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利用者:Omotecho/ペンシルバニア奴隷制度廃止協会

 

 

自由黒人を違法拘束から救済する協会: Society for the Relief of Free Negroes Unlawfully Held in Bondage, : Pennsylvania Abolition Societyの前身)は、アメリカ初の奴隷制度廃止団体英語版。1775年4月14日、ペンシルベニア州フィラデルフィアで設立されると会議を4回開催[1]、協会の初回会議に出席した24人の男性のうち17人はクエーカーの友会(ゆうかい)、つまりペンシルベニア史初期に顕著であったキリスト教の教派英語版の支部に相当する集団の会員が占めた。1984年に復活した。

背景

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自由であるはずの解放された黒人を違法な拘束から救済しようとする動きの背景に、皮膚の色で人間を区別し続けた白人の人種暴行がある。アメリカではイギリス植民地時代に奴隷身分が拡大した。南部の植民地にはもっとも多く奴隷がおり、東海岸では隆盛を極めたニューヨークに集中した。奴隷の増加は黒人への不信感を生み、ニューヨークの1741年の事例など、過酷な暴行の事例が記録され、ニューヨークでは1741年、「黒人の陰謀」という噂がでっちあげられて流布し、その末に行われた処刑はサイラムの魔女狩りに劣らず残忍だった[4]。植民地時代の最大の商都のひとつ、ニューヨークがこの国民的な病いを象徴するという茨木の説[注釈 1]がある。住民自身は奴隷を極めて寛大に扱っている、ヨーロッパの貧民よりもよく遇していると思い込んだこと、奴隷を縛りつけたり虐待するなどの処罰の厳格さは、黒人は(キリスト教を信じず)悪魔に先導されて「無分別」であり、「横しまな企て」を抱くと考えたと指摘される[5]

フランクリン代表の奴隷制廃止の請願

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設立から10年目を迎えた1784年[6]、同協会は改組して「ペンシルベニア自由黒人を違法拘束から救済する協会」と改称[7]法的な創設英語版は1789年である (通称ペンシルベニア奴隷制度廃止協会、ペンシルベニア廃止協会)。

その翌年以降のある時期から、ベンジャミン・フランクリンを会長に選出した同会は、奴隷制の問題を1787年のフィラデルフィア憲法制定会議に持ち込むように求めた。フランクリンはやがて1790年、合衆国議会に奴隷制廃止の請願を提出する[8][9]

双方の人種の代表と指導者が加盟してできた当協会(または廃止論者)は人種がどちらでも入会を受け付け、指導者層も加盟し、前衛時代(英語)には他州の奴隷制反対組織の手本であった。著名なアフリカ系アメリカ人の会員を見ると、黒人会員第1号のロバート・パービス(Robert_Purvis 1842年入会)の名前がある[10]。北部の奴隷制廃止論者は奴隷制度という経済の労働基盤に異論を唱え、エリートでありながらいわば社会的に疎外されており[11]、その苦悩が結束を固めた。

1807年、国際奴隷貿易禁止法が成立する[12]。また北部は法律として奴隷を禁止し、南部は個人所有者による奴隷解放が進むと、アメリカ全国の自由奴隷の人口は1800年から1830年に飛躍的に増えた。黒人自由市民は5万9557人(1790年)、10万8435人(1800年)、31万9599人(1830年)、48万8070人(1860年)という[15]

20世紀に復活

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結成110周年にあたる1984年に協会は復活、フィラデルフィア市チェスナット通りとフロント通りの交差点の近く、元の協会事務局があった地点にペンシルベニア州史跡の標識が掲げられた[16]

人種差別との闘いに捧げられたペンシルベニア廃止協会は現存する。20世紀後半からアメリカで最も古い奴隷制度廃止論者の組織として、刑事司法と刑事施設内のアフリカ系アメリカ人の収監者過密問題の改善、厳しすぎる判決法の削減、経済正義および環境正義を推進する社会環境正義英語版の適正化に取り組んできた。

脚注

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注釈

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  1. ^ 反面、商業の栄えた地域の黒人奴隷の処遇には好ましい点もあり、広い土地で集団として使役される代わりに、手工業や商業および家事など多様な仕事をこなし、技能の修得によって自由市民になることもできた。しかしながら奴隷の身分を解かれても、社会にはその才能を活用する受け皿はなかったのである[3]

出典

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  1. ^ Founding of Pennsylvania Abolition Society” (英語). Africans in America. 公共放送サービス. 2021年7月24日閲覧。
  2. ^ a b Thomas J. Davis (ed.), The New York Conspiracy by Daniel Horsmanden (1971), appendix. pp.105-106, 115-118, 168.
  3. ^ a b c 茨木 1985, p. 105.
  4. ^ Headley, Joel Tyler. "chapter 1; Winthrop D.Jordan, White over Black: American Attitudes toward the Negro, 1550-1812 (1968)". The Great Riots of New York 1712-1873 (1970年版), pp.115-118[2][3]
  5. ^ Winthrop、D. Jordan. "chapter II; White over Black: American Attitudes toward the Negro, 1550-1812 (1968)"[2][3]
  6. ^ Abolition, Anti-Slavery, and The Underground Railroad” (英語). Historical Society of Pennsylvania. 2021年7月24日閲覧。
  7. ^ Constitution of the Pennsylvania Abolition Society” (英語). The Abolition of The Slave Trade. ニューヨーク公共図書館. 2021年7月24日閲覧。
  8. ^ Benjamin Franklin Petitions Congress” (英語). アメリカ国立公文書記録管理局. 2021年7月24日閲覧。
  9. ^ Franklin, Benjamin (February 3, 1790). “Petition from the Pennsylvania Society for the Abolition of Slavery”. May 21, 2006時点のオリジナルよりアーカイブ。May 21, 2006閲覧。
  10. ^ Encyclopedia of Greater Philadelphia | Abolitionism”. philadelphiaencyclopedia.org. 2021年10月4日閲覧。
  11. ^ 茨木 1985, pp. 97–110.
  12. ^ 竹本 1982, pp. 103.
  13. ^ 竹本 1982, pp. 104–105, 「表:黒人人口の統計、10年ごとの増加率」.
  14. ^ アメリカ国勢調査局 1918, p. 53.
  15. ^ 竹本[13]に引用の資料[14]より。
  16. ^ Pennsylvania Abolition Society Historical Marker” (英語). Pennsylvania Abolition Historical Society Marker. November 15, 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。December 14, 2012閲覧。


参考文献

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主な執筆者名の50音順。

  • 茨木 慶三「中部植民地、とくにニューヨーク植民地のアメリカ史における意義」『大手前女子大学論集』第19号、1985年11月、97-110頁。 
  • 竹本 友子「アメリカ植民協会の歴史的性格--黒人解放運動との関連において(小数民族の諸問題〈特集〉)」『史苑』第42巻第1・2号、立教大学、1982年5月、103-127頁、doi:10.14992/00001193 NAID 110009327111ISSN 0386-9318


関連項目

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関連資料

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本文の典拠ではない資料。発行年順。

  • アメリカ国勢調査局 (1918). "Negro Population 1790-1915" (Document). Washington. p. 53. {{cite document}}: Cite documentでは|publisher=が必須です。 (説明); 不明な引数|chapter=は無視されます。 (説明); 不明な引数|edition=は無視されます。 (説明); 不明な引数|others=は無視されます。 (説明)
  • 松本重治(監修)『フランクリン,ジェファソン,マディソン他,トクヴィル』中央公論社〈世界の名著〉第33巻、1970年、doi:10.11501/2934603
    • 松本重治、高木誠(訳)「書簡選集 §ベンジャミン・ラッシュへ(1)~(2)」、293頁-。コマ番号0152.jp2-。
    • 松本重治(訳)「ヴァジニア信教自由法」269頁-。コマ番号0140.jp2-0141.jp2。
  • 川分 圭子「近代奴隷制廃止における奴隷所有者への損失補償 : 世界史的概観」『京都府立大学学術報告. 人文』、京都府立大学学術報告委員会、2012年2年、第64号、41-75頁、NAID 110009555865ISSN 1884-1732
児童書
  • 「III. サバンナにおける人間 1.サバンナへの人間の定住(J. M. Camarasa、C. Junyent、O. Solbrig)§1.2 アフリカの住民と野生種の栽培植物化 §奴隷制度の廃止とクレオール植民地および国家の建設」Folch i Guillén, Ramon(編)、大澤雅彦、岩城英夫(総監訳)『世界自然環境大百科』第3巻、朝倉書店、2012年、257頁。原題『Savannahs』、別題『ENCYCLOPEDIA OF THE BIOSPHERE Humans in the World's Ecosystems』、ISBN 9784254185133
洋書
  • . Forging Freedom: The Formation of Philadelphia's Black Community, 1720-1840 (Cambridge: Harvard University), 1988.
  • Nash, Gary B. ; Soderlund, Jean R. Freedom By Degrees: Emancipation in Pennsylvania and Its Aftermath (New York: Oxford University Press), 1991.
  • Andrews, Dee. "Reconsidering the First Emancipation: Evidence From the Pennsylvania Abolition Society Correspondence." Pennsylvania History: Special Issue, Essays in Honor of Richard S. Dunn, 63 (1997): 230–249.
  • Newman, Richard S. The Transformation of American Abolitionism: Fighting Slavery in the Early Republic (Chapel Hill: University of North Carolina Pressuc), 2002.
  • Andrews, Dee E. "Slavery and the Meetinghouse: The Quakers and the Abolitionist Dilemma, 1820–1865." Slavery & Abolition. 30 (3), 2009-09, pp.469–471(英語), doi:10.1080/01440390903098060, ISSN 0144-039X.

外部リンク

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