利用者:Reiwa Asakawa/下書き
きぬた歯科 | |
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情報 | |
正式名称 | 医療法人社団きぬた会 きぬた歯科 |
標榜診療科 | 歯科 |
開設者 | 羅田泰和 |
所在地 |
〒193-0931 東京都八王子市台町4-48-9 奈良ビル |
位置 | 北緯35度39分23秒 東経139度18分47秒 / 北緯35.65639度 東経139.31306度座標: 北緯35度39分23秒 東経139度18分47秒 / 北緯35.65639度 東経139.31306度 |
特記事項 | 首都圏に多数の看板広告を展開 |
PJ 医療機関 |
きぬた歯科(きぬたしか)は、歯科医師の羅田泰和(きぬた やすかず)が東京都の西八王子駅前で開業している歯科医院。2012年頃から羅田の顔写真つきの看板広告を首都圏に多数設置し[1]、その独特な広告活動で知られる。
医院
[編集]きぬた歯科は台町4-48-9に所在する奈良ビル(3階建て)全体を使用した一般歯科で、JR中央線の西八王子駅南口バスロータリーに面している。たぬきをモチーフにした外装を多用しており、立体のオブジェは興和サイン株式会社が製作を担当した[2][3]。
50メートルほど離れた散田町3-8-1に「インプラント八王子」という分院があり、看板に強調されているインプラント治療はこちらのビル3階で行われる。2022年時点でインプラントの施術数は年間3000本を数え、これは日本でかなり多い部類に入る。インプラントの施術は医師の技量に大きく依存するところがあり、多店舗展開に不向きな事から分院は設けられていない。
看板
[編集]沿いの看板]]
きぬた歯科の看板デザインで特徴的なのは、院長である羅田の顔写真を大きく掲げている点である[4]。
基本的なフォーマットは、黄色かピンクの単色を背景にして[5]、羅田の大きな顔写真と「インプラント」「きぬた歯科」「中央線西八王子駅前」という文字を組み合わせたシンプルなもので[6]、バリエーションは様々ある[6]。医師の顔写真を出した医療機関の看板はきぬた歯科以前にはあまり前例が無く[6]、出始めの頃はかなり奇抜な印象を与えるものだった[7]。
デザインの変遷
[編集]当初の看板は治療前後のビフォーアフターの口腔内写真を使っていたが、生々しすぎて気持ち悪いとクレームを受け、インパクトを損ねないモチーフとして代わりに顔写真を使い始めたという経緯がある[6]。
羅田としては顔を出す気恥ずかしさもあったが[4]、「病院の場所を知るよりも、誰が手術をするのか、誰が責任者なのか患者目線で必要な情報がどちらなのか」という考えから顔出しに踏み切った[4]。顔写真を使うのは看板が景観に埋もれないようにとの配慮でもあり[4]、それは黄色やピンクの色使いにも現れている[5]。
看板のデザインは羅田が自ら手掛けており[6][8]、設置様態に応じて10社ほどの看板業者へ絵コンテを渡して仕上げを依頼している[6]。
設置数と場所
[編集]設置数は2022年5月時点で300箇所を超えており[9]、一介のローカルな歯科医院としては「尋常ならざる設置数」とみなされている[7]。
2020年時点での設置範囲は北限が出身地である栃木県の足利市、南は神奈川県の大磯や小田原付近にまで及び[6]、品川などの都心や[9]首都高沿いにも多く設置している[9]。東海道新幹線の車窓から見えるよう「727」の隣に設置したものもある[6]。
羅田が車を走らせ、気になった場所があれば設置を交渉するが[10]、交通量などから広告効果を検討するというよりは、「高揚感が出る場所」という具合にもっぱら羅田の気分的な理由で場所が選ばれている[6]。
年間の看板維持費は、2018年時点で「フェラーリの新車3台分」[11]、2022年時点で「5台分」(推定で1億5千万 - 2億5千万円)とのことで[5]、設置場所ごとにみると安い所は年間3万円、高い所は数百万円とまちまちである[6]。看板を出し始めた当初こそ費用対効果を考慮していたものの[1]、その後はもはや直接的な広告効果を度外視しており[10]、患者が来もしない都心や他県にまで看板を出していることについて[11]羅田は「趣味」[10]「ロマン」[12]と表現している。
完成した看板を見ると高揚するんです。まるで自分がその街に遊びに行って、仲間になった気分になります。もはや理屈じゃないんです。[10]
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首都高4号線沿いの看板
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八王子駅前の看板
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首都高速4号新宿線に完成した兄弟看板。
院長
[編集]開設者で院長の羅田泰和は1966年生まれで[13]、出身は栃木県足利市[1]。
栃木県立足利高等学校[8]、日本歯科大学新潟生命歯学部を経てから[1]東京・葛西の歯科医院で勤務[6]し、1996年に独立して西八王子駅前にきぬた歯科を開業した。
苗字は通常「きぬた」とひらがなで書かれるが、これは漢字の「羅田」が難読ゆえの配慮である。
なお、実兄の羅田久和も横浜市の鴨居駅近くで歯科医院を開いており[14]、弟より先、2008年頃より本人の顔写真つき看板を市内中心部に出して評判になっていた[15]。兄弟どちらも「医療法人社団きぬた会 きぬた歯科」を名乗っているが、運営は別である[14]。
経緯
[編集]当初は別の大学を受験するも失敗[16]。現在の大学を卒業して葛西の歯科医院へ就職した羅田は、ある日院長から「六本木のパーティーに連れて行ってやるよ」と誘われて高速道路から東京の夜景を眺めていたが、地方育ちで地方大学出の羅田は立ち並ぶ看板の威容に圧倒され、いつか自分もああした看板を出したいものだと高揚感を感じた[6]。
羅田は特につらかった思い出として、歯科経営誌のインタビューで次のように話している。
大学受験の失敗。浪人までしたにもかかわらず、今までの努力が結局何にもならなかったという現実を突きつけられた。人生でこれ以上の徒労感を感じたことは、後にも先にもない。大学入学後は、同じ学年でアトランタオリンピックに出場した新潟大学歯学部生が近所に住んでいた。その人は私の存在など認識していなかったが、勝手に「偏差値で負けて、体力で負けて、見てくれでも負けて」などと劣等感を感じていた。そんな感じでふさぎ込んでいたため、彼女もできなかったし、友人もできなかった。海やスキーにも行かなかった。そういえば、当時撮影した写真は1枚もない。
私立に入れてもらったのに、今考えると、とんでもない甘ったれ野郎だったと思う。その時代に戻れたら、自分をぶっ飛ばしてやりたい[16]。
ほどなく羅田は独立して西八王子にきぬた歯科を開業し、インプラントを前面に出した医院運営を行なって患者を増やし、経営的にかなり成功を収めた[14]。
しかし、2012年1月にNHKが報道番組『クローズアップ現代』でインプラントの悪徳業者を特集した「歯科インプラント トラブル急増の理由」という回を放送すると、翌日からネットでトレンドに上がるほどインプラント施術への強い批判が沸き起こり、きぬた歯科を含め多くの歯科医院で予約のキャンセルが相次ぐ逆風が吹き[1]、羅田は今後の医院運営について考え込むようになった[1]。
当時は広告費として年あたりネット広告に1200万円、看板広告に75万円を掛けていたが、来院者にアンケートを取ってみると来院理由となった広告は半々と分かり、羅田はより効率的な看板広告へ全面的にシフトすることに決めた[1]。
きぬた歯科は多店舗展開してこなかった分、キャッシュに余裕があり[6]、その全てを看板広告へ投下することで大量の顔写真つき看板が出現することになった[1]。あくまで集客が目的の看板だったが[17]、世間からの反応を聞いているうち、やがて羅田は看板を設置すること自体に自己実現を感じるようになった[11]。
(私は仕事一筋で)まったく遊んでこなかったんです。仕事のサイボーグですよ。…(中略)… 人生これでいいのかという思いもあった。そんなとき、集客目的で出した看板広告で、スイッチが入ったんです。最初は仕事のためでしたけど、反応が面白くて、私の看板を訪ね歩く旅をしてくれてる人までいる。これは楽しいと思うようになって、どこまで行けるか試してみたくなったんです。遊びを知らない人間が覚えた、初めての遊びなんです。[11]
2016年2月時点で看板設置数は八王子市内で62、市外も含めると100を超え[12]、老舗ヘルス「多摩クリスタル」[† 1]が多摩地域に100箇所もの看板を立てているのをモデルに増やしたと羅田は当時のテレビインタビューで語っている[12]。
その後も看板の数は、2018年3月時点で230[10]、2020年2月時点で340[6]、2021年10月時点で320[17]と増えていった。一方、2018年時点で既に「看板を見て来た」という患者はほぼおらず、その広告効果は皆無となっており[10]、羅田自身も広告の本命はネットと理解していた[7]。
羅田は2022年のインタビューで、今は現状以上に急激に看板を増やすつもりはないと述べ、理由としてあくまで多店舗展開しない西八王子ローカルな医院であること、日本でもオーラルケアの意識が高まってインプラントの過当競争になりつつあることを挙げた[5]。
評判
[編集]きぬた歯科の看板については、同業医師から「不真面目な広告はどうかと思う」といった苦言を受けたり[5]、「うさん臭く思われて、病院の信頼なくなるよ」と忠告されたり[6]、テレビの全国放送でマツコ・デラックスから「頭がおかしい人かと思ったわ」と言われたこともあった[8]。
また首都高1号線沿いの準工業地域に(法令に反しない形で)顔写真つきの大型看板を出したところ、近くのマンションの住人から「ベランダからお前の顔しか見えない」と難癖をつけられ、仕方なく160万円かけてデザインを差し替えたこともあった[11]。しかし、やがて看板が有名となり「街の顔」になったことで[5]、2020年頃には逆に連日あちこちから看板設置の勧誘を受けるようになった[6]。
2018年に八王子の不動産会社がきぬた歯科の知名度に便乗して「コラボ看板」を出した時には、Twitter で3万リツイート・5万いいねを集める評判となり[10]、きぬた歯科の名が全国区になるきっかけにもなった[7]。
2020年頃には、きぬた歯科を模倣して医師の顔写真を大きく表示した歯科医院の看板が多く見られるようになった[4][6]。
影響と二次創作
[編集]TwitterなどのSNSでは、看板へ興味を持ったユーザーが場所やデザインを収集した同人誌を発売したり、神経衰弱に於いてはニュースサイトに紹介されて作者が取材を受けるといった現象も起きている[19]。
また、2022年3月には東京都中野区の模型店"LEVEL UPPER RAILROAD MODELS"から、レーザーカッターによる鉄道模型サイズのペーパーキットが発売[20]となり、同年5月31日には完売案内がなされた[21]。
出演
[編集]知名度の高さから羅田本人がメディア出演する機会も多く、これらはホームページで適宜公開されている[22]。
テレビ
[編集]- ヒロミの八王子会SP(2022年9月11日、BS日テレ[23])
雑誌
[編集]- アポロニア21(2022年2月号)
ネットニュース
[編集]- 八王子ジャーニー(2022年8月7日[24])
スポンサー
[編集]2022年時点では看板以外にもテレビやラジオでのCM、チラシや新聞折り込み、地元タウン誌への掲載などの広告活動を行なっている。
テレビ
[編集]現在の提供番組
[編集]過去の提供番組
[編集]
ラジオ
[編集]現在の提供番組
[編集]- 八王子きぬた歯科プレゼンツ 高橋みなみ 八王子調査隊(2022年9月28日 - 、ニッポン放送)
- 久米宏 ラジオなんですけど( - 2022年3月24日、TBSラジオ)
- 大沢悠里のゆうゆうワイド( - 2022年3月24日、TBSラジオ)
- 全国こども電話相談室( - 2022年3月24日、TBSラジオ)
スポーツ
[編集]著書
[編集]- 『成功率100%へ!!信頼できるインプラントとは―「第二の永久歯」で入れ歯の悩み解消!』ブイツーソリューション 2007年
- 『成功率100%へ!!インプラントは実績設備費用で選べ!』ブイツーソリューション 2008年
- 『成功率100%のインプラントとは―インプラントは「安ければ良い」ではない!』ブイツーソリューション 2009年
- 『もうインプラントで悩むのはやめなさい!!―治療前の「不安のすべて」に応えます!』ブイツーソリューション 2010年
- 『あっそのインプラント、危険です!!』ブイツーソリューション 2011年
- 『歯医者が受けたい!インプラント治療』ブイツーソリューション 2014年
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h 佐藤大介 (2022年5月13日). “看板広告費は年間「フェラーリ5台分」 きぬた歯科の負けない戦術 (2/4)”. 日経ビジネス電子版. 日経BP. 2022年5月22日閲覧。
- ^ “きぬた歯科様 | 興和サイン株式会社”. 2022年6月9日閲覧。
- ^ “きぬた歯科様の立体造形看板 | 興和サイン株式会社”. 2022年6月9日閲覧。
- ^ a b c d e 佐藤大介 (2022年5月13日). “看板広告費は年間「フェラーリ5台分」 きぬた歯科の負けない戦術 (3/4)”. 日経ビジネス電子版. 日経BP. 2022年5月22日閲覧。
- ^ a b c d e f 佐藤大介 (2022年5月13日). “看板広告費は年間「フェラーリ5台分」 きぬた歯科の負けない戦術 (4/4)”. 日経ビジネス電子版. 日経BP. 2022年5月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 谷頭和希 (2020年3月24日). “看板は人生のハイライト〜あの「きぬた歯科」にインタビューしてきた”. デイリーポータルZ. 東急メディア・コミュニケーションズ. 2022年5月22日閲覧。
- ^ a b c d “話題の「きぬた歯科」が語る、2018年「お気に入り看板ベスト3」と「うらやましい看板」”. サイゾーウーマン. サイゾー (2018年12月22日). 2022年5月22日閲覧。
- ^ a b c 清水草一 (2018年11月6日). “第110回:あの「きぬた歯科」を直撃セリ 【カーマニア人間国宝への道】”. webCG. webCG. 2022年5月22日閲覧。
- ^ a b c 佐藤大介 (2022年5月13日). “看板広告費は年間「フェラーリ5台分」 きぬた歯科の負けない戦術 (1/4)”. 日経ビジネス電子版. 日経BP. 2022年5月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g “あの「きぬた歯科」を超える看板登場! この手があったとは…上手い”. withnews. 朝日新聞社 (2018年3月6日). 2022年5月22日閲覧。
- ^ a b c d e 清水草一 (2018年11月13日). “第111回:「きぬた歯科」の野望 【カーマニア人間国宝への道】”. webCG. webCG. 2022年5月22日閲覧。
- ^ a b c “おじゃマップ 2016/02/17(水)19:00 の放送内容 ページ1”. TVでた蔵. ワイヤーアクション (2016年2月17日). 2022年5月22日閲覧。
- ^ “インプラント八王子 / きぬた歯科の医師紹介”. きぬた歯科八王子. 2022年5月22日閲覧。
- ^ a b c “歯科経営者に聴く きぬた歯科 羅田理事長から学ぶ”. e-dentist. リンクスタッフ (2011年1月). 2022年5月22日閲覧。
- ^ 野口博之 (2018年3月8日). “東京・神奈川は「きぬた歯科」の看板だらけ 場所によって「院長の顔写真が違う」のはなぜ?”. Jタウンネット. J-CAST. 2022年5月22日閲覧。
- ^ a b “アポロニア21 2月号 (発売日2022年02月01日) | 雑誌/定期購読の予約はFujisan”. 2022年6月9日閲覧。
- ^ a b “品川駅「社畜広告」騒動がまさかの展開に きぬた歯科が進出検討、院長明かす「火が付いた」”. J-CAST ニュース. J-CAST (2021年10月17日). 2022年5月22日閲覧。
- ^ はまれぽ編集部 (2016年5月28日). “店がないのに設置された川崎の巨大看板「18禁?」の正体は?”. はまれぽ.com. 2022年5月22日閲覧。
- ^ “有志が「きぬた歯科」の看板広告でカードゲーム製作 「本当に神経が衰弱する」と話題に”. 八王子経済新聞. 2022年6月2日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/level_upper_nbw/status/1498151745838784515”. Twitter. 2022年6月2日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/level_upper_nbw/status/1531509451609767937”. Twitter. 2022年6月2日閲覧。
- ^ “メディア掲載”. インプラント治療の相談なら【年間3,000本】きぬた歯科八王子. 2022年9月25日閲覧。
- ^ “特別番組『ヒロミの八王子会』で話題になりました。 | メディア掲載 | インプラントならきぬた歯科八王子”. インプラント治療の相談なら【年間3,000本】きぬた歯科八王子 (2022年9月9日). 2022年9月25日閲覧。
- ^ “【看板に数億円】きぬた歯科に突撃!看板愛が強すぎて本まで出版?!”. 八王子ジャーニー. 2022年9月25日閲覧。
- ^ “https://twitter.com/kinutashika/status/1506808762086359044”. Twitter. 2022年9月25日閲覧。
- ^ “オフィシャルパートナー”. 八王子ビートレインズ. 2022年9月25日閲覧。
関連項目
[編集]- セブンツーセブン - 大阪の化粧品メーカー。新幹線の沿線に「727」という野立て看板を多数設置する広告戦略で知られる。
外部リンク
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