利用者:Panpulha/ジョーンズ=シャフロス法
他の略称 | ジョーンズ=シャフロス法、プエルトリコ ジョーンズ法 |
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正式題名 | An Act to provide a civil government for Puerto Rico, and for other purposes |
制定議会 | アメリカ合衆国第第64回合衆国議会議会 |
引用 | |
一般法律 | 64–368 |
Stat. | 39 Stat. 951 |
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ジョーンズ=シャフロス法(プエルトリコ・ジョーンズ法、1917年プエルトリコ人連邦関係法などとも)とは1917年3月2日に当時の大統領ウッドロー・ウィルソンが署名した連邦法[注釈 1]。それ以前に制定されていたフォラカー法に代わるプエルトリコ自治法であり、プエルトリコ人に合衆国市民権を与えた。また、上院を新たに創設して二院制とし、人権保障に関する規定を設け、さらに任期4年の現地コミッショナー公選制を認めた(それまでは合衆国大統領による指名制)。同法はまた、プエルトリコ公債(地方債)に関して、債券保有者の居住地を問わず連邦税、州税、地方税のすべてを免税とした[注釈 2]。
成立
[編集]この法律成立には米国本土およびプエルトリコ現地の双方の利害が複雑に絡んだ背景があった。プエルトリコ人には国際基準から見て十分な市民権が無かったが、立法のための現地評議会は「市民権を押し付ける」ことには慎重だった。ワシントン常駐のプエルトリコ代表であるルイス・ムニョス・リベラは、市民権付与に賛成であり、議会下院で幾つかのスピーチを行ったが[1]、1916年5月5日のスピーチでこう要求した:
「今すぐ我々に実験の場を与えてくれるようお願いします… 起こりうるあらゆる利害を起こりうるあらゆる保証と共に安定した共和政府を樹立することは簡単です。そして、そのあとに我々に独立を下さい。そうすればあなた方は抑圧された人民の偉大なる解放者として、また、新しい国家の創造者としての慈愛の人となれるでしょう」
Give us now the field of experiment which we ask of you… It is easy for us to set up a stable republican government with all possible guarantees for all possible interests. And afterwards, when you… give us our independence… you will stand before humanity as a great creator of new nationalities and a great liberator of oppressed people. ... as you know, the final aspiration of my party is nationalism with or without American protectorate, and as the Puerto Rican people understand it, the granting of (US) citizenship will interfere with their aspirations for independence.
島嶼部委員会委員長で下院議員ウィリアム・アトキンソン・ジョーンズ(バージニア州・民主党)と太平洋諸島およびプエルトリコ委員会委員長の上院議員ジョン・シャフロス(コロラド州・民主党)の二人が法案成立を後押ししたことで、この法律は彼らの名前で呼ばれるようになった[2][3]。
主な内容
[編集]この法律は全てのプエルトリコ市民を合衆国市民とした[4]。またプエルトリコ政府の仕組みを作り直し、その仕組みはいくつかの点で合衆国の州のそれと似たものとなった。権力は行政、司法、立法に分離された。権利章典を通じてプエルトリコ政府が順守すべき一部の公民権を認めた(陪審制裁判は取り入れられなかったが)。
市民権
[編集]プエルトリコ住民は市民権を与えられるが、この法律施行後6カ月以内であれば自発的に拒否する事ができた。およそ120万の住民のうち288人が拒否した[5]。
立法府
[編集]スペイン統治時代にはプエルトリコ議会は一院制だったが、19名からなる上院と39名からなる下院の二院制を採用した。
議員の任期は4年で、選挙(当時は白人男性のみ)で選ばれる。知事には議会で議決された法律に対する拒否権があるが、再投票により三分の二以上の得票率で再可決された場合には、拒否権に優先される。ただしこのようなケースでも最終判断は合衆国大統領によるものとする。
事業免許や特権に関する問題は、行政府の長、監査役、および二人の公選コミッショナーからなる公共事業委員会に一任された。合衆国常駐コミッショナーは任期4年で公選される。このコミッショナーは合衆国下院でプエルトリコを代表するが投票権を持たない。
行政機関
[編集]本法により司法、財務、内務、教育、農業、労働安全衛生の6つの行政庁が設けられた。知事、検事総長、教育担当コミッショナーは合衆国上院の承認の上、大統領が指名した。残りの省庁の長はプエルトリコ上院の承認の上で知事が指名した。
プエルトリコ知事は公選ではなく合衆国大統領により指名された。内閣の構成員は全て合衆国上院の承認を必要とし、また、合衆国下院は、プエルトリコ議会が成立させたいかなる法律についても拒否権を持っていた。財政経済をコントロールし、郵便や入出国管理、防衛およびその他統治上の諸事はワシントン(米国政府)が握っていた。合衆国憲法では正式州住民にしかそれを認めていないため、プエルトリコ住民は合衆国大統領の選挙権は与えられなかった。
トリプル免税
[編集]同法第3節ではまた、プエルトリコの地方債は、その保有者の居住地に無関係に連邦税、州税、地方税が免除されるとされた[注釈 2]。これは、他州に住む地方債投資家には極めて魅力的なものとなった。それまでは、その保有者の居住地にある自治体の発行する債券のみにこの種の免税措置が与えられるのが一般的だった[6][7]。
影響
[編集]徴兵
[編集]ジョーンズ=シャフロス法成立以前は、プエルトリコ人はアメリカ合衆国の市民権を持たなかったが、本法成立後は米国市民になった。同法によりほとんどすべての米国法(内国税収入は唯一の例外となった)がプエルトリコにも影響と強制力を持つようになったので、米国軍の構成について定めた1916年国防法も例外ではなかった。さらに同法成立の2か月後には同じ米国議会が1917年選択徴兵法を可決し、すべての男性市民に兵役の義務が課された。
その後の立法
[編集]ジョーンズ=シャフロス法は1948年に部分改正され、知事が公選制となった。同じく1948年に、米国議会はプエルトリコの自主憲法草案の作成を許し、1952年には選挙によりこれが批准・施行され、コモンウェルスとしてさらに自治権を拡大した。
ノート
[編集]- ^ Pub.L. 81–600 "Except as provided in section 5 of this Act, the Act entitled "An Act to provide a civil government for Porto Rico, and for other purposes", approved March 2, 1917, as amended, is hereby continued in force and effect and may hereafter be cited as the "Puerto Rican Federal Relations Act"."
- ^ a b Pub.L. 64–145 §3 "... all bonds issued by the government of Porto Rico, or by its authority, shall be exempt from taxation by the government of the United States, or by the government of Porto Rico or of any political or municipal subdivision thereof, or by any state, or by any county, municipality, or other municipal subdivision of any state or territory of the United States, or by the District of Columbia."
参照資料
[編集]- ^ Munoz Rivera, Luis (17 July 1859-15 Nov. 1916)[リンク切れ]
- ^ Glass, Andrew (March 2, 2008). “Puerto Ricans granted U.S. citizenship March 2, 1917”. Politico
- ^ Hagerman, Frank (July 2004). “John Franklin Shafroth”. The Colorado Lawyer 33 (7): 15 2013年6月16日閲覧。.
- ^ [The Louisiana Purchase and American Expansion: 1803-1898. By Sanford Levinson and Bartholomew H. Sparrow. New York: Rowman and Littlefield Publishers. 2005. Page 166, 178.]" U.S. citizenship was extended to residents of Puerto Rico by virtue of the Jones Act, chap. 190, 39 Stat. 951 (1971) (codified at 48 U.S.C. § 731 (1987)")
- ^ Moscoso, Guillermo (2002年3月11日). “Puerto Rico: Myths About U.S. Citizenship”. [The San Juan Star]: p. 20
- ^ http://www.municipalbonds.com/tax-education/tax-exemption-from-state-income-taxes. "As a general rule in most states, if the bonds are issued in a particular state, they are exempt from that state's income taxes."
- ^ http://www.barrons.com/articles/SB50001424052748704836204578354303522222668 "Muni income generally escapes federal taxes, along with state taxes for those who buy bonds in their home states."
参考文献
[編集][[Category:1917年のアメリカ合衆国]] [[Category:1917年の法]] [[Category:アメリカ合衆国の歴史 (1865-1918)]]