利用者:Smy phys/BCS-BECクロスオーバー
表示
BCS-BECクロスオーバーとは、低温ないし基底状態のフェルミ粒子系において、粒子間に弱い引力が働く場合(BCS領域)にはBardeen-Cooper-Schrieffer(BCS)理論で記述される超流動状態[注釈 1]が、強い引力が働く場合(BEC領域)には2粒子が分子(ボース粒子)を形成してそのBose-Einstein凝縮状態が実現し、引力相互作用を変化させると両者が連続的に結びつく現象のことである。これまでのところ、BCS領域とBEC領域の間に相転移があるとする理論や実験の結果は存在しないため、クロスオーバーと呼ばれている。両者の間では、粒子間相互作用の実効的な強さがユニタリー極限に達するユニタリー・フェルミ気体が実現する。
理論的には、D. M. Eagles[1]、A. J. Leggett[2]らによって提案された。実験的には、低温のフェルミ原子気体を使い、フェッシュバッハ共鳴を用いて原子間相互作用の強さを制御することで実現された。また、鉄系の超伝導体で実現したという議論もある。
理論的背景
[編集]ユニタリー・フェルミ気体
[編集]実験検証
[編集]一般化
[編集]注釈
[編集]- ^ ここで言うBCS理論は、フェルミ粒子系に対する変分波動関数の取り方ないし平均場近似の取り方を指しており、引力相互作用の起源をフォノンの交換と仮定しない。例えば、BCS-BECクロスオーバーが実現している冷却原子気体では、フェッシュバッハ共鳴が強い引力相互作用の起源である。
出典
[編集]- ^ D. M. Eagles, Possible Pairing without Superconductivity at Low Carrier Concentrations in Bulk and Thin-Film Superconducting Semiconductors, Physical Review 186, 456 (1969).
- ^ A. J. Leggett, Diatomic molecules and Cooper pairs. In: Modern Trends in the Theory of Condensed Matter. Proceedings of the XVIth Karpacz Winter School of Theoretical Physics, Karpacz, Poland, Springer, Berlin 13–27 (1980).