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利用者:JuthaDDA/セロニアス・モンク

テクニックとプレイスタイル

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モンクの音楽には、深い人間性、規律ある節制、均衡のとれた精力、劇的な気高さ、そして無垢に高揚した機転があります。
Steve Lacy [1]

モンクが「ピアノは間違った音を出さない」と言ったことは有名である。 [2]

トマス・オーウェンズ (英語: Thomas Owens)は、次のように述べている。

モンクのピアノのタッチは大抵、バラードにおいてさえも、耳障りでパーカッシブでした。彼は、レガートに類するものを探すことなく、音符ごと音符ごとに鍵盤を攻撃することがよくありました。意図せずに発せられたようなseconds[訳語疑問点]がメロディー・ラインを装飾し、だれかが作業用手袋を填めて演奏しているような効果を与えることがしばしばです。[...] 指を自然に曲げてではなく真っ直ぐなままにして鍵盤を叩き、ほかの指は鍵盤の上高く掲げられていました。[... ] ときには一つの鍵盤を複数の指で叩き、シングル・ラインのメロディーを左右の手で分けることもありました。
[3]

このような非正統的な演奏アプローチとは対照的に、モンクは素晴らしい速度と正確さでruns[訳語疑問点]とアルペジオを演奏することもできた。また指の独立性も高く、そのため右手でメロディー・ラインとトリルとを同時に演奏することもできた[3]

モンクはしばしば全音階の一部を使用し、上昇もしくは下降音階で演奏することで、数オクターブをカバーしている[3]。また、かれが作曲したいくつかの曲の主題においても使われている平行六度を特徴とする即興演奏を拡張した[4]。ソロにおいては、無音の空白とロング・ノーツを特徴としている。また、ビバップを基盤とするピアニストには珍しく、伴奏やソロにおいて彼は、左手でのストライド・パターンを採用していた。伴走者としての特徴には、しばしば演奏を止めてしまいベースとドラムだけにソリストをサポートさせるという傾向もある[5]

モンクは、変ロ長調をとくに好んで用いており、「ブルー・モンク」、「ミステリオーソ」、「ブルース・ファイブ・スポット」、「ファンクショナル」といった、かれが作曲した何曲ものブルースは、全て変ロ長調である。加えて、かれのシグネチャー曲である「セロニアス」の構成は、執拗に繰り返される変ロ長調のトーンに占められている[6]

脚注

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  1. ^ Weiss, Jason (July 19, 2006) (英語). Steve Lacy: Conversations. Duke University Press. pp. 13–14. ISBN 9780822388586. https://www.google.com/books/edition/Steve_Lacy/poIr4OLF9ZQC 
  2. ^ https://www.goodreads.com/quotes/307789-the-piano-ain-t-got-no-wrong-notes
  3. ^ a b c Owens 1996, p. 141.
  4. ^ Owens 1996, p. 142.
  5. ^ Owens 1996, p. 143.
  6. ^ Kelley, Robin (2009). Thelonious Monk: The Life and Times of an American Original. The Free Press. pp. 574 

参考文献

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  • Owens, Thomas (1996). Bebop – The Music and Its Players. Oxford University Press. ISBN 978-0-19-510651-0