コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

利用者:Sn 007/アルメニアンレース

2004年頃のアルメニアの針レース

アルメニアンレースは、針、糸、はさみだけを使用して作られるシンプルな形式のニードルレースである。

アルメニアにおいてはレースを意味する「ジャンヤク ժանյակ」と呼ばれる。

トルコにおいてはイーネオヤ iğne oyası、ブルガリアにおいてはケネ кене、ギリシャ(キプロス島など東地中海の島々を含む)においてはピピッラ πιπίλλα(その他、ビビラ bibila、ビルビラbirbilla等)の呼称がある。その他、スミルナステッチ、ナザレレースなど、伝播した場所の地名が付くものも存在する。それぞれ様式は少しずつ異なるが基本となる技法は同一である。

歴史

[編集]

起源は不明だが、紀元前2000年前の漁網にその起源を見ることが出来るという説や[1]、少なくとも2,000年前にさかのぼり古代の結び目から作られた敷物から進化してきたという説などがある[2]

先史時代のアルメニアでのレースの使用を示唆するいくつかの考古学的証拠が存在する。伝統的なデザインで見られるキリスト教以前のシンボルは、確かにそのルーツを示唆してる。 [3]  アルメニアだけでなくその他地域それぞれが自らの地域に起源があると主張しているため、フェニキア人の時代にまでさかのぼり東地中海で発生したとされる説もある。[4]


レースが貴族の保護下にあり発展したヨーロッパとは対照的に、アルメニアでは伝統的なスカーフからランジェリーまですべてを飾るものであり、レース作りは女性達の生活の一部であった。

アルメニアンレースが歴史上に販売物として現れたのは、20世紀初頭になってからである。

19世紀末~20世紀初頭、トルコにおけるアルメニア人虐殺による難民たちを救済するため、アメリカ人宣教師たちが幾つかの保護施設を現在のトルコ東部やシリアなどに設立した。寡婦や孤児となった女性たちをその施設で教育して作られたレースや刺繍作品はヨーロッパやアメリカに輸出され、彼女たちへ現金収入をもたらした。[5]

ディアスポラとして世界各国に離散したアルメニア人達とともに、このレースも伝播された。

また、ギリシャのビビラレースとしては、キプロス島で製作された作品が1886年にロンドンで開催された植民地・インド博覧会に出展されたという記録が残っている。ヴィクトリア女王に献上されたその作品群は現在、V&A美術館に収蔵されている。[6]

技法

[編集]

縫い針と糸を使用し、結び目を結ぶことによって作られる。糸は使う都度、一定の長さで切りながら使用するため刺繍の要素にも近い。

衣服や布の端をかがりながら直接布に縫いつける方法と、布を必要とせずに空中で作る方法とがある。

結び目と結び目との間の距離を調節することにより様々な模様を描くことが可能となり、平面的な表現だけでなく三次元(立体)の花々などを作成できることが大きな特徴である。

伝統的な民族手芸の例の多くにあるように、モチーフには名称や意味が込められたものも存在する。多くはトルコにおけるイーネオヤと同様に身近な花々であるが、土俗信仰や神話、キリスト教等から由来したと推測される象徴的なモチーフや寓話的な動物モチーフなども存在する。

参考文献

[編集]
  • Kasparian, Alice Odian (1983). Armenian Needlelace and Embroidery: A Preservation of Some of History's Oldest and Finest Needlework. Epm Pubns Inc. ISBN 0-914440-65-9. https://archive.org/details/armenianneedlela00kasp 

引用

  1. ^ Taciser Onuk (2005). Osamanlı'dan Günümüze Oyalar. Atatürk Kültür Merkezi Başkanlığı Yayınları. p. 5 
  2. ^ Nouvart Tashjian (1982). Armenian Lace. LACIS PUBLICATIONS 
  3. ^ Asatryan, Maria (2020). Armenia Travel Guide 2020. ISBN 9789518771770 
  4. ^ Elena Dickson (2005). Mediterranean Knotted Lace. Sally Milner Publishing. p. 10 
  5. ^ Armenian Needlelace and Embroidery. Epm Pubns Inc. (1983). ISBN 0-914440-65-9 
  6. ^ Lila de Chaves (1999). Greek Lace in the Victoria & Albert Museum. Indiktos Publications. p. 71. ISBN 960-518-052-9 


[[Category:アルメニアの文化]]