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利用者:Omotecho/sandbox/炭焼きの塚

炭焼きの塚の断面

炭焼きの塚(すみやきのつか、Charcoal pile、charcoal clamp)は木材をきちんと並べて築く木炭製造用の人工のを指す。表面をや土で覆い、機密性を確保して丸太を炭化させ、木炭を取り出すときに崩す臨時の焼き窯である。炭焼き職人もしくは技術のある人が管理する。炭焼き窯と用途は同じだが、後者は石材煉瓦などの材料で築き、恒久的に使う構造物である。

歴史

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ヨーロッパの森林には古代から炭焼きの塚が築かれた。木炭は加工前の天然木よりもはるかに軽く運搬が楽な点、燃やしたときに得る熱量がより多い点から、炭焼きは近世経済で重要な位置を占めた。煮炊きや暖房の燃料に使ったほか、鉄の製錬に求められる温度まで加熱できる燃料は、木炭に限られたからである。18世紀後半の製鉄所には「木炭管理者」という職分があり、記録によると木炭の確保、炭焼職人と助手の監督だけでなく、頻繁に炭焼所(Kohlhäue)を検分したとある。木炭を焼く塚は、財産として薪炭林の一部と見なされた[1]

コークスを高炉の燃料用に製造する技術は1713年に発明され、無煙炭(石石炭)が素材となる。それ以降は鉄の生産量が増し、コークスより高価な木炭の消費量は着実に減少していく。17世紀以降、炭焼き用の穴窯の採用が増えると19世紀には効率の良い窯へと進化すると、炭を焼く塚はますます減る。木炭全般の使用量は19世紀から次第に進み、無煙炭に取って代わられたのち、都市ガスや電力がインフラとして導入される。第二次世界大戦中に石油に代わる燃料として木炭需要は高まり、木材や木炭を動力源とした自動車も現れた。

今日では経済物資としての重要性は特になく、製造工程で木ガスを失うことから木材の発熱量は非常に低い。今でも伝統的な用途ならびに特殊な利用法に対応するため、ヨーロッパの炭焼きそのものは続いている。

操作

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動画その1:塚を築く。(解説はドイツ語)
動画その2:炭焼きの工程と焼き上がった木炭の整理(解説はドイツ語)

木炭の製造工程には水分と木材から発生する揮発性成分の蒸散が含まれる。また塚を設ける場所はできるだけ水源近くを選び、消火が必要な場合に備える。多くの場合、木材を長さ1m前後に切りそろえた丸太を並べ、ほぼ半球形または円錐形の塚を築く。中心に煙抜きの煙突を設けてから、それを取り囲むように丸太を立てたり、倒して並べたりする。積み上げた丸太は、灰と土を混ぜて下部を土手状に囲むこともある。

この塚の頂上に乾燥したモミの枝や葉付きの枝、干し草や麦わら、を積み上げて機密性を高め雨除けにする。最後に木灰と木炭くずを練ったもので塚全体の表面を塗り込め、中心の煙突は露出させておく。この木炭くずを 「クラム」「カルーム」(英: culm、brusque: Lösche、Stübbe、Stibbe、Gestübe)と呼ぶ。次に塚の周りを丸太と厚板で作った支持材で囲むと、いよいよ煙突から点火、着火を確認して煙突の穴もふさぐと炭焼が始まる。

炭化が順調に進むしるしとして、いわゆる「ノッキング」という現象が観察される。急激に加熱すると木ガス爆燃を引き起こし、このときに表面をおおった上塗りが強固すぎると塚が爆発する原因となる。そこで塚の上部と下部の表面に個別に小さな空気穴を開けておき、燃え方を調整する。この原理に大まかにしたがい、すべての丸太を炭化させつつ、燃料としてロスになる木材を可能な限り低く抑えるように、送り込む空気の量を注意深く調整して燃焼を管理する。あくまでも炭化させるのであって、丸太を燃やし尽くさないように、小さな空気穴の開閉を操作する。多くの熱が発生し、水分の蒸発とともに頂上の枝や草の屋根に木タールが凝着、煙は黄白色で無臭に保つ[2]。丸太が熱を帯びるにしたがい、樹液や有機成分が煙として木材から抜けていく。

この段階で炭焼職人は土の上塗りから丸太が露出しないように目を配ることが主な仕事である。塚の内部に空気がもれると木炭に着火してしまうため、数日から数週間にわたり監視する(塚の大きさで炭化に要する時間は変わる)。煙とその色を観察して、必要なら空気穴を開けたり閉じたりして中の炭化を管理し、基本は加熱された木材から発生するガスと蒸気だけで燃焼が保たれる。炭化が終わったかどうかは煙の色が示し、白くて濃いと炭化中、ほぼ透明で、わずかに青みがかったら、炭化はほぼ終わる。火が窯の下部にも回るように、空気穴をふさぎ、塚の下部に新しく穴をうがつ。するとそのたびに煙の色が変わり、丸太は塚の上から下に向かって炭化していく。やがて中の丸太がやせるに従い、塚全体が縮み始まる。

炭化が完了したと判断すると空気穴をふさいで燃焼を止め[2]、ゆっくりと木炭を冷ましていく。塚の表面のひびや割れ目の対策として、火を落としてから何度か表面に水をかけ、木槌で叩いて圧縮する。塚は着火前のほぼ半分の体積に縮み、上部の覆いを除去して土をはぎ取り、熊手やシャベルで木炭を引き出し、広げて冷ます。木炭の残り火は水をかけるか灰をかぶせて消火するが、これをし損なうとせっかくの木炭が火を呼び、あっというまに燃焼してしまう(発熱反応)。あまりに高温になるため、近づくことはできない。木炭の冷却時間は12時間以上かかる。細かく砕けた木炭は塚に残し、灰と混ぜて消火する。材料に使った丸太のうち細胞の炭素骨格の98%相当が残り、広葉樹なら100kgから約30kgの木炭が取れる。

炭を焼くと副産物として木タール木酢液木のスピリット分と木ガスができる。木炭を取ろうとする限り、副産物はどれもロスが大きく、たとえば木タールの抽出と木炭の両方をとるにはタールを燃焼中の塚から取り出すため、地面に小さな穴を開けて採取するか、溝を切って粘土を塗った水路でタールを導くかする。木酢液は鉄分またはで処理するため、液をパイプで抽出し水溜まりへ導く[3][4]か、斜面に築く塚をあらかじめ壁で囲い、炭を焼いた。

ギャラリー

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出典

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  1. ^ 1788 & Mezler, p. 36.
  2. ^ a b Der Kohlenmeiler at the Wayback Machine (archived 9 May 2016) (PDF; 1.25 MB), at 750jahrewolfwil.ch, retrieved 14 August 2016.
  3. ^ Gustav Fester: Die Entwicklung der chemischen Technik. [The Development of Chemical Engineering] M. Sändig (ed.), Wiesbaden 1969, ISBN 978-3-642-89671-2 (reprint), p. 188.
  4. ^ Dieter Osteroth: Biomasse: Rückkehr zum ökologischen Gleichgewicht. ['Biomass: Return to Ecological Balance.] Springer, 1992, ISBN 978-3-642-77410-2, p. 88.

参考文献

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  • Karl Hasel, Ekkehard Schwartz: Forstgeschichte. Ein Grundriss für Studium und Praxis. 2., aktualisierte Auflage. Kessel, Remagen, 2002, ISBN 3-935638-26-4
  • Richard B. Hilf: Der Wald. Wald und Weidwerk in Geschichte und Gegenwart – Erster Teil [Reprint]. Aula, Wiebelsheim, 2003, ISBN 3-494-01331-4
  • Hildebrandt, H., Heuser-Hildebrandt, B. and Stumböck, M.(2001): Bestandsgeschichtliche und kulturlandschaftsgenetische Untersuchungen im Naturwaldreservat Stelzenbach, Forstamt Nassau, Revier Winden. Mainzer Naturwissenschaftliches Archiv, Beiheft 25, 83 S., Mainz.
  • Mezler, Johann Bendikt Mezler (1788). "Staat- und Pflichtvorhaltung eines Kohlenmeisters bei einem Eisenwerk" [State and Occupational Duties of a Master Coalman at an Ironworks] in Forst und Jagdbibliothek oder nüzliche Aufsäze, Bemerkungen und Verordnungen etc. das gesammte wirthschaftliche Forst-Jagd-Holz- und Floz-Wesen betreffend, a continuation of the general forestry magazine. Part One, Stuttgart. Charcoal pile, p. 36, at Google Books

外部リンク

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[[Category:林業]] [[Category:工芸]] [[Category:木材]]