利用者:Osu-mike/政府専用機
en:Air transports of heads of state and government
政府専用機(せいふせんようき)とは各国政府が、元首、行政府の長、その他政府首脳の移動の弁を図る事を主たる目的として運用する航空機である。幾つかの政府は一機以上の航空機を運用している。
概要
[編集]政府専用機の運用目的は
- 政府首脳の移動に便宜を図る
- 在外の自国民が紛争に巻き込まれた際に緊急避難を図る
等である。
機材
[編集]運用機材は基本的に民間エアラインが使用する旅客機と同様の機材が用いられる。ボーイング747等、大型のワイドボディー機を使用する国は稀であり数が限られる。一方でボーイング737やエアバスA320ファミリーのようなナローボディー機のほうがこまめな運用が可能であり政府専用機としては人気が高い。これら2つの機体はビジネスジェットタイプのラインナップが設定されているが、これをそのまま用いる例もある。ボーイングのボーイング・ビジネスジェット(BBJ)やエアバスのエアバスA319をベースにしたエアバス・コーポレートジェット(CJ)がこれである。
これより小さい機体も用いられる。ビジネスジェットのガルフストリームやリージョナルジェットのエンブラエル機、ボンバルディア機が閣僚クラスの輸送機として用いられる。
運用
[編集]機体の運用は各国の空軍によってオペレートされる場合もあるが、運用の内容は民間のエアラインが提供するサービスと変わらないものが要求される。また民間エアラインが有するノウハウやマニュアルをそのまま流用できでしまう場合が多い。このため専用機を持たないで国内の民間エアラインに完全に任せてしまうという選択肢が存在する。空軍がオペレートする場合でも、当該空軍内で実機は1機、多くても2機を大きく越えることは無く、この点で専用機を運用するに当たって必須となる飛行訓練に必要な機材やマニュアルを自前で導入した場相、経済的な合理性を著しく欠く可能性が存在する。このため操縦士の育成について民間エアラインの協力を求める事になる。操縦士は軍用機での飛行経験をある程度生かすことが出来るが、一方で客室乗務員については空軍側にマニュアルもカリキュラムも全く存在しないため一定期間の民間エアラインでの研修が必要になる。
各国の政府専用機
[編集]目次: ア カ サ タ ナ ハ マ ヤ ラ ワ – Notes
アイルランド
[編集]アイルランドではガルフストリーム IV、キングエア等の機材を有する。オペレートはアイルランド空軍によって行われる。
アメリカ合衆国
[編集]アメリカ合衆国の政府専用機は、アメリカ空軍第89輸送航空団によってオペレートされている。運用機材は大統領専用機としてボーイング747が2機、副大統領専用機としてボーイング757が4機ある。またこれより小さい機体としてボーイング737を2機、ガルフストリーム IIIを3機、ガルフストリーム Vを4機運用する。この外アメリカ海兵隊によって回転翼機が運用される。詳細はエアフォースワン及びVC-25を参照されたい。
アルゼンチン
[編集]アルゼンチンではボーイング757を運用する。この機体はTango 01と呼称される。
イギリス
[編集]イギリスの政府専用機はイギリス空軍第32戦隊によって運用される。運用機材はBAe 146が2機、ホーカー・シドレー HS.125が3機、回転翼機としてAgusta A1096機を運用する。BAe 146はかなり小型の機体だが、ロンドン・ヒースロー空港よりもロンドン中心部に近いロンドンシティ空港から発着できるというメリットが存在する。またヨーロッパ域内であればBAe 146でほぼ全ての地域をカバーできる。
イタリア
[編集]イタリアではイタリア空軍によって3機のエアバスA319CJが運用されている。この外4機のダッソー ファルコン50と5機のダッソー ファルコン900を有する。又回転翼機として2機のS-61を有する。S-61はしばしばローマ教皇の輸送にも供される。
イラク
[編集]イラクは専用機としてボーイング767-200を有する。これはエア・カナダで使用していた機体の中古である。
インド
[編集]インドでは政府要人が渡航する際にエア・インディア等の民間エアラインを利用する。使用機材はボーイング747-400などの大型の機材となる。この際のコールサインはAl 001となる。
インドネシア
[編集]インドネシアでは大統領、副大統領が渡航する際に民間エアラインのガルーダ・インドネシア航空のエアバスA330を利用する。インドネシアではインドネシア空軍でもVIP輸送を担当する部隊が存在し第17航空戦隊がこれに当たる。所有する機体はボーイング707、C-130 ハーキュリーズ、フォッカー F27、フォッカー F28等である。
ウルグアイ
[編集]エクアドル
[編集]エクアドルはホーカー・シドレーのHS748と、ノースアメリカンのT-39 セイバーライナーを運用する。
エジプト
[編集]エジプトは政府専用機としてエアバスA340をオペレートする。
オーストラリア
[編集]オーストラリアの政府専用機はオーストラリア空軍第34戦隊によって運用されている。所有する航空機はボーイング737ビジネスジェットが2機、ボンバルディアチャレンジャー604が3機である。総督、首相、外相の移動に用いられる。又オーストラリアの国家元首である英王を初めとしてイギリス王室のロイヤルファミリーがオーストラリアを訪問した際も供される。
オマーン
[編集]オマーンではボーイング747-400を1機、ボーイング747SPを1機、ガルフストリーム IVを2機、エアバスA320を1機所有している。
オランダ
[編集]オランダは王族や政府要人の輸送用にフォッカー 70を1機運用している。ベアトリクスが搭乗した際のコールサインはPH-KBXである。この機体はKLMオランダ航空の子会社がメンテナンスを行っている。このほかにオランダ空軍によってガルフストリーム IVが1機運用される。
カザフスタン
[編集]カナダ
[編集]カナダの政府専用機は、カナダ空軍第437航空戦隊によってオペレートされる。運用する機体はエアバスA310-300が5機、地元資本のボンバルディアチャレンジャー604が4機である。
ガンビア
[編集]ギリシャ
[編集]ギリシャは政府専用機としてガルフストリーム Vを有する。専用機のオペレートはギリシャ空軍が行う。
クロアチア
[編集]クロアチアでは大統領、首相の輸送用にボンバルディアチャレンジャー604を運行する。
ケニア
[編集]コートジボワール
[編集]コートジボワールは専用機としてガルフストリーム Vを有している。
コロンビア
[編集]コロンビアではボーイング737BBJ(ボーイング・ビジネスジェット)が専用機として用いられる。
ザイール
[編集]サウジアラビア
[編集]サウジアラビアではボーイング747-300が運用されている。
シンガポール
[編集]シンガポールでは現在政府専用機を運行していない。かつてはシンガポール空軍によって運用されていたフォッカー 50を使用していた。
スイス
[編集]スイスではスイス空軍によって、ダッソー ファルコン50を1機、セスナのサイテーション Excelを1機、スーパーキングエアを1機運用している。
スウェーデン
[編集]スウェーデンではスウェーデン空軍によってオペレートされる2機のガルフストリーム IVを運用している。
スペイン
[編集]スペインではスペイン空軍によって2機のエアバスA310とダッソー ファルコンの20や900を数機運用している。
スロバキア
[編集]スロバキアでは2機のTu-154と2機のYak-40を運用している。
セルビア
[編集]セルビアでは民間の航空サービス会社によってオペレートされるダッソー ファルコン50やリアルジェット31を運用している。この他にセルビア空軍によって運用されるYak-40がある。
タイ
[編集]タイではタイ空軍602戦隊によってオペレートされるエアバスA310-300を1機、ボーイング737-200を1機運用している。
タンザニア
[編集]タンザニアではガルフストリーム G550を運用している。
チェコ
[編集]チェコの政府専用機としてチェコ空軍は2機のエアバスA319、1機のボンバルディアチャレンジャー600、2機のTu-154、2機のYak-40をオペレートしている。
中華人民共和国
[編集]中華人民共和国の政府専用機は民間エアラインで、中国のフラッグ・キャリアである中国国際航空によってオペレートされている。長距離移動には特別仕様のボーイング747-400が使用される。中距離ではボーイング767、短距離移動ではボーイング737-800など使い分けが行われている。
中華民国
[編集]中華民国の政府専用機は中華民国空軍によってオペレートされるボーイング737-800が使用される。ただし中国を訪問する際には台湾のフラッグ・キャリアであるチャイナ・エアラインの運行する機体を用いる。
チリ
[編集]チリの政府専用機はチリ空軍によってオペレートされている。運用機材はボーイング737-500である。
ドイツ
[編集]ドイツの政府専用機として、2機のエアバスA310を運用している。
トルクメニスタン
[編集]トルクメニスタンではボーイング767-300ERを運用する。
トルコ
[編集]トルコではエアバスA319CJをVIP輸送用に運用している。
ナイジェリア
[編集]ナイジェリアではナイジェリア空軍によってボーイング・ビジネスジェット1機が運用されている。
ナミビア
[編集]ナミビアではダッソー ファルコン900をVIPの輸送用に運用している。
日本
[編集]日本の政府専用機は航空自衛隊特別航空輸送隊によってオペレートされている。運用機材は2機のボーイング747-400である。詳細は日本国政府専用機を参照されたい。
ニュージーランド
[編集]ニュージーランドではニュージーランド空軍によってオペレートされるボーイング757-200を2機運用している。
ノルウェー
[編集]ノルウェーでは国王、首相が移動するに際してスカンジナビア航空などの民間エアラインを利用するのが一般的である。ノルウェー空軍717戦隊はVIP輸送用にダッソー ファルコン20を1機運用している。
パキスタン
[編集]パキスタンでは、エアバス310を1機とガルストリーム IVを1機運用している。コールサインは"PAK ONE"である。この他にパキスタン国際航空のボーイング747を利用する場合もある。
バチカン
[編集]バチカン市国ではローマ教皇の移動に際してアリタリア航空の民間機をチャーターする。
べネズエラ
[編集]バーレーン
[編集]バーレーンの政府専用機は、主にバーレーン国王の移動に供されており、ボーイング747-400とボーイング747SPが運用される。
フィリピン
[編集]ブラジル
[編集]ブラジルは2003年からエアバスA319CJが大統領専用機として用いられている。
ブラジルの大統領専用機のコールサインはFAB 001である。(Brazilian Air Force Oneの意)
この他にブラジルでは以下の機体を政府専用機として有している。ブラジル資本の代表であるエンブラエル機を多く有している事に特徴がある。
- VIP用ボーイング737-2N3 2機
- VIP用ユーロコプター スーパープーマ 2機
- VIP用エンブラエル ERJ 145 2機
- エンブラエル ERJ 145 10機
- ユーロコプター HB-355 2機
- ゲイツ リアージェット35 3機
フランス
[編集]フランスの政府専用機はフランス空軍の防衛大臣直属の部隊によってオペレートされている。この部隊によってダッソーファルコン50が4機、ファルコン900が2機、エアバスA3192機が運用されている。
ブルガリア
[編集]ブルガリアの政府専用機はブルガリア空軍によってTu-154M、ダッソー・ファルコン2000、回転翼機としてMi-8が運用されている。
ブルネイ
[編集]ブルネイでは以下の機体が運用されている。B747やA340など大型の機体を複数運用しているのが特徴である。エアバスA340の内1機をエアバスA380に置き換える計画もある。
- ボーイング767 1機
- ボーイング747 1機
- エアバスA310 1機
- エアバスA340 4機
- ガルフストリームV 2機
- ガルフストリームIV 2機
- シコルスキー S-76 2機
ベラルーシ
[編集]ベラルーシの政府専用機は民間エアラインであるBelaviaによって運用されている。運用機材はボーイング737ビジネスジェットとTu-154Mである。大統領、首相の移動に供される。
ペルー
[編集]ペルーはペルー空軍によってオペレートされるボーイング737-500を1機運用している。
ボツワナ
[編集]ボツワナではボツワナ防衛軍によってガルフストリームIVが運用されている。
ポーランド
[編集]ポーランドではポーランド空軍によってオペレートされる2機のTu-154を運用している。
マレーシア
[編集]マレーシアではマレーシア空軍によってオペレートされるボーイング・ビジネスジェットを運用している。
南アフリカ共和国
[編集]南アフリカ共和国では南アフリカ共和国空軍第21戦隊によってオペレートされているボーイング・ビジネスジェット1機を運用している。
メキシコ
[編集]メキシコの政府専用機には以下のような機材がある。
- ボーイング757 1機
- ボーイング737 2機
- ガルフストリームIII 2機
- リアルジェット 35 1機
- ユーロコプター スーパープーマAS332 5機
- シュド・アビアシオン SA 330 2機
モルドバ
[編集]モルドバでは民間エアラインのエア・モルドバによってオペレートされるYak-40を運用している。
ヨルダン
[編集]ヨルダンでは国王がエアバスA340を有する。これ以外の王族や政府首脳はカナディアのチャレンジャー600を使用する。
ルーマニア
[編集]ルーマニアではボーイング707を1機運用している。この他にBAC 1-11が1機存在する。
ロシア
[編集]ロシアの政府専用機は民間エアラインのロシーヤによってオペレートされている。運用機材はイリューシンIl-96-300である。