利用者:Omotecho/キーロンオープン高等教育
創立場所
ウェブサイト kiron.ngo
キロンオープン高等教育 | |
---|---|
2015 | |
ドイツ 、 ベルリン |
キーロン・オープン高等教育 (Kiron Open Higher Education gGmbH 旧称キーロン大学、公益法人登記前はWings University)は2015年に設立されたドイツの社会的スタートアップ。オンライン学習と支援サービスを通じて、難民が遭遇する既存の高等教育の障壁を軽減することを趣旨に掲げる[1] [2] [3]。
概要
[編集]キーロンという名称はギリシア神話の人物であるケイローンに由来する[4]。この非営利団体は高等教育への円滑なアクセスを実現するため、MOOCベースの教育カリキュラムを使用し、難民向けのオンライン学習プログラムを開発した。2015年秋からキーロンのプラットフォーム上で履修が可能になり、プログラム参加者はキーロンのオンラインカリキュラムを履修すると、選択した提携大学の入学資格要件に適用され、それにより認定学士号取得の機会を得ることができる。この機関自体は国が認める大学組織ではない。キーロンには提携大学が45校ある(2017年8月現在)[5]。
沿革
[編集]この機関の構想は、2014年9月16日開催の難民問題に関する会議でフィンセント・ツィマーとマルクス・クレスラーが出会った時に端を発する。ツィマーは「国境のない学習」のボランティアでありクレスラーはベルリンで難民の心理的社会的ケアの組織に所属し、どちらも難民対象の活動に従事し誰にとっても自由な勉学の機会を民間で確保するという理想を描いていた[6] [7]。二人を中心に大学やオンライン学習コースの提供者、行政とビジネスの意思決定者との間で協議の末、構想は2015年3月に具体化する。
設立当初、商標権の理由で「ウィングス大学」という名称を使い、その後まもなく社会事業機関から助成金を受けると、ツィマーとクレスラー両名にクリストフ・スタウトの3名からなる創立チームを組むことで大規模なボランティアチームの下地が整った[8] [9]。2015年秋、スタートアップのプラットフォーム「Startnext」でクラウドファンディングに踏み出すと50万ユーロ以上の資金が集まり、ドイツで最も大きな社会的キャンペーンのひとつに数えられる[10] [11]。
この機関によると創設1年目にプログラムに参加した学生は1,250人である。2017年8月にはこの統計は2,700人を数え、1期生はすでに提携先の大学に移籍している[12] [13]。
組織
[編集]この機関は統合学習、対象者へのメンター制度を提唱し、オンラインベースのコース形式(Massive Open Online Courses、MOOC)の概念に基づいて仮想学習環境プラットフォームを学生に提供する。原則として受講生は難民資格を認定され、高等教育を受けたいが困難に直面していることが条件である。進学困難の原因に対応するには、経済的に厳しいこと、語学力あるいは大学レベルに見合う基礎学力の不足、さらに卒業証明書など入学考査に求められる学修証明書類の欠如を補完する方策を見つける必要がある。
学習プログラムは多数の協力や出資者およびデジタル学習プログラムのおかげで学生には無料であり、有償の場合も必要書類のあるなしに関係なくオンラインで開始される。適切な言語の習熟ばかりか、学資の調達や必要書類の作成に関わる調査など進捗に時間を取られる課題がある[14]。
支援プログラムは、受講生が新しい母国になじめるようにさまざまな機会を設けている。難民を励まし自らの意志で決定する生活へと戻る道を探すように奨め、大学での学習法を説明して研修したり、対象者を文化や経済状態、社会的立場の面から支えて、社会参加の機会に触れさせている[15] [16]。
運営
[編集]組織運営は諮問機関として理事会を置く。実務を支えるのは約70人の中核チームと400人以上のボランティアと支援者であり、社会起業家、難民や学生、難民対応の実務家や学識経験者に加えて実業界と行政の担当部門とも連携し、外部のネットワークを使ったコンサルタント業務の利用、難民支援事業の活用が組み込まれている[17]。本部はベルリンに、事業所をミュンヘンに構えフランスとヨルダンの2カ国でも活動する[18]。
連携
[編集]MOOCによる学習プログラムはedXやCourseraなど確立されたプロバイダとの協力により維持する[19]。当初から提携契約を結ぶRWTHアーヘン大学[20] 、リューベック応用科学大学、ロイパナ大学にソルボンヌ大学 SciencesPo Parisが加わり、8カ国合計45大学と協力体制が築かれた[21]。
資金調達
[編集]難民が受けるオンライン学習は無料で提供し、設立以来、資金調達には公共部門の助成金、財団や企業の出資や後援を受け、また民間の寄付が活用され、これらと並行して持続可能な資金調達モデルを開発してきた[16]。設立初年に約300万ユーロを集めることができ、2018年まで期限付きでSchöpflin財団から上限150万ユーロの資金援助を取り付ける[22]。連邦教育研究省はキーロン設立後13カ月に約210万ユーロを提供した [23]。ベルリン経済界は2016年単体でキーロンを含む22の教育プロジェクトを支援し、その総額は1500万ユーロに及んだ [24]。主な出資者はベルテルスマン、 Bertelsmann Stiftung 、BMWヘルベルト・クアント財団 BMW Foundation Herbert Quandt 、フォルクスワーゲン、ドイツテレコム、UBS、エルネスト&ヤング(Ernst&Young) など[25]。
プログラムの履修
[編集]明確な在留資格がなくても勉強したいと願う学生をめぐっては、キーロンのプログラムに参加はできても、提携大学への進学には難民の地位認定証明書の添付という条件が課される。難民流入が危機的状況に至った影響を受け、認定手続きの遅れで進学が伸びる学生が増え、いわば「教育機会の中断」という状況に陥る件数は統計にも現れている [7]。
学習プログラムでは2つの入門コースを修了して学力考査に合格すると、受講者は研究分野を選択してコアカリキュラムの履修を開始する[7]。どの提供者のオンライン学科も仮想空間のキーロンキャンパス(campus.kiron.ngo)プラットフォームにまとめられており、コアカリキュラムはヨーロッパ地域の高等教育基準を満たし、また通学をせずにオンラインのみで学習ができる。
大学進学レベルに達するモジュールを履修完了すると、最大60 まで提携大学に入学が認められる。キーロンのプログラム修了生の在籍単位は最長2年間と規定され、通常は認定学位の取得に向けて定期的に提携大学に申し入れて履修登録を認められると、残りの研究科目を履修する。
研究プログラム
[編集]提供される研究分野は5つである。
- 機械工学
- コンピュータ科学
- 政治学
- ビジネスと経済
- ソーシャルワーク[26]
履修期間の延長制度
[編集]キーロンのプラットフォームには学術的な内容に加え、学生対象の支援サービスがいくつか提供され、フォーラムという職員や学生仲間との交流や意見交換の場もそのひとつである。交流プログラムの一環として、学生はそれぞれの文化的、社会的適応を考慮して、サポート役の「仲間」とのマッチングがされている。学習上の相談相手としてメンター制度があり、専門家を提供しオンラインと面談で勉強の進め方や学習課題固有の質問を受けている。その他のサービスには、トラウマ経験の対応、必要に応じて医療など専門家への相談の橋渡し、質問に応じるヘルプデスク、支援を必要とする学生のカウンセリングが含まれる[27]。
混合学習2.0
[編集]履修モデルの基本概念として混合学習2.0を取り入れ、学習コンテンツが受講者それぞれのスピードで提供されるMOOCと、一斉に決まった受講時間に学ぶチュートリアルを組み合わせている。また学生の学びの目標達成には、オンラインと現実空間でチュートリアルと学習コースを提供している。この概念は、デジタル空間に個別学習と一斉学習のコンテンツを用意し、また学習の場としてインターネットと従来型の現実空間を組み合わせることから、混合学習2.0と呼ばれている[14]。
受賞
[編集]- 2016年: アルノエッシュ賞 [28]
関連資料
[編集]- Hofmann, Laura (2015年9月22日). “Berliner gründen Universität nur für Flüchtlinge (ベルリンを拠点とする難民専用の大学)” (ドイツ語). ベルリン新聞. ( オンライン版 )
- Norbert Lübbers: Berliner Crowdfunding-Projekt. Eine Online-Uni für Flüchtlinge. In: ARD Nachtmagazin, 6. Oktober 2015. (Video (Memento vom 7. 10月 2015 im Internet Archive)Oktober 2015 im [./https://de.wikipedia.org/wiki/Internet_Archive Internet Archive]))
- Bernd Kramer (Text) und Robert Ackermann (Video): Kiron University. Wo Flüchtlinge studieren können – gratis und auf Englisch. In: Spiegel Online, 8. November 2015. (Artikel und Video)
外部リンク
[編集]- 公式サイト - kiron.ngo
出典
[編集]- ^ Archived [Date missing], at www.stifterverband.info エラー: 不明なアーカイブURLです。
- ^ Ralf Pauli: Kiron University: Die Pionier-Uni, die nur 400 Euro pro Flüchtling kostet, Die Zeit 11.
- ^ Archived [Date missing], at www.heute.de エラー: 不明なアーカイブURLです。
- ^ Our Story - Kiron
- ^ Partner Universities - Kiron
- ^ Laura Hofmann. Kiron Open Higher Education: Hier können Flüchtlinge ohne Papiere studieren
- ^ a b c
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: 出典が入力されていません。 (説明) - ^ SOCIAL IMPACT LAB Berlin - Coworking, Eventspace, Community. Neues im September von unseren Social Startups
- ^
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: 出典が入力されていません。 (説明) - ^ Das Startup Kiron bringt den ersten Geflüchteten an die Uni. (2017-06-21)
- ^ a b
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タグ; name ":1"が異なる内容で複数回定義されています - ^ Junge Talente integrieren. (2017-07-19). ISSN 0174-4917
- ^ a b Rat für Nachhaltige Entwicklung. „Die schaffen das“: Online-Bildungsplattform für Geflüchtete
- ^ Advisory Board - Kiron
- ^
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: 出典が入力されていません。 (説明) - ^ Partner Universities - Kiron
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: 出典が入力されていません。 (説明) - ^ 15 Millionen Euro für den Nachwuchs
- ^
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: 出典が入力されていません。 (説明) - ^ Kiron Academic Program - Kiron
- ^ Student Services - Kiron
- ^ ARNO-ESCH-Preis - Verband Liberaler Akademiker
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