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利用者:Nobuaki Kakimoto/sandbox

Exstream(エクストリーム)は、カスタマーコミュニケーションマネジメントソフトウェア製品。現在は OpenTextが提供するCustomer Experience Managementソリューションの一環として同社のCustomer Experience Management Software SuiteでCCM機能を提供するものと位置付けられ、OpenText Exstreamと称されている。

最新[1]のバージョンは2016年9月にリリースされた9.5.3である。

概要[編集]

顧客向けコミュニケーション生成と配信にフォーカスし、これを有効かつ効率的に実行するための機能を提供している。例えば、複雑なドキュメント構成、パーソナライゼーション、マーケティング、バッチ/オンデマンド/インタラクティブシナリオ、ハイパフォーマンス、インテグレーションなどである。

多数、大量、多様なコミュニケーションが必要な業界で効果を得られやすいことから、保険、金融、通信、公共などのB2C分野で導入されている。印刷会社といったサービスプロバイダーでも使用されているが、どちらかというと企業での使用に重きを置いているのが特徴である。

印刷・郵送以外の配信チャネルをターゲットとするマルチチャネルも早くから提唱[2]しており、近年は単一のアプリケーションからWeb向けHTML、Eメール向けHTMLなどのコンテンツを同時に生成し、また確実に配信する機能を加えている。

日本ではフォームベースの帳票ツールと混同されることもあるが、成り立ちと方向性が大きく異なるため、同列で評価することは難しい。

歴史[編集]

1998年にDavis MarksburyとDan Kloiber[注釈 1]が設立[3]したExstream SoftwareによりDialogueとして開発された。2008年にHPが同社を買収[4]し、HP Exstreamと改称された。OpenTextが2016年8月[5]に他のソフトウェア資産とともにおよそUSD $315 million[6]で買収し、今日に至っている。

主なバージョンのリリース時期は次の通り。

  • Version 1.0: 2000年3月
  • Version 2.0: 2001年1月
  • Version 3.0: 2002年3月
  • Version 4.0: 2003年8月
  • Version 5.0: 2005年5月
  • Version 6.0: 2007年4月
  • Version 7.0: 2009年10月
  • Version 8.0: 2011年9月
  • Version 9.0: 2014年8月

機能[編集]

デザイン[編集]

Exstreamアプリケーションは、入力、出力、変数、そしてデザインで構成される。入力に対してマッピングされた変数と静的なコンテンツをページレイアウト上に配置するのが基本的なデザインの流れとなる。デザインGUIであるDesignerでは、テキスト、テーブル、チャート、図形などを配置できるが、マウスによる操作の他、パラメトリックに座標を精密に指定できる。

デザイン上のコンテンツは、デザイン時に静的に配置するほか、DCI(Dynamic Content Import)により、テキスト、イメージなど多様な外部コンテンツを、実行時にインポートして組み込むことができる。また複数ページで構成されるPDFなどのコンテンツを、ドキュメントの一部としてそのまま組み込むことも可能である。

またコンテナーデザインにより、印刷向け以外のコンテンツレイアウトを同一デザインに対して構成することができる。

Exstreamのデザインおよびアプリケーションを構成する情報は、ODBCで接続するDBMS上に構成されるレポジトリー上に保管される。バージョン管理、チェックイン/アウト、デザイン承認ワークフローなども提供される。

生成と配信[編集]

バッチ、オンデマンド、インタラクティブのシナリオをサポートしている。入力としてCSVXML、固定長など多様なフォーマットを、ファイル、ODBC/JDBCJMSWSMQなどのメッセージキューWeb Services等のアクセス方式をサポートし、また出力としてPDFPostScriptAFP 、VIPP等の多様な印刷向けフォーマットとTIFF、HTMLなどの電子出力をサポートしている。出力では高解像度と低解像度のPDFといった複数種類の出力を同時に生成し、ページ数や宛先数、重量などで印刷等に合わせた分割ができる。また印刷時に必要とされるページ数などの情報をレポートファイルとして、またインサーターで使用するバーコードやバナーページ等も同時に生成することができる。

実行時には、入出力への論理的な内部定義に対して物理的なアクセス先を指定できるほか、Engine Switchと称する種々のパラメーター、またアプリケーション内の変数を与えることができる。

印刷[注釈 2]、アーカイブ、Eメール等の多様な配信プロトコルをサポートするが、特にEメールではSparkPost等のサービスプロバイダーによる配信や、不達時に印刷に切り替えるAssured Deliveryと称する機能を備えている。

インタラクティブ[編集]

デスクトップクライアントまたはActiveXによりInternet Exploreで動作するLive Editor、主なブラウザー上で動作するEmpower Editorがある。どちらも所定の許可された領域のみ編集可能とし、カレンダーによる日付指定、ドロップダウンやラジオボタン、ボタン等による対話的な操作と動作、コンテンツインポート、イメージアップロードなどの編集を行うことができる。完成後に承認ワークフローやEメール送信等へ連携するほか、編集した内容をテンプレートとして複数の宛先向けに生成することもできる。

マーケティング[編集]

キャンペーンメッセージ等を指定された条件によってパーソナライズし、コミュニケーションに組み込むことができる。余白や重量を把握し、可能な場合にマーケティングメッセージで埋めることができる機能は、今日トランスプロモとして知られるが、最初に実装したともいわれている。

ビジネスによるコンテンツ編集[編集]

MessagePointと、Remote Collaborationがある。

インテグレーション[編集]

  • 生成リクエスト: Web Services、メッセージキュー、ファイル等の方式で、同期または非同期で行うことができる。特にCommand Centerを使用するとJob単位でリクエストするため、詳細が隠蔽され、シンプルとなる。
  • 配信: 上記のような多様なプロトコルをおよびDelivery Managerで構成し、印刷会社やBPM/ワークフロー等に連携できる。
  • 管理: Command Centerが処理記録をDBに記録するほか、異常時等には多様なプロトコルで通知できる。

構成[編集]

アーキテクチャー[編集]

Windowsプラットフォーム上の開発環境で作成したデザインを、パッケージと称する中間構造[注釈 3]に構成し、これをWindows、Linux、Unix、メインフレームといった多様なプラットフォームで稼働するEngineが解釈してドキュメントを生成するのが基本的な流れとなっている。この過程で静的な描画を先行して行い、パフォーマンスを有利なものとしているのが特徴である。

Engineは大量のバッチ処理を源流とし、業界最高の性能とされる。C++で書かれ、内部的な並列処理は行わないシングルスレッド処理である。バッチ、オンデマンドとも、リクエスト毎に独立したプロセスがOSで生成され、処理を行う。ただしRealtime Engineと呼ばれる方式により、あらかじめEngineを起動してオーバーヘッドをなくし、さらにレスポンスとスループットを向上するオプションもある。

製品コンポーネント[編集]

多くのモジュールで構成されているが、ライセンスキーで有効化する方式のため、独立したコンポーネントは概ね次の通りである。

  • Design & Production: デザインを行うDesignerと、Engine
  • Command Center, Delivery Manager: Exstreamに特化したオーケストレーション、インテグレーションと配信
  • Interactive: Live EditorまたはEmpower Editorによるインタラクティブな編集
  • Message Point: ハイブリッドクラウドのビジネスユーザー向けコンテンツ編集(OEM)
  • Output Productivity Tools (AFP Studio[注釈 4]): AFPファイルの変換・操作と、PDF等を含む出力結果のバッチ/対話型比較

今後の展開[編集]

ExstreamはOpenTextのCCMブランドとなることから、従来のCCMポートフォリオ、Communications Center Enterprise (CCE, 旧StreamServe[注釈 5])およびCommunications Center(CC) CRM[注釈 6]、そして新たに加わった[10]Document Sciences xPressionとの統合が発表および予測されている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2人は1996年に Pitney Bowesが買収したPDR Advanced Technologyを設立し、後にEngageOne Enrichmentと改称されたStreamWeaverを開発したことでも知られている
  2. ^ 物理プリンターの状態を把握して制御する、いわゆる出力管理は備えていない
  3. ^ パッケージファイルの内部構造は公開されていないが、AQS(Application Query Service)を使用して、情報を取り出すことができる。これを応用してドキュメント生成に必要な変数とデータを識別し、動的に生成する応用も可能である。
  4. ^ Exstream Softwareが2003年にConnexion Informatiqueを買収[7]
  5. ^ 2010年10月に買収。[8]
  6. ^ 2015年1月に買収[9]したActuateが2014年5月に買収したlegodo

脚注[編集]

  1. ^ 2017年3月26日時点
  2. ^ 2002年4月のCEO(当時) Davis Marksburyへのインタビューで触れられている。
  3. ^ Kentucky Entrepreneur Hall of Fame - Davis Marksbury2017年3月26日閲覧
  4. ^ HP Targets High-growth Document Automation Market with Acquisition of Exstream Software, Exstream Software社の買収を発表2017年3月26日参照。
  5. ^ OpenText Substantially Completes Acquisition of Customer Communications Management and other Assets of HP Inc.2017年3月26日閲覧。Exstream以外のHP Output Management, HP TeleForm and HP LiquidOfficeを含む買収金額はUSD $315 million。
  6. ^ OpenText Signs Definitive Agreement to Acquire Customer Communications Management and other Assets of HP Inc. 2017年3月26日参照。ただし、Exstream以外にHP Output Management, HP TeleForm and HP LiquidOfficeを含む。
  7. ^ http://whattheythink.com/news/5540-exstream-software-acquires-connexion-informatique/
  8. ^ Open Text Acquires StreamServe 2017年3月26日閲覧
  9. ^ OpenText Buys Actuate Corporation2017年3月26日閲覧
  10. ^ OpenText Buys Documentum 2017年3月26日閲覧

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