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南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク(みなみあるぷす(ちゅうおうこうぞうせんエリア)ジオパーク、英: Minamialps (Median Tectonic Line Area) Geopark)とは、長野県飯田市から富士見町にかけての中央構造線に沿った地域の地質遺産を保護し、教育・学習資源とて活用するとともに観光資源と連携したジオツーリズムをを構築することにより、地域振興に寄与する仕組みである。[1]
沿革
[編集]- 2008年12月8日 他の6地域(アポイ岳、洞爺湖有珠山、糸魚川、山陰海岸、室戸、縞柄半島)と共に日本ジオパーク委員会により、初の日本ジオパークに認定された。
- 2012年2月14日に「南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク協議会」設立
- 2014年9月27日~9月30日 「山岳と人とジオパーク」をテーマに、日本ジオパーク南アルプス大会(第5回日本ジオパーク全国大会)を伊那市を中心とした南アルプス地域にて開催。
特色
[編集]南アルプス(中央構造線エリア)ジオパークでは、プレート移動によって形作られた日本列島の最基層の地質を観察することができる。
中央構造線の東側(外帯)の南アルプスの山々をつくる岩石は、2億年かけて海底に降り積もったサンゴや放散虫の死骸などが、数千km運ばれてきて陸地の砂や泥とともに大陸プレートへ付加体として付け加わったものである。
そしてこの付加体が2数千km以上隆起し、今では南アルプスの3,000m級の山々となった。
現在は伊豆半島との衝突によって東から押し上げられているため、南アルプスは今でも少しずつ高くなっている。
過去100年間の観測では、南アルプスは1年間に4㎜ずつ上昇(隆起)しており、世界でもまれにみる速さの隆起活動である。
一方、風風などにより浸食もさかんに起こっている。
激しい隆起と浸食により南アルプスは高さが保たれており、ダイナミックな大地の営みを観察できる、世界でも特異な場所である。[2]
中央構造線(大鹿村)
[編集]大鹿村では、西南日本を日本海側の西南日本内帯と太平洋側の西南日本外帯に分ける中央構造線が地表に露出している。
中央構造線を境に、内帯側に高い温度を受けた領家帯の変成岩や花崗岩、外帯側に低い温度で高い圧力を受けた三波川帯の変成岩が接している。
また、領家帯の岩石が白亜紀後期に断層深部で延びるように変形したマイロナイトが良く露出し、鹿塩(かしお)マイロナイトと呼ばれている。
中央構造線の露頭
[編集]北川・安康(あんこう)の川岸の2か所の中央構造線の露頭が長野県天然記念物に指定され、案内板や順路が設けられている。
どちらの露頭も、左側が領家帯の花崗岩が変形したマイロナイト、右側が三波川帯の緑色片岩という変成岩で、その境が中央構造線である。露頭の範囲では、どちらの岩石も破砕岩になっている。
中部地方の中央構造線
[編集]中央構造線は中部地方では地層がねじ曲がり八の字にまくれあがったようになっている。
日本列島がアジア大陸の一部だった頃の中央構造線はまっすぐであったが、新第三紀の日本海の拡大をともなう西南日本の南下と、北上する伊豆ー小笠原海底山脈の先端の衝突により、北方へ大きく折り曲げられた。
領家帯のマイロナイト
[編集]地下深くの高い温度圧力下で断層運動を受け、壊れることはなく延ばされた岩石をマイロナイトという。
領家帯の花崗岩や変成岩は中央構造線沿いではマイロナイトになっており、石英が大変細かく再結晶し長石が斑点状に残っていることが特徴的である。
外部リンク
[編集]関連書籍
[編集]- 『全国ジオパーク完全ガイド』 株式会社マイナビ、2012年、96-99頁、ISBN 978-4-8399-4276-2
- 山下昇編著『フォッサマグナ』 東海大学出版会、1995年、ISBN 978-4-486-01323-9
- 信濃毎日新聞社編集局編 『信州の活断層を歩く』 信濃毎日新聞社、1998年、ISBN 978-4-7840-9801-1
- 堤之恭 『絵でわかる日本列島の誕生』 講談社、2014年、ISBN 978-4-06-154773-5
- 『ジオパークを楽しむ本ー日本列島ジオサイト地質百選ー』 株式会社オーム社 編者:一般社団法人 全国地質調査業協会連合会 特定非営利活動法人 地質情報整備活用機構 ジオ多様性研究会
2013年 ISBN 978-4-274-21454-7