ページサイズが相対的に小さめな記事でも、まとまりがよかったり調査が行き届いていたりと、質の高い記事が多かったことが、このような接戦につながったとも考えています。--Sumaru 2011年6月19日 (日) 01:55 (UTC)