利用者:Mizusumashi/ウィキペディアにおける画像の利用
Wikipedia:削除依頼/PD-USGov関連がらみで考えたことのメモ。
画像の表示は著作物の「利用」か
[編集]問題の出発点としては、標準名前空間における画像の表示を、著作物の「利用」として把握するのかどうか、ということになる。もし、著作物の「利用」ではないと把握するのならば、標準名前空間における画像の表示に、著作権に関する問題は全く起きない。
「利用」であり、かつ「引用」であると把握した場合
[編集]標準名前空間における画像の表示を、著作物の「利用」であると把握するのならば、さらに、著作物の「引用」(著作権法32条)として把握するのか、「引用」ではないと把握するのかの問題が出てくる。
著作物の「引用」であると把握するのならば、次の条件を満たす必要がある:
- 明瞭区別性
- 附従性
- 著作者人格権の非侵害(以上、パロディ事件第一次上告審 最判H55.3.28)
- 正当目的
- 出所明示義務(同法48条)
しかし、1~4についてはそれぞれ、次のように考えてよいのではないだろうか:
- 明瞭区別性 - ほぼ自動的に満たされる
- 附従性・正当目的 - ケースバイケースだが、各執筆者が百科事典に相応しい内容・体裁に注意するならば果たされる
- 著作者人格権の非侵害 - 日本語版ウィキペディアやウィキメディア・コモンズに、それらの規程に反さずアップロードされた画像なら、穏やかに解しても差し支えない
出所明示義務の問題が残るが、これを標準名前空間のページ内での表示により満たす必要があるのか、それとも画像をクリックすれば誘導される画像名前空間のページで明示されていれば良いのかという疑問が出てくる。Wikipedia:屋外美術を被写体とする写真の利用方針は、同法48条の出所明示義務について一般に画像名前空間のページで明示されていれば良いと前提しているように思われる。
しかし、ウィキメディア・コモンズからの呼び出しについて考えると、問題はなお複雑である。
つまり、出所明示義務を画像名前空間のページによって果たすとしても、その画像名前空間のページを日本語版ウィキペディアで独自に作成しなくてはならないのか、あるいはMediaWikiの機能によって自動的に生成される画像名前空間ページ(ウィメディア・コモンズのコピーのようなもの)で良いのか。
- 自動生成ページで出所明示義務を果たせるとすると、自動生成ページは日本語版ウィキペディアの一部であると考えることになるのか。そうであるとすると、自動生成ページは附従性を満たさないため、画像を引用していると解しがたく、結局日本語版ウィキペディアは著作権侵害となるような状態を引き起こしていることになるのか
- しかし、そうだとしても、そこに行為がないため厳密には著作権侵害ではないと解することになるのか
- 自動生成ページで出所明示義務を果たせるとしながら、しかし、自動生成ページは日本語版ウィキペディアの一部ではないと考えることは可能か
- 出所明示義務を果たすためには、自動生成ページでは不十分なのか
「利用」であり、かつ「引用」でないと把握した場合
[編集]標準名前空間における画像の表示を、著作物の「利用」であり、しかし「引用」ではないと把握するならば、次の帰結となる:
- GFDLの画像については、標準名前空間に表示させるにつき、GFDL上の履歴保存義務を満たす必要がある
- GFDLと互換性がないライセンスの画像は、標準名前空間に表示させることができない
- PDの画像は、問題なく表示させることができる。
運営指針・編集指針としての問題
[編集]ある画像をウィキペディアの標準名前空間のページへ表示させることにつき、法的問題だけがあるわけではなく、日本語版ウィキペディアの運営指針・編集指針として「非フリー」な画像の活用をどのように許容するのか、という問題がある。
ウィキメディア財団のライセンス方針(参考訳)は、適用場面が異なるので直接拘束されるわけではないが、そこに示されているウィキメディア財団の目的からすると、「非フリーな画像」の活用はなるべく抑制的であるほうが良いのではないかと思う。